私の音楽的生活

2007/04/25(水)11:18

宗教について思うこと

宗教と現代がわかる本 「宗教と現代がわかる本」(平凡社)という本を買いました。 大勢の知識人が、よってたかって宗教について語っている本です。 例えば、イスラム教について、映画「ダヴィンチコード」について、中国の宗教事情、またオウム真理教がなぜテロに走ったかについての深い洞察など、いろいろな人がさまざまな視点から、宗教について語っている大変興味深い1冊です。 これを読めば宗教のことがすべて分かる、というわけではありませんが、現代における宗教の意味が少しはわかってくるのではないかと思います。 まだ、ざっと眺めた程度しか読んでいませんが、この本の中で私が最初に興味をひかれたのは「細木数子番組の人気と、この国の不幸な宗教文化」という石井研士・國學院大學教授の文章でした。 「今の日本で、宗教文化が家庭や学校、地域社会から失われていき、バラエティ番組の中で存続していく、という状況に危惧を感じている」という内容です。 今、細木数子や江原啓之のTV番組が注目され、本屋に行けばコーナーまであるくらい人気です。これを宗教と言うのかどうかは分かりませんが、今の日本では精神的な支えとなる宗教文化が失われた代償として、こうした占い師や霊能者がもてはやされているのかな、と感じます。 人間と宗教の関係は、太古の昔から切っても切り離せないくらい深いものでした。猛威を振るう自然の中で生き抜かなければならなかった人間は神(超自然の存在)を畏れ、崇め、頼って生きてきたのではないでしょうか? 日本には今、無宗教の人々があふれかえっていますが、神仏と無縁の現代のような生活は、日本の歴史始まって以来の出来事ではないでしょうか? どんな時代にあっても宗教は、人間の生活の根っこにあって、人々の心を支えてきました。神仏への畏敬があるからこそ、人はそんなに悪い事はできないし、そこそこ善良に生きていけるのだと思います。 神仏への畏怖という足枷を外された人間は、自分の心だけを頼りにどこまでも暴走できてしまいます。 人間の心は弱い、だから暴走が始まると、自分の力では止めることができなくなってしまう・・・・それが、今の日本のあちこちで起こっているさまざまな事件です。 人を自殺に追いやるようなイジメ、親が我が子を虐待して殺す、そして子が親を殺す、女性を監禁して虐待する、保険金目当てに家族を殺す、無差別に人々を殺戮する凶悪事件など・・・驚くような犯罪が次々と起こり、私達はそのような報道を聞くたびに、いったいどうしてこんなことが起こるんだろう、と思います。 神をも恐れぬ行為とは、こういうことを言うんだろうな・・・ 人間は、いったん暴走を始めると、止まることができない生き物なのですね。。。。 私は、今の日本人にとって必要なものは、適切な信仰心を持つことだと思います。 適切な・・・というのは、オウムのようなのめり込むような異常な信仰ではなく、社会人としての良識を見失わないような普通の信仰心です。 正しい信仰を持つ人は、社会人としても成熟した尊敬される人として人々の信頼を集める人間だと思います。 今の日本は、神仏への信仰心は見失ってしまったけれど、お金や物への信仰心はものすごく旺盛だな・・・(汗)と思います。 誰もがお金持ちになりたいと願い、成功神話に憧れる。 物にこだわり、ブランド品を持ちたがる。 それがまるで自分の信仰であるかのように・・・ 人々が神仏への信仰を見失うと、台頭してくるのが物質的欲望です。 もともと宗教を排斥してきた中国などは、今、最も物質的な欲望が激しく渦巻いているのではないでしょうか? 世界中の資源を喰い尽してしまうかのような勢いに脅威すら感じます。 (でも、日本がその先鞭を切っているのですが・・・(~_~)) 欲望こそが人間を進化させてきた、という見方もありますが、それは本当の意味での進化かどうか疑問です。 魂の進化を伴わない、単なる物質的な進化だけでは、せっかく築いた文明も砂上の城です。いつかは滅びてしまうでしょう。 神仏への信仰心こそが、人間の魂(あるいは心)を進化させ、より高い次元(理想)を求めていく原動力になるのだと思います。 本物の科学者は、おそらく自然の中に神を見出していると思います。だからこそ、止めどない憧れと知的欲求が生まれてくるのです。 古代の人間は、宇宙、大自然の中に神を見出し、崇拝してきました。 そうした素朴な信仰心が、やがて宗教と言う形としてあとから体系立てて作られてきたのだと思います。 その形が、現代人の心の形に合わなくなってきたから、今の日本で宗教が廃れてきてしまったのかもしれない、と私は思います。 それならば、古代の人々のようにすごく素朴なところから始めてもいいんじゃないかな、という気がします。 つまり、朝起きたらお日様に感謝して、ご飯を食べる時には大地と水に感謝して、夜寝る時には、今日出会ったすべての人や出来事に感謝して・・・・ そんなふうに一日を過ごせたら、それは本当に素晴らしい信仰のある生き方だと思うし、そのように生きれれば、きっと誰もが幸せになっていけると思います。 宗教と言っても、あまり堅苦しく考えないで、気軽に、自分の周りには無数の神様仏様がいるんだな~~・・・と思いながら暮らせばいいんじゃないかなぁ。。。。。 宗教によって民衆の心をマインドコントロールしてきた過去の日本の歴史を振り返ると、宗教に対する反発やきな臭さも否めないような気がします。 しかし、権力に利用されてきた宗教とは違う、人類が長いの歴史の中で育ててきた智慧を顕現した形としての宗教というものを、もう一度見直すべき時にきているのではないでしょうか?

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