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カテゴリ:発動機
今回はマキタの刈払機(4サイクルエンジン)の修理である。持ち主が草刈り中に突然エンジンが止まったという。運転中に止まったというのはエンジン焼き付きの可能性が高い。スタータの紐は引っ張っても全く動かない。ちょっとばらしてみるかと預かったが、まあこのエンジン、メンテナンスしたことがあるのか、というくらい油まみれ。(写真01,02)スタータ部分を外してクランクを回してみると360度は回らないが、あっちに回してコン、こっちに回してコン、ピストンは焼き付いてないことが分かる。とすればこれはバルブ関係かな、とさらにばらす。案の定バルブにピストンが当たって止まったことが分かった。(写真03)エキゾーストバルブの先が何らかの原因で折れ、バルブが落ちる。そこにピストンが上がってきて当たったのだろう、バルブが曲がっていた。それにしても小さい。(写真04)このエンジン、シリンダとヘッドが一体である。シリンダからヘッド方向を覗くとなんか人の顔に見える。(写真05)知り合いにマキタのパーツを注文、連休を挟んだので10日ほどかかったが部品が届く。パッキン類や換えた方が良さそうなゴム部品も届いた。(写真06)
さていよいよ組み立てにかかるが、まずは灯油で洗浄、灯油が真っ黒になった。(写真07、08、09)組み立て始めて気がついた。カムのタイミングを控えていない・・・。このエンジンは1つのカムで吸気、排気を行っている。ピストン圧縮上死点で両方のカムが閉じていなければならないのでおそらくこの位置、と何回も確かめる。(写真10)ここでピストンを挿入、クランクを回してさらに確かめる、間違いない。クランクケースにシールを塗って組み立てた。シールはいつも行くバイク屋で少しだけ分けてもらった。(写真11)バルブのスキマはBMWほど厳格ではないだろうと手分量で、この位かな、で締める。(写真12)エンジンオイルは80ccを計って入れる。キャブもばらして硬化しはじめていたゴム部品を全て交換、組み立てる。(写真13) 全て組み付けいよいよ始動。プライマリーポンプをパカパカやってみるのだが、ガソリンが来ない。なんで、とよく見るとガソリンタンクから来るホースと、帰るホースを付け間違えていた。元に戻してパカパカ、チョークをかけ、紐を引っ張ると3回ほどでブルンときた。やったー、始動したぞ、スローを調整してしばらくほっておく。オイルも回っているようなので一安心。写真でファンが止まっていないので回っているのが分かるはず。(写真14)太さんの「直すところが見たい」につられてやっちまった!(藤) 写真01 写真02 写真03 写真04 写真05 写真06 写真7 写真8 写真9 写真10 写真11 写真12 写真13 写真14 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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バルブコンプレッサー持っているの?しかし見事に曲がっていますな。クランクが見えるまでバラバラにしないと直せないのね。カムはチェーン駆動?合いマークもないのね。
それにしても素晴らしい修理です。農協の機械部顔負けです。 (2020.05.16 06:39:02)
turu164さんへ
写真1、10で分かるようにコイツはOHV。 バルブスプリングは柔らかいので手で押せば縮む。 ヘッドとシリンダが一体なのでピストンを抜かないとバルブが触れない。 写真10の下側の軸がカム軸で、茶色のギア(プラ)が写真11のクランク上側のギアとかみ合う。カム軸の回りがカムで、この状態では下に向かってカム山があり、円弧状の上に印が見える。ここにカム山を合わせるのが合いマークだと思われる。なんせマニュアル無しの手探りはエエ加減。 ホントはクランク軸両端のオイルシールも換えたかったのだが、フライホイールを抜くと点火時期がややこしくなるのでやめた。 圧縮上死点で両方のカムが閉じていなければ、は”両方のバルブが”の間違い。 次の就職先は農協・・・を考えるか。 (2020.05.16 08:35:30) |