2015/11/10(火)10:22
放射線測定の公正さの確保のあり方。法規制を求める。宮城と福島の両県が提案。東北北海道計量協会連合会総会の主要な議事と協議の主な内容。
放射線測定の公正さの確保のあり方。法規制を求める。宮城と福島の両県が提案。東北北海道計量協会連合会総会の主要な議事と協議の主な内容。
(写真は東北六県北海道計量協会連合会総会のもよう)
(見出し)
「放射線測定器の計量法による信用保証を求める」
第64次(平成27年度)東北六県北海道計量協会連合会総会
(リード)
平成27年度の東北・北海道計量大会ならびに第64次(平成27年度)東北北海道計量協会連合会総会が、10月8日午後、青森市の青森国際ホテルの会議室で開かれ、計量関係者二百名ほど参加した。連合会総会の議題は宮城県と福島県から提案があり放射線測定器を計量法で直接に規制することを求めた。原発被害の被災地福島県における放射線測定器への信頼の確保はこの先々まで大事なことであるため「放射線測定器の計量法による信用保証を求める」といった内容の議事であった。
(本文)
A、
前年度連合会総会の報告(北海道)。
北海道計量協会中村順一専務理事がこの報告をした。
(写真は報告する説明する中村順一専務理事)
議題の審議の内容と三浦裕幸計量行政室長の放射線測定器に関係する説明をほぼそのままに報告した。
B、
議題は提案されたの3議題とも放射線測定器のことであり、このうち2議題は計量法でこれを規制すべきとの内容であった。
a、
この議題について三浦裕幸計量行政室長の発言の要旨は次のとおり。
(写真は説明する三浦裕幸計量行政室長)
昨年は放射線測定器の計量法での法規制について経済産業省の担当部署できちんと議論して欲しいということであった。担当の審議官にこのことを報告しており省内でも計量制度の見直しにのことが議論になっている。
放射線測定器については経済産業省としてキチンと対応していくということで基本的な考え方は変わっていない。原子炉の廃炉には40年ほどの機関を要するので廃炉にともなう放射線の測定と監視は重要事項であると考えている。
放射線測定器の適正な管理に関する考え方は経済産業省として昨年と同じであり変わっていない。
b-1、
青森県計量協会三上啓二副会長。(発言の要旨は次のとおり)
放射線測定器を使っての農産物の測定などではその値が100までならよいが、それが101になれば不合格で出荷停止になる。測定器における誤差のことをどのように考えればいいのか。合理性が求められる。
昨年度の放射線測定器の規制に関係する計量行政室の説明が当番県の北海道から詳しく述べられていたが、その報告のことを考えると本日の説明は後退しているように思える。
b-2、
福島県計量協会高橋稔専務理事。(発言の要旨は次のとおり)
(写真は発言する福島県計量協会高橋稔専務理事)
日本の原子力発電施設は全国に16ある。ここにおける放射線測定ということでその測定の需要は東北地方に限定されず全国規模である。経済産業省では審議官ほかとこの半年間でこのことがよく話されているということなので、よりよい方向に進むべく更に検討をつづけて欲しい。
b-3
(写真は提案説明する宮城県計量協会草刈謙一専務理事理)
c、
三浦裕幸計量行政室長の発言の要旨は次のとおり。
計量法が規定する計量器のうち特定計量器ということになると全てが特定計量器ということではない。
特定計量器でない計量器においては計量法における検定などがなされないので、計量制度の一つとして仕組みができている計量法JCSS制度による校正事業者が発行する校正証明書によって対応している事例が多い。
宇宙開発に関係するロケット技術の分野ではそのようなことが行われている。放射線測定器においても同じである。このような形で測定器の性能が確認されているのだと理解している。
d、
提案県の青森と福島の強い熱意で放射線測定器の計量法による規制を求める。
青森県計量協会三上啓二副会長、福島県計量協会高橋稔専務理事が放射線測定器の法規制を求めて熱のこもった発言をつづけた。
計量法が環境測定器あるいはハカリ、電気、ガス、水道、体温計、血圧計といった生活に密着しており、また社会において重要な働きをしている計量器を特定計量器に指定してこれに検定制度によって検定を課すなどしていることであるから、東北地方はじめ原発事故による放射線汚染におびえ、実際にその被害を受けている人々が大勢いるという実情を直視すれば計量法が直接にこれに関与して放射線測定を特定計量器に加えるか、別の特別な措置をとらないのは怠慢であり、法の公平性を欠くといった主張がそれである。
計量法JCSS制度による校正という方法があるとはいっても、全ての放射線測定器(線量計)がこの校正によって精密さを確認しているということではない。メーカーによる精密度の保証があったとしてもそれは製造時点だけのものであり、ユーザーの手に渡った後には誤差が拡大していることがある。
また、そもそも測定器といっても目盛りがついている、表示がでるといった程度の線量計も確認されている。こうした線量計を使って100までの値ならよくて101なら駄目だというのでは測定の信頼とは何であるかということが問われる。
東北地方の原発事故による放射線汚染の被災者が暮らす現場では、放射線測定器の信頼を確保することが急務であり、計量法がこれをする直接の法規であるから社会の心情を理解し心のこもった速やかな対応が求められる。
これらの言葉は懇親会ほかの場で語られており、福島県における放射線の測定に対する住民の不安を直接にぶつけられ、つど細かに対応してる計量協会などの苦悩が滲んでいる。
そこから出てくる対応策は「放射線測定器の計量法による信用保証を求める」ということのようだ。
e、
次年度開催県
山形県が当番で開く。
山形県計量協会会長の小林信治氏が挨拶。(挨拶の要旨は次のとおり)
(写真は大会旗の山形県への受け渡し。右が小林信治会長)
前回の山形開催は私が会長になった初年度であった。開催日には台風のために北海道の皆さまの出席は旅客機の欠航によって半数になってしまった。