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2021年02月19日
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カテゴリ:エッセー
科学研究費に求める成果に振り回される人々

小柴昌俊氏は朝永真一郎氏は激することがなかったという。
朝永振一郎氏は嫌なことに対してはユーモアで返していた。


(タイトル)
科学研究費に求める成果に振り回される人々

(本文)

 地震科学は地震を予測できず、災害工学は河川の氾濫と堤防の決壊を予測できないでいる。あたかも科学は万能であるかのごとく説いているのだが足下はお寒い。東電福島第一原発は津波では壊れないし、原発は事故を起こさないことになっていた。多額の経費をつぎ込んだ科学技術開発は所定の成果を出すべきであり、どのような偽りをしてでも所定の成果を演出する。

 安倍晋三氏が首相のときに理化学研究所のSTAP細胞研究施設を訪れたときに映し出した研究員に小保方晴子氏がいた。研究の総括責任者は笹井芳樹氏である。笹井芳樹氏は論文執筆に才能を示し、研究資金調達ほかでや特別な働きをしていた。研究からある重要人物が去ったのは小保方晴子氏の手がけた内容への疑義を感じたからである。その後の調査で、STAP細胞、STAP幹細胞、FI幹細胞とされるサンプルはすべてES細胞の混入によって説明できるためにSTAP論文は否定された。これに先立って 韓国では人の胚性幹細胞をつくったことを大学教授の研究者がねつ造した事件があった。

 最先端の基礎科学にはお金がかかる。小柴昌俊氏は陽子崩壊の検出を主目的に岐阜県岐阜県飛騨市(旧吉城郡神岡町)にあった神岡鉱山跡地に光電管を大量に設置したカミオカンデを設置した。この装置で質量をもちながら地球をも貫くニュートリノをつかまえることに成功した。ニュートリノに質量があることが確かめられれば宇宙の成り立ちの解明につながる。カミオカンデの実験で小柴昌俊氏は2002年にノーベル物理学賞を受賞した。また関連する研究で現在、日本学術会議会長の梶田隆章が2015年にノーベル物理学賞を受賞した。

 小柴昌俊氏は実験研究費用を調達するために旧制第一高等学校の同級生の参議院議員なども説得した。そのさいに基礎研究などの科学の成果は役に立たないよ、と言いのけている。科学の基礎研究は冒険事業をするようなもので幾つも打ち出した事業のうち成功するのはわずかであり、わずかなに成功したものでも実際に直ぐに役立つことは極めて少ないことを小柴昌俊氏流の表現をしているのだ。

 基礎研究には大きなお金がかかる。日本の場合には研究費は税金から捻出される。大きなプロジェクトの責任者になると失敗は許されない。ここにねつ造事件の根がある。公務員の研究のための表題と説明は見栄を切りすぎであることが多い。論文を書くのが上手なこととはったり屋であったこことから、ないものをあると言いつくろったのだ。立派な見栄切りは研究施設に安倍晋三首相に足を運ばせた。報道陣はにぎやかにSTAP細胞を取り上げ理系女子をうたいあげる。なかったものに対して一人はあります、としらを切り通す。一人は命で酬いた。日本では仏は人の世界とは隔絶される。死者にむち打つことがない。

 日本学術会議の会員という名の役員の選任に政府が口出ししたことが八釜しい。名誉欲のない良心的な研究者がいたとすると、こうした人々はお金を貰いたがらない。しかしお金がなければ実験研究ができない分野が多い。そこで小柴昌義氏の言葉である。基礎研究などの科学の成果は役に立たないよ、なのだ。

 核開発は第二次大戦末期における両陣営の競争であった。米国はマンハッタン計画を推進して原爆をつくりだす。日本の核開発は理化学研究所、東京大学、京都大学、大阪大学などの学者・研究者を総動員してなされていた。湯川秀樹氏の核開発を推進する鼓舞文書がでてきているから、原子物理学関係のほとんどの人が核開発に動員された。湯川秀樹氏と朝永振一郎氏は三高、京大理学部の同期であった。朝永振一郎氏は理化学研究所に籍を置いて仁科芳雄氏のもとで働く。仁科芳雄氏は日本の核開発の重要人物であった。

 仁科芳雄氏は朝永振一郎氏は親交が深い。朝永振一郎氏を理化学研究所に誘った仁科芳雄氏が「彼は頭がいい、特別な人間だよ」と語ったことを小柴昌俊さんがNHKの特別番組で伝えている。理化学研究所で核開発の責任者であった仁科芳雄氏が朝永振一郎氏にどのような仕事をさせていたか不明である。仁科芳雄氏の周辺では核にまつわる諸計算をしていた人の実話が残されている。占領軍は日本のすべての原子力の実験炉を海洋に投棄した。

 朝永振一郎氏が酒好きであることを小柴昌俊氏が朝永振一郎著作集別巻3『朝永振一郎 人と業績』のなかで述べている。朝永振一郎氏の高潔な人格はその著作『庭にくる鳥』で知っていた。小柴昌俊氏は朝永さんは激することがなかったという。嫌なことに対してはユーモアで返していた。

 湯川秀樹氏、朝永振一郎氏、小柴昌俊氏にはノーベル物理学賞が授与された。朝永振一郎氏のいとこである朝永良夫氏は工業技術院委員長をしていて後に日本計量協会会長をした。朝永良夫氏をみていると朝永振一郎氏が想像され人の偉さと高潔さが重なる。偉い人とはどのように育つのか考えさせられる。世の中に立派な人がいることを知ると生きることに勇気を抱かせる。朝永振一郎氏は人がよすぎるために東京教育大学の学長をながくし、日本学術会議の会長でもあった。日本学術会議第1期副会長を務めたが1951年1月10日、60歳で没している。日本計量史学会は日本学術会議のある部門に所属する団体である。

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最終更新日  2021年09月29日 11時57分50秒
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