新型コロナウイルス感染症 沖縄、広島、山口の3県について、緊急事態宣言に準じた感染対策が可能となるまん延防止等重点措置の適用
2022年オミクロン株による感染防止の国家政策と個人の対策2022 National policy and individual measures to prevent infection by Omicron strains沖縄、広島、山口の3県について、緊急事態宣言に準じた感染対策が可能となるまん延防止等重点措置の適用感染拡大防止策の基本は三つ ワクチン開発と接種の推進、手の消毒、人の接触を含めた密の回避1日の新規感染者が1,000人を超え感染拡大第6波の様相(2022年1月4日)沖縄新たに225人感染 東京151人、山口79人 沖縄と山口は米軍基地関連感染の疑いも(計量計測データバンク編集部)2022年オミクロン株による感染防止の国家政策と個人の対策厚生労働省が入居する中央合同庁舎5号館。沖縄県知事は蔓延防止の特別措置要請を示唆した。写真2022年1月5日、12:52:02。第6波への転機の日。オミクロン株猛威が懸念されるなかの年納の霞が関。2021年12月28日、16:44:18 撮影。新型コロナウイルスの変異株のオミクロン株2022年オミクロン株による感染防止の国家政策と個人の対策(本文)(リードと副見出し)日本でもコロナ感染拡大第6波が進行 新型コロナウイルスの感染が急激に拡大している。次々に変異するのがコロナ株の特徴であり、オミクロン株の出現が第6次の感染拡大を引き起こしている。米国ではこれまでの感染拡大を上回る勢いをみせていることから、日本でも同じ動きになりそうである。鎮(しず)まっていた日本での感染拡大がこのままで推移することが期待したのは新型コロナウイルスの性質を知らないことから生まれた甘さである。沖縄、広島、山口の3県にまん延防止等重点措置の適用へ 山際大志郎担当大臣は2022年1月7日、政府の基本的対処方針分科会で、新型コロナウイルスの感染が拡大している沖縄、広島、山口の3県について、緊急事態宣言に準じた感染対策が可能となるまん延防止等重点措置の適用を諮問した。期間は2022年1月9日から2022年1月31日。飲食店の時短営業やイベントの人数制限などの措置 次は山際担当大臣は、(感染者が)このまま推移した場合、近い将来、医療提供体制に大きな負荷がかかりかねないと説明。適用3県では、飲食店の時短営業やイベントの人数制限があり県知事の判断で飲食店での酒提供禁止の措置ができる。ワクチン接種者などの行動制限を緩めるワクチン検査パッケージ制度については、感染が急拡大した場合には、知事の判断により停止可能とする一方、対象者全員に対する検査による行動制限の緩和も可能だと説明した。新型コロナ感染は昨年夏以降、全国的にいったん沈静化していたため、重点措置の適用は3カ月ぶりとなる。適用対象とする3県は米軍基地の周辺地域などに感染が広がっている。このため岸田文雄首相は1月6日、日米安全保障協議委員会(2プラス2)の機会もとらえて厳格な措置を早急に講じるよう、米側に強く求めることを指示している。感染拡大防止策の基本は三つ ワクチン開発と接種の推進、手の消毒、人の接触を含めた密の回避 新型コロナウイルス感染拡大は2022年の1月になって急激に増加しており、変異株のオミクロン株が猛威を振るい始めた。染拡大第6はの様相を呈し始めた。新型コロナウイルスは次々に変異株が発生して免疫力の隙間に潜り込んで次の感染拡大をひきおこす。ワクチン接種が進んだイスラエルの感染拡大や米国での大規模の感染拡大は同じことが日本や世界で発生すると想定して国と個々人は防止策をとらなくてはならない。変異株を含めて新型コロナウイルス感染拡大防止策の基本は三つだ。ワクチン開発と接種の推進、手の消毒、人の接触を含めた密の回避であり、ほかに換気の促進とマスク着用、治療と予防を含めた薬の開発と投与などである。日本はコロナウイルスワクチン開発を放棄し米国に依存する行動をとってきた。国民の健康を他国に依存することは健康のための安全保障に反することどうである。ことに日本は医薬品開発の能力を備えているのにこれを放棄している。医薬品が不足すれば真っ先に切るのは外国への供給である。米国は2022年1月になった危機的なまでの感染拡大が広がっている。全世界での感染者数は95,151,139人、死亡者は5,456,883人。日本の感染者が1,736,847人、死亡者18,397人。2022年1月5日15:00現在 2022年1月5日15:00現在、国外での新型コロナウイルス関連の肺炎と診断されている症例及び死亡例の数は以下のとおり。 (以上新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について、令和4年1月5日版よりの引用。https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23171.html) 日本の感染者が1,736,847人、死亡者18,397人。同様に米国は57,048,800人、830,071人。インド34,960,261人、482,017人。ブラジル22,328,252人、619,654人。ロシア10,390,052人、305,906人。メキシコ人3,993,464人、299,581人。英国人13,723,275人、149,417人。イタリア6,566,947人、138,045人。フランス10,694,804人、125,551人。ドイツ7,320,708人、112,929人。カナダ2,344,242人、30,491人。インドネシア4,263,732人144,105人。中国102,932人、4,636人。香港12,761人、213人。マカオ79人、0人。 全世界での感染者数は95,151,139人、死亡者は5,456,883人である。中国の感染統計は政治の分野が修正をかけている疑いが濃厚である。1日の新規感染者が1,000人を超え感染拡大第6波の様相 日本国内では2022年1月4日集計で、新たに1,268人の新型コロナウイルス感染者が確認された。1日当たりの新規感染者が1,000人を超えたのは2021年10月6日以来、3カ月ぶりである。死者は1人確認され重症者は54人で前日から2人増えた。感染拡大の要因は若者の接触機会増加 沖縄新たに225人感染 東京151人、山口79人 (沖縄と山口は米軍基地関連感染の疑いも) 沖縄県では新たに225人確認された。1日当たりで200人を超えたのは2021年9月16日以来、3カ月半ぶり。沖縄県では20、30代が135人で感染者の6割を占めている。拡大の要因は2021年末年始に若者同士の接触機会が増えたことによるとみられる。米軍関係では新たに164人の感染が分かり、2021年12月15日以降で計996人になった。 山口県では79人の感染が判明、うち62人は大規模な集団感染が発生している米軍岩国基地のある岩国市である。 東京都は151人で、前週の火曜日から105人増えた。150人を上回ったのは3カ月ぶり。124人の感染が確認された大阪府は2カ月半ぶりである。109人の広島県は3カ月半ぶりの新規感染者が100人超えであった。 空港検疫は過去最多となる117人だった。厚生労働省によると、オミクロン株の累計感染者は全国で1,000人を超えた。沖縄県では新たに47人のオミクロン株の感染を確認した。1月3日の陽性者では米軍と無関係とみられる例が大半を占め、市中感染が本格化している。北海道と長崎県では同株感染例が初確認された。群馬県、奈良県では、それぞれ県内初の市中感染とみられる事例が確認された。沖縄県の玉城デニー知事が特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置」の政府への適用要請の意思を示す 沖縄県の玉城デニー知事は2022年1月4日の記者会見で、沖縄県内の新型コロナウイルス感染者の急増していることから、特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置」の政府への適用要請を検討する考えを示した。千葉県知事熊谷俊人も同日、「強い警戒心を持っている、今後急速に(オミクロン株への)入れ替わりが進んでいく」と語った。 玉城デニー知事は会見に先立ち、同措置をめぐり松野博一官房長官と電話で話し合い「」要請した際は速やかに検討してほしい」旨を伝えた。会見では「沖縄県としてはもはや第6波に突入したと認識している。感染の広がり方が尋常ではないことを考えると、1週間後などという悠長な議論になってはいけない」と述べている。松野博一官房長官は首相官邸で記者団に「要請が正式に出された場合は速やかに検討する」と対応の方向を語った。 大阪府の吉村洋文知事がオミクロン株に対して「感染拡大力は明らかにデルタ株より強い、オミクロンの陽性者で重症者は今のところいない。デルタ株と少し違うのではないかという意見もある」と他人事のように述べたのが気がかりだ。 京都府の西脇隆俊知事もコロナの感染状況を「年末年始にかけて拡大傾向にある。第6波の入り口にある」会見で述べる。東京都の小池百合子知事は職員への年頭あいさつで「強い危機感を持って戦いに臨まないといけない。これまで培ってきた知見、経験の真価が問われている」と話すがあいかわらず具体的なことには触れない。 コロナ対応の経験に疑問が持たれている横浜市の山中竹春市長は変異株のオミクロン株」について「大変強い懸念を持っている。早ければ2022年1月末にも第6波のピークを迎える可能性もある」と述べ、3回目ワクチン接種の前倒しや医療提供体制の拡充を強調した。2022年1月3日時点でのオミクロン株の国内発生件数は空港検疫など水際関係で確認された件数は698件で水際での確認であった 厚生労働省発表がまとめた2022年1月3日21時現在におけるオミクロン株の国内発生件数は空港検疫など水際関係で確認された件数は698件、左記以外は295件、合計993件である。空港検疫など水際関係で確認された件数は東京都で14件、静岡県で4件、愛知県で1件、大阪府で1件、岡山県で1件。水際以外の発生件数の内訳は沖縄県で24件、大阪府で15件、広島県で12件、東京都で11件、愛知県で4件、岐阜県で3件、埼玉県で1件、神奈川県で1件、三重県で1件、岡山県で1件である。オミクロン株の蔓延を水際で抑えている現状が厚生労働省発表によって確認される。オミクロン株とその性質 オミクロン株は基準株と比較し、スパイクタンパク質に30か所程度のアミノ酸置換(以下、便宜的に「変異」と呼ぶ。)を有し、3か所の小欠損と1か所の挿入部位を持つ特徴がある。このうち15か所程度の変異は受容体結合部位に存在する。基本的な感染対策の推奨 個人の基本的な感染予防策としては、変異株であっても、従来と同様に、3密の回避、特に会話時のマスクの着用、手洗いなどの徹底が推奨される。日本での発生状況 海外からの入国者のSARS-CoV-2陽性者の中でオミクロン株感染例の割合が高まり、オミクロン株感染例が継続して報告されており、オミクロン株の国内への輸入リスクは高まっている。また、14日以内に海外渡航歴のある者との関連が認められないオミクロン株の感染例が複数の都道府県から報告されている。感染源が確認できていない事例が継続して発生している地域もあり、そのような地域では感染拡大に留意する必要がある。海外での報告で示唆されているオミクロン株の感染・伝播性の高さ等を考慮すると、国内においても大規模クラスターの発生や、広範囲での市中感染が継続することで、感染例の急増につながることが懸念される。オミクロン株感染と重症化度 国内で経過観察されているオミクロン株感染例の初期の事例109例については、94%(103/109)が無症状ないし軽症で経過していた。海外の報告では、英国や南アフリカ等からデルタ株と比較した入院や重症化のしやすさの違いについての暫定データが報告されている。デルタ株と比較してオミクロン株では重症化しにくい可能性が示唆される。ただし、これらの報告では、オミクロン株感染例が若年層で多い、自然感染やワクチン接種による免疫の影響が考慮されていない等の様々な制限があること、重症化や死亡の転帰を確認するには時間がかかることを踏まえると更なる知見の集積が必要である。また、重症化リスクがある程度低下していたとしても、感染例が大幅に増加することで重症化リスクの低下分が相殺される可能性も考慮する必要がある。オミクロン株感染での入院率はデルタ株対比で0.38倍 厚生労働省は、日本で確認されたオミクロン株感染例について、初期の事例については、感染症法第15条第2項に基づく積極的疫学調査を行っている。12月27日時点で情報が得られた109例のオミクロン株感染例の解析では、男性が63%(69/109)、入院からの観察期間中央値は 8日(最小値 1日、最大値19日)で、観察期間中に継続して無症状が29例、軽症が74例、中等症Ⅰが6例であった。ワクチン接種歴に関しては、未接種者が22例、接種者(追加接種ありを含む)が86例、ワクチン接種日不明が1例であった。規定の接種回数(ジョンソン・エンド・ジョンソン社製のワクチンの場合1回、その他のワクチンは2回)のワクチン接種を完了後、14日以上経過したもの。UKHSAは 救急外来および入院データ、SGTFデータ(デルタ株とオミクロン株の分類に使用)、ワクチン接種歴のデータを突合して、デルタ株とオミクロン株の救急外来受診や入院率の違いを検討している(UKHSA Technical Briefing 31)。2021年11月22日から12月19日のまでのデータを用いて解析したところ、救急外来受診・入院率はデルタ株と比較してオミクロン株感染で0.62倍(95%CI 0.55-0.69)であり、入院率のみでは0.38倍(95%CI 0.30-0.50)であった。本解析では検体採取週と居住地で層別化し年齢・検体採取日・性別・人種・剥奪指標(所得や生活水準などの社会的な指標)・海外渡航歴・ワクチン接種歴で調整しているが、過去の感染や基礎疾患については調整していない。オミクロン株の感染・伝播性 オミクロン株の流行が先んじて報告された南アフリカでは、高い実効再生産数が報告され、イングランドからも倍加時間の短縮や感染者数の高い増加率が報告された。海外から報告された集団発生事例での高い発病率や、デルタ株よりも多くの家庭内二次感染例が報告されたことも伝播性の増加を示唆する所見である。観察集団の免疫状況や感染予防行動等の違い、オミクロン株同定のための検査戦略などの影響等も含めて、解釈には依然として慎重を要する。世代時間や潜伏期間がデルタ株に比較して短縮している可能性を示す所見があることにも留意する必要がある。倍加時間の短縮は、感染性の増大と世代時間の短縮の両方の影響を加味する必要がある。さらに、国内の積極的疫学調査から得られた暫定的な結果からは、これまでの事例(従来株やデルタ株による)と比較し、感染・伝播性はやや高い可能性はあるが、感染様式の変化や著しい感染・伝播性の増加の根拠は得られていない。基本的で適切な感染対策(マスク着用、手指衛生、換気の徹底等)は引き続いて有効であることが観察されており、感染対策が比較的守られている状況下では爆発的な感染拡大には至っていない。引き続き日本におけるオミクロン株の感染・伝播性に関する知見の蓄積が必要である。乗客62,257名中14日以内にオミクロン株陽性となった者は65名 屋外の競技場や職場において、マスクの着用や同一空間の滞在時間に関係なく幅広検査の対象となった者のうち、現在のところ、感染例は検出されていない。オミクロン株の感染例が搭乗していた航空機について、乗客全員を濃厚接触者として14日間の健康観察が行われていた。12月25日までに健康観察を終了したオミクロン株感染例と同じ機内の乗客2,097人のうち、入国後にオミクロン株による感染が明らかとなったのは計4便の5人 (0.24%, 95%信頼区間(CI):0.07-0.56)のみで、うち2名は家族だった。1名は同乗の感染例とウイルスゲノム配列が異なっていた。2021年12月3日から19日までの間に、到着時オミクロン株陽性者のいない便の乗客62,257名の中で、検疫での検査結果が陰性になってから14日以内にオミクロン株陽性となった者(またはL452R変異株PCR陰性者)は65名検出され(0.10%、95% CI 0.08-0.13)、これらの割合に有意な差はなかった。日本のインフルエンザ死者数は2018年が3,325人、新型コロナウイルス感染症国別死亡者数は4,501人 日本のインフルエンザ死者数は2018年が3325人、2017年が2569人であった。厚生労働省のまとめによる新型コロナウイルス感染症国別死亡者数は2021年1月18日午後3時現在で、日本は4501人であり、感染者数は32万8294人である。手指消毒の励行によって2020年のインフルエンザ感染者と死者数は極度に減少している。国別では死亡者数が米国39万7574人、インド15万2419人、ブラジル20万9847人、メキシコ14万704人、ロシア6万4601人、英国8万9429人、フランス7万422人、イタリア8万2177人、スペイン5万3314人、中国4635人、韓国1264人である。国ごとに統計の取り方に違いがあるから、数値の信頼度は3割ほどは割り引いておくべきである。肺炎をコロナだとするとある種の特典がある国の実情が報告されている。コロナ重症化対応薬品をオルミエントを特例承認 日本ではJAK阻害薬バリシチニブ(製品名・オルミエント)は、サイトカインによる刺激を伝えるJAK(ヤヌスキナーゼ)を阻害する薬剤。COVID-19は重症化すると、サイトカインストームと呼ばれる過剰な免疫反応に重篤な臓器障害を起こすことが知られています。バリシチニブは免疫異常による炎症を抑える作用を持ち、日本では今年4月、中等症から重症の患者を対象に特例承認した。日本を含む国際共同治験では、レムデシビルと併用することで、回復までの期間をレムデシビル単剤に比べて1日短縮しました。日本で同薬の対象となるのは、酸素吸入、人工呼吸管理、体外式膜型人工肺(ECMO)の導入が必要な患者で、入院下で、レムデシビルと併用して最長14日間投与する。カシリビマブ/イムデビマブ 中外製薬の「ロナプリーブ」は、カシリビマブとイムデビマブの2つの中和抗体からなる抗体カクテル療法。新型コロナウイルス表面のスパイクタンパク質に結合し、ウイルスが細胞内に侵入するのを防ぎます。米リジェネロンが創製し、中外は日本での開発・販売権を保有。2021年7月に治療薬として特例承認を取得し、2021年11月には濃厚接触者と無症状感染者に対する発症抑制のための投与でも承認を取得した。1回の投与で入院や死亡のリスクを70%減少させる治療効果 同薬の投与対象となるのは、重症化リスク因子を持つ軽症・中等症の患者。海外で行われた臨床試験では、1回の投与で入院や死亡のリスクを70%減少させ、症状消失までの期間を短縮した。中外は日本政府との合意に基づき、2021年に国内で使用される分について確保している。世界でのオミクロン株感染の状況 全世界でオミクロン株による感染例の報告数ならびに報告国数が継続的に増加し、南アフリカ、イングランドやアメリカ合衆国では、デルタ株からオミクロン株への急速な置き換わりの進行が報告された。また、複数の国・地域で市中感染や集団内の多くの者が感染したクラスター事例も報告されており、さらなる感染の拡大が懸念される。ゲノムサーベイランスの質が十分でない国・地域においては探知されていない感染例が発生している可能性もあるため、現在感染例が探知されている国・地域よりもさらに広い範囲に感染が拡大している可能性がある。南アフリカからWHOへ最初のオミクロン株感染例が報告で始まる 2021年11月24日に南アフリカからWHOへ最初のオミクロン株感染例が報告されて以降、12月21日までに日本を含め全世界106か国から感染例が報告された。2021年12月20日時点でアフリカでは、22か国からオミクロン株感染例が報告された。南アフリカでは、ゲノム解析された検体のうち、10月はデルタ株が85%(646/764)、オミクロン株0.2%(2/764)であったが、11月はオミクロン株82%(987/1,210)、12月はオミクロン株98%(629/639)であった。2021年12月19日時点でEU/EEA域内では、28か国から合計4,691例のオミクロン株感染例が報告された。情報を取得できた範囲では、オミクロン株感染例のEU/EEA域内での死亡は報告されていない。オミクロン株の市中感染例が増加し、クラスター事例も発生している。オミクロン株感染例4,766例とS遺伝子が検出されない(S gene target failure(SGTF)と呼ばれる)SARS-CoV-2感染例(以下SGTF感染例)の計4,786例の解析では、年齢中央値31歳(範囲0-112歳)で男性が51%であった。そのうち情報を取得できた2,550例において、94%(2,388/2,550)が有症状であった。情報が得られた感染例の中で、1%(15/2,717)が入院し、ICU入室/人工呼吸器管理を要したものはいなかった。イングランドで102,729例のオミクロン株感染例の報告 2021年12月23日時点でイングランドでは、102,729例のオミクロン株感染例と192,965例のSGTF感染例が報告された。また12月19日時点で、29例の死亡例と366例の入院例(オミクロン株感染例ないしSGTF感染例)を認めた。イングランドでは11月末以降SGTF感染例の増加を認め、12月21日ないし22日に採取されS遺伝子の結果が判明した34,270検体のうち、86.2%(29,524検体)でSGTFを認めた。12月18日時点での53,842例(男性25,577例、女性28,265例)のオミクロン株感染例の解析では、20歳代が33%と最も多く、次いで30歳代が23%、40歳代が15%、10歳代が12%であった。。2021年12月8日時点でアメリカ合衆国では、22の州でオミクロン株感染例が報告されており、このうち複数の州で市中感染が示唆される事例が報告された。情報を取得できた43例において、入院例が1例報告され、死亡例は報告されなかった 。CDCの12月20日時点の推計では、同国での週別のオミクロン株検出割合の推定値が12.6%(12月5日~11日)から73.2%(12月12日~18日)に増加した。。2021年12月17日時点で西太平洋地域では、11ヵ国からオミクロン株感染例が報告された。2021年12月20日時点で韓国では、合計188例(確定例178例、確定例と疫学的関連のある10例)が報告された。確定例の年齢分布は、20歳未満が26.7%、20代~50代が66.3%で、推定感染地は海外が28.9%、国内が71.1%であった。診断時には19.8%が無症状で、有症状の場合は発熱、咽頭痛、咳が主な初期症状であり、いずれの感染例も軽症であった。2021年12月19日時点で東南アジア地域では、7か国からオミクロン株感染例が報告された。2021年12月4日時点で東地中海地域では、3か国からオミクロン株感染例が報告された。ウイルスの性状・臨床像・疫学に関する評価についての知見 南アフリカにおいてオミクロン株の流行が始まった11月から12月4日までの報告例を基に算出された実効再生産数は2.55 (95%CI 2.26, 2.86)であった。英国においてはSGTFを認める検体(オミクロン株であることが疑われる検体)をモニタリングするサーベイランスが稼働しており、11月4週から12月3週のデータを用いて増加率(growth rate)が0.41/日と算出された。またオミクロン株確定例に対する増加率が検討されており、0.45/日 (95%CI 0.44-0.46)と算出された。またデルタ株と比較した相対的な免疫逃避の程度を考慮したモデルでは同時期の増加率は0.29/日と算出された(LSHTM. Modelling report)。上に伴い、英国では倍加時間(doubling time)も算出されており、SGTFデータおよびオミクロン確定例のデータから倍加時間はそれぞれ1.6日と1.5日と算出された。またデルタ株に対する相対免疫逃避を考慮したモデルでは倍加時間は2.4日と算出された。オミクロン株の家庭内二次感染率 英国において2021年11月15日から12月6日の間に検体を採取されたオミクロン株感染例777例とデルタ株感染例115,407例を対象としたコホート研究では、オミクロン株感染例からの家庭内二次感染率はデルタ株感染例と比較して、調整なしオッズ比で2.0倍(95%CI 1.7–2.4)、年代、性別、ワクチン接種歴等で調整したオッズ比で2.9倍(95%CI 2.4–3.5)であった。家庭外の二次感染も含んだ二次感染率は1.96倍(95%CI 1.77–2.16)と推定された。韓国でのオミクロン株感染例での家族内二次感染率はデルタ株より高かった 韓国から報告された湖南保育施設関連のオミクロン株感染例25例の解析では、平均潜伏期間は3.6日(範囲2~8日)、平均発症間隔は3.1日(範囲1~7日)であり、デルタ株の平均潜伏期間3~5日、平均発症間隔2.9~6.3日より短かった。オミクロン株感染例での家族内二次感染率は44.7%で、デルタ株の約20%と比較して高かった。デンマークでは785例のオミクロン株感染例のうち死亡例は報告はない デンマークでは、150人の参加者が集まるイベントで、71人(47%)がオミクロン株に感染した事例が報告された。同国では2021年12月9日時点で、合計785例のオミクロン株感染例が確認されており、年齢は2~95歳(中央値:32歳)で、55%(433例)が男性であった。76%(599例)がワクチン接種を完了しており、7%(56例)は追加接種を受けていた。1%(9例)が入院治療(うち1例は集中治療)を要し、死亡例は報告されなかった 。ノルウェーではパーティー参加の111人中80人(73%)がオミクロン株に感染 ノルウェーでは、オスロー市内のレストランで開催されたクリスマスパーティーに参加した111人中80人(73%)でSARS-CoV-2感染が確認され、ほとんどがオミクロン株による感染と推定されている。参加者の大多数は30-50代で、2回のワクチン接種歴を有していた。80人中79人が何らかの症状を呈し、多くの者はパーティーの3日後の発症であった。感染例の70%以上で咳、頭痛、咽頭痛、倦怠感を、半数以上で発熱を認めたが、入院例や死亡例は報告されていない。なお、この集団での潜伏期間は中央値3日だった 。ワクチン・抗体医薬品の効果への影響や自然感染による免疫からの逃避 オミクロン株は、ワクチン接種や自然感染による免疫を逃避する性質が、遺伝子配列やラボでの実験、疫学データから示唆されている。ワクチンで誘導される抗体の in vitro(試験管内)での評価や疫学的評価から、ワクチン2回接種による発症予防効果がデルタ株と比較してオミクロン株への感染では低い可能性が示されている。3回目接種(ブースター接種)により、オミクロン株感染による発症予防効果が高まる可能性が示唆されているが、3回目接種からの日数が数週間程度と非常に短い者におけるデータであるため、中長期的にこの効果が持続するかは不明である。また、モノクローナル抗体を用いた抗体医薬品についても、in vitroでの評価で、カシリビマブ・イムデビマブ(ロナプリーブ)は、オミクロン株の分離ウイルスに対して中和活性が著しく低下している可能性があり、その他、バムラニビマブ・エテセビマブ、チキサゲビマブ・シルガビマブにおいても中和活性が著しく低下している可能性があるという報告がある。さらに、非オミクロン株に感染歴のある者の再感染は、非オミクロン株と比較してオミクロン株への感染がより起こりやすい(再感染しやすい)との報告がある。重症化予防に関する効果は十分な評価が得られていないが、ワクチン接種や過去の感染により、オミクロン株感染では重症化リスクが低下している可能性が示唆されている。ワクチン2回接種後のオミクロン株に対する有効率は88%でデルタ株と同等 英国健康安全保障庁(UKHSA)は症例対照デザインを用いて、オミクロン株およびデルタ株感染による発症に対する、新型コロナワクチン2回接種および3回(ブースター)接種及び未接種と比較した有効性の暫定的な評価を行った。2021年11月27日から12月6日に実施された検査において、主にSGTFを用いて、デルタ株感染例56,439例、オミクロン株感染例581例に分類し、検査陰性者130,867人と比較して、それぞれのワクチンの有効率を算出した。ファイザー社製のワクチンを2回接種後2-9週間ではオミクロン株に対する有効率は88%(95%CI 65.9-95.8)とデルタ株(88.2 (95%CI 86.7-89.5))と同等であった。しかし、2回接種後10週以降では、デルタ株よりもオミクロン株に対する有効率が低かった。2回接種後20週以降においては、デルタ株に対する有効率が60%強であるのに対し、オミクロン株に対する有効率は35%程度であった。ブースターの発症予防効果については、12月17日までの検査を含め、デルタ147,597症例、オミクロン68,489症例を組み入れた更なる解析結果が報告されている。ファイザー社製ワクチンを2回接種後に、3回目(ブースター)接種としてファイザー社製ワクチンを用いた場合には、接種直後に発症予防効果が70%に上昇するものの、10週以降で45%に低下していた。3回目(ブースター)接種としてモデルナ社製ワクチンを用いた場合には、3回目接種5〜9週間後には約70~75%の有効性が認められた(10週以降のデータなし)。アストラゼネカ社製ワクチンを2回接種後に、3回目接種としてファイザーもしくはモデルナ社製ワクチンを用いた場合には接種2~4週間後に約60%に上昇した。しかし3回目接種10週間後にはファイザー社製ワクチンをブースター接種した場合で35%、モデルナ社製ワクチンをブースター接種した場合に45%にまで低下した。いずれの結果についても、観察研究であるため、バイアスや交絡の可能性があり、また、オミクロン株感染例は少ないため、信頼区間が広く、点推定値の評価には注意が必要である。また、本報告は発症予防効果についての評価であり、オミクロン株感染による重症例に対するワクチン有効性については、今後の更なる検討が必要である。3回接種は2回接種に比べてオミクロン株に対する中和抗体価が高い オミクロン株においては、複数の国の研究機関等からの報告において、抗原性の変化による感染回復者やワクチン接種者の血清による中和能の低下が示されている。これらの結果は実験系の違いや使用された血清の採取時期(感染やワクチン接種から採血までの期間)の違い等により数値にはばらつきがあるものの、アルファ株以前に主流であったD614G変異を持つ株やデルタ株、オミクロン株以前の分離株でワクチン株から最も抗原性が離れていると考えられるベータ株と比較して、オミクロン株に対するファイザー社製のワクチン2回接種で誘導される中和抗体価は一貫して低い。3回(ブースター)接種後においての報告もあり、2回接種と比較するとオミクロン株に対する中和抗体価が高いことが報告されているが、従来株に対する中和抗体価と比較すると低い。これらの結果は中和抗体のin vitro(試験管内)での評価であり、解釈に注意が必要である。(計量計測データバンク編集部)【資料】コロナ オミクロン株を知るために 全然違うデルタとオミクロン 対応の根本的転換を【児玉龍彦×金子勝 新型コロナと闘う その先の世界へ】2021年12月25日公開。ユーチューブ 動画児玉龍彦さん(東大先端研)と金子勝さん(立教大)にうかがう「新型コロナと闘う」シリーズ。オミクロン株の市中感染はあっという間に全国で確認されています。実は、デルタとオミクロンは、同じコロナでも全然違う。デルタ株も一つではなく、ロシアや東欧、米国では、日本で急減したデルタ株とは違うデルタ株がしつこく死者を増やしています。今、街には、特性も治療法も重症化率も全く異なる種類の「コロナ」が流行しています。新顔のオミクロン株は、空気感染で感染力は高まるが、抗体を回避するために起きた変異によって逆に肺の細胞にとりつく力は低下し、重症化率は下がるだろうと言われています。しかし、その特性のためにデルタには効く「抗体薬」の効果は薄く新薬の飲み薬は効いているようです。患者にとっては、コロナかな?どのコロナかな?を診察・検査によって確定し適切な治療をしてもらうことが、重症化防止にも感染の抑制にも必要です。そのためには日本のすべての医療資源を活用し、ふつうの病気と同じようにおかしいなと思ったらクリニックに行き、検査して必要なら入院し、重症化リスクが低ければ投薬治療で自宅で静養するという国民皆保険の下での医療の提供を工夫しなければとてもやっていけないでしょう。「敵」を正しくとらえることなく的確な防御はできません。日本だけではなく世界を見て、コロナウイルスのゲノム解析、遺伝子工学的な分析を含め科学的知見をもとに、必要な対策を講じなければ、患者の命を守れません。コロナの波に翻弄され続けて経済活動も再生できないことは明らかです。今の政策は抜本的に変更することになりますが、それが国民・住民の命を守る科学的な思考に基づく対応策です。岸田さんに、その英断が求められています。収録は、2021年12月25日https://www.youtube.com/watch?v=iN9ExQ0WfPk地球温暖化論争の雑記帳(データベース)by計量計測データバンク編集部2021年ノーベル物理学賞は物理法則により地球の気候を再現した真鍋淑郎氏ら三人ロンドンを流れるテムズ川が1677年氷結したのを描いた絵画 犬と子供がはしゃいでいる地球温暖化論争 部分を測ったことで全体を推し量る手法に誤りはないか東京大学の考古学教室では現在を温暖化の最終期であり気候サイクルによってこれから寒冷化に向かうとあっけらかんに語る気候力学とシステム図 北海道大学大気海洋物理学・気象力学コース計量計測のエッセー カーボンニュートラルという虚構政策2022年オミクロン株による感染防止の国家政策と個人の対策計量計測のエッセー2022-01-04-national-policy-and-individual-measures-to-prevent-infection-by-omicron-strains-2022-