2004/03/12(金)18:46
白い巨塔と「無痛文明」
楽天にも白い巨塔ファンは相当多いと思う。
私の周囲の「白い巨塔といえば田宮二郎じゃなきゃ」といっていたおじさんたちも、唐沢版に撃沈されている。
白い巨塔にはまったために、つれあいが珍しく衝動買いをした。
田宮二郎版「白い巨塔」のDVDボックスを買ってしまったのである。
テレビドラマ全9巻+映画1巻のセットで4万円也。
じつは私も欲しかったので文句も言えず、二人で見たのだが、第1話目から驚愕のシーン!
手術の時の人間の体内をばっちり移しているのである。
DVD付属のリーフレットを見ると「実際の手術シーン」を撮影したらしい。
皮下脂肪ってほんとうに黄色なんだ~、静脈ってやっぱり黒いね~、などと感心するつれあいも、何度も手術シーンを見るうちに次第に無口に。
私はメスを人体に入れるシーンからすべて目をそむけてました。
こういうのはからっきし苦手なのだ。
そういえば唐沢版の白い巨塔には手術シーンはあっても、人間の内臓なんて一回もでてこなかった。
これも現代日本がいかに「無痛文明」に席巻されているかということの一つの証明かもしれない。
私自身も手術シーンを見ることができないほど無痛化されている。
とても卑近な問題だけど、でも深刻だ。
昭和53~54年の放映ということだが、当時はこんな映像でクレームがつかなかったんだろうな。
少なくとも医療ドラマにおける「無痛化」はこの15年くらいで急激に進んだといってもいいのだろう。
もし無痛文明をテーマに研究しようとする場合、医療ドラマなんかはいい素材になるかもしれない。
ドラマ自体は昭和50年代なので全体的にゆっくりとした進行。
田宮二郎は、おじさん達が教えてくれた通りなかなかのいい男ぶりである。
又一や岩田浪速医師会長は田宮版の怪気炎ぶりに軍配をあげよう。
鵜飼学部長と大河内教授は唐沢版の方が厚みのあるキャラクターになっている。
田宮版ではケイ子が実は「みなしご」という設定なのだが、これは昭和50年代までは辛うじてリアリティを持ち得たのかもしれない。
そういえば田宮版の東教授はシガー派。
あの細さはコイーバ・パナテラスあたりのサイズだろう。
石坂浩二の東教授は確かシガリロだったような。記憶が曖昧なのだが。
そんなわけで田宮版と唐沢版の「白い巨塔」の比較はなかなか面白かった。
ちなみにその日の夕食はしゃぶしゃぶ。
もつ鍋じゃなくて良かった。(夕食がもつ鍋の方、ごめんなさい)
唐沢版・白い巨塔
田宮版・白い巨塔
財前教授(唐沢)のライターはデュポンのようです。
東教授(田宮版)ご愛用?のコイーバ・パナテラスはこんな感じ