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弓野人形(佐賀)

 佐賀の郷土玩具として知られる弓野人形は古博多人形の流れを汲むもので江口家の物などが現在も作られております。

 残念ながらこちらには招き猫の型は無い様で、資料にも登場しておりません。

 さて写真の猫ですが、これは先頃飛騨高山にまいりましたさいに露店の骨董商より買い求めたもので、売り手も正体、時代共に不明とのことで、保存状態も決して良いとは言えず、迷いもありましたが、耳の形状耳周りの黒の入れ方、重心の低いバランスなどから、三河系の古作では無いかと考え、思い切って購入したものです。

 帰宅してから様々な資料を調べましたところ、以外にも大きさ形状手の形、顔書きのすべてが一致するものがありましたので、個人的には、これを
廃絶した古瀬与三郎氏作の弓野人形招き猫と断定しました。

 もちろん、骨董の専門家ではありませんので確証はありませんが、京都の郷土玩具専門店、郷土玩具 平田で非売品の棚に並んでいた弓野古作と同形同色同寸であることは確かめました。

弓野人形(佐賀)


 古瀬氏がいつごろまで制作されていたのか不明ですので、時代のほうも確証はありませんが、貯金玉になっている猫の内部から慎重に硬貨を取り出しました所、歴然とした古銭(寛永通宝)と昭和二十三年の穴無し五円、昭和二十五年の穴あき五円が出てまいりました。

 寛永通宝はさすがに信用には至りませんが、二十三年の穴無し五円は翌年との二年間しか発行されておらず、二十五年の五円も前年度より発行されたもので、これを作為に用いるとは考えにくいことから、この猫は少なくとも昭和二十三年以前に製作されたもの考えられます。

 当時の状況を考えれば、戦後まもなくの作、もしくは戦中、戦前あたりが妥当では無いかと思われます。

 今年を仮に昭和に換算すると七十七年ですので、五十五年以上の時を招き続けてきた猫、福次郎より一回り以上先輩の猫であります。

 三河と読んだのは私の未熟さながら、意外なところで思わぬ珍品と出会えました。

 御覧のとうり、惹かれるものがあるいい猫だと思います。
 どこの誰が佐賀の猫を飛騨まで連れてきたのかわかりませんが、猫に歴史ありですね。



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