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しょうちゃんのブログ 折々の記

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2009.01.31
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カテゴリ:読書
  塩野七生著「ロードス島攻防記」を読んで

 私は、最近、塩野七生著の地中海世界を舞台にした歴史小説3部作を順次読み直しています。

 そのうちの「レパントの海戦」については、1月23日の、そして「コンスタンティノープルの陥落」については、1月27日のブログで書き、今回は「ロードス島攻防記」を読み終えましたのでこのブログを書きました。

 エーゲ海の東南、小アジアにいまにもくっついてしまいそうな近さに位置するロードス島は、南西から北東に向けて、まるでラグビーのボールを置いたような感じで浮かぶ島で、この物語の時代には、イスラム世界に対してキリスト教世界の最前線に位置する島でもありました。

 1453年、オスマントルコのメフメット2世は、コンスタンティノープルを陥落させました。その後、巨大な帝国を形成しつつ西進を目指すオスマントルコにとっては、このロードス島は喉元のトゲのような存在でした。

 1522年、メフメット2世のひ孫にあたるスレイマン1世はついに自ら陣頭指揮を取ってロードス島攻略を開始しました。この物語は、島を守る聖ヨハネ騎士団との5ヶ月にわたる壮烈な攻防を、緻密の筆致で描いた歴史絵巻物語です。

 1522年8月1日、オスマントルコ軍の10万の兵と大砲・地雷などによるロードス島攻略が火ぶたを切りました。それに対し、聖ヨハネ騎士団の戦力は、騎士600人足らず、そして傭兵・島民を含めて総勢6000人程度です。

 騎士団は、中世の雅やかな甲冑とマントを身にまとい、槍を手に城塞を守り、壮大な歴史絵巻が繰り広げられたのです。

 しかし、聖ヨハネ騎士団は、数では圧倒的に勝るオスマントルコの大軍に包囲され、キリスト教諸国の援軍もないままに、5ヶ月の激しい攻防戦の末、遂に12月26日降伏し、翌年1月1日住み慣れたロードス島から撤退したのです。

 騎士と島民たちの英雄的な攻防戦は、スレイマン1世を感嘆させ、敗者の栄誉として武装し軍旗を掲げて撤退することが許されたのです。

 宗教の対立は今も昔も変わりませんが、「スレイマンこそ本当の騎士だった」と騎士団長に言わしめるスルタンの姿。後の世に「大帝」と言われ、人々の尊敬を集めたスレイマン1世の勇士がうかがえます。そして、攻防戦の中で生まれる騎士団同士の友情・愛情・別れに心打たれます。ロードス島を舞台に、中世の騎士の世界を美しく、華麗に描いた物語でした。

●聖ヨハネ騎士団について

 聖ヨハネ騎士団の起源は十字軍に遡ります。エルサレムの病院から始まった騎士団は次第に軍隊的組織に変貌し、各地を転々としロードス島を本拠地にしていたのです。この物語の通り1522年、オスマン帝国のスレイマン1世によりロードス島は陥落、本拠をマルタ島に移して、マルタ騎士団と呼ばれていました。しかし、1798年、ナポレオンの侵攻により、マルタ島を奪われ、領土を失いました。

 その後、難民となって各地を放浪し1834年に、本部をローマに移しました。塩野氏によれば、ヴァティカンと同じようにイタリアの中の独立国であり、所有の自動車ナンバーも独自のものを使い、切手を発行し、本部内の郵便局からは、騎士団の切手をつけて日本にも手紙を出すことができるとのことです。

 さらに、特筆しなければならないのは、聖ヨハネ騎士団が、骨董品として残っているのではなくて、活動を続ける組織であるということです。イスラム教徒相手の戦士たちは消えましたが、騎士団のもう一つの任務であった医療活動は残り、今も活発に活動を続けているのです。

関連リンク<<ロードス島>>については、こちらから。

関連リンク<<聖ヨハネ騎士団>>については、こちらから。

(上の画像の説明: 新潮社・塩野七生著「ロードス島攻防記」のカバー装画をスキャニングしました。ただしこの図は、1480年のメフメット2世による包囲を描いたものです。パリ国立図書館蔵)

(下の画像の説明: その1 新潮社・塩野七生著「ロードス島攻防記」に挿まれていた参考資料・東地中海世界をスキャニングしました。)

(下の画像の説明: その2 新潮社・塩野七生著「ロードス島攻防記」に挿まれていた参考資料・1522年当時のロードス市街図をスキャニングしました。)

(下の画像の説明: その3 創元社、知の再発見双書51、テレーズ・ビタール著、鈴木董監修「オスマン帝国の栄光」のカバー装画をスキャニングしました。画像は、スレイマン1世です。)

(下の画像の説明: その4 フリー百科事典・ウィキペディアのロードス島の項目に掲載されていた写真をコピーしました。現在のロードス島です。)

塩野七生著「ロードス島攻防記」を読んで

塩野七生著「ロードス島攻防記」を読んで

塩野七生著「ロードス島攻防記」を読んで

塩野七生著「ロードス島攻防記」を読んで







Last updated  2009.01.31 15:22:30
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おちぇぶ@ Re:塩野七生著・新刊「ローマ亡き後の地中海世界・上巻」を読んで(02/13) こんにちは。調べものをしていて「サラセ…
小林 須佐男@ Re:「三角縁神獣鏡」の謎について(01/19) 倭国の女王が大人の難升米・他を郡(帯方…
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