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 しょうちゃんのブログ 折々の記

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2009.05.04
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カテゴリ:読書

  小説・井上靖著「敦煌」読書と映画・DVD「敦煌」を観て その1

(上の画像の説明・新潮文庫「敦煌」の表紙カバーをスキャニングしました。)

 5月1日は、ゴルフに行き、絶好の好天気と山々の目にしみるような若葉を体験して、スコアはともかく、健康的な一日を過ごせました。お陰で3日はゆっくりと、井上靖の西域小説の傑作「敦煌」を読み直し、時間もあったので、同小説を映画化した、映画「敦煌」をDVDでまた改めて観ました。

 まさに昨日は、「敦煌」尽くしの一日でした。悠久のシルクロードが生んだ、歴史へのロマンに酔った一日でした。

小説・井上靖著「敦煌」読書と映画・DVD「敦煌」を観て その1

(上の画像の説明・佐藤浩市演じる(ちょう)行徳(ぎょうとく)です。)

小説・井上靖著「敦煌」読書と映画・DVD「敦煌」を観て その1

(上の画像の説明・三田佳子演じる西夏の女です。映画では男に買われないため、自分で顔に傷をつけます。)

◎小説のあらすじ

 西暦1026年の宋の時代、科挙の試験に失敗した(ちょう)行徳(ぎょうとく)は、開封の街で不義を問われたのか、西夏の女が裸で売りに出されているのを救ってやります。女は、体を細切れで売られようとしても「みんなは売らないよ。西夏の女を見損なって貰っては困る。買うならばらばらにして買って行け」と気性激しくタンカを切ります。そのプライドの高さと逞しさ、そして助けた女がくれた布切れの西夏文字から、行徳は未知の国、西夏に関心を持ち、西域へと旅立つのです。

 読者はその描写に一気に小説の舞台へと引きづり込まれます。

小説・井上靖著「敦煌」読書と映画・DVD「敦煌」を観て その1

(上の画像の説明・西田敏行演じる西夏外人部隊の隊長・朱王礼です。)

 西域に入った彼は、誤って西夏の部隊に捕えられ、漢民族による外人部隊に編入されますが、朱王礼という生粋の武人である隊長に目をかけられ、重用されてゆきます。

 そして、ある年行徳は西夏文字を習得制定するために軍務を解かれて、首都・興慶へ留学します。

小説・井上靖著「敦煌」読書と映画・DVD「敦煌」を観て その1

(上の画像の説明・中川安奈演じるウイグルの王女、映画ではツルピア王女です。)

 もう一つ彼の一生を決定する事件は、この留学の前に、彼の部隊がウイグル族の拠城甘州に突入した時に起ります。そこで彼は王族の娘に出遭ってこれをかくまい、二人は愛し合うようになります。

 出発の時、彼女には、1年以内に必ず戻って来ると約束し、朱王礼に彼女の保護を頼み首都留学に行きます。

 しかし、1年はまたたく間に過ぎ、留学期間が延び2年後にやっと朱王礼の部隊に戻ってきますが、彼女はおらず、朱王礼は死んだとだけ言うのでした。

小説・井上靖著「敦煌」読書と映画・DVD「敦煌」を観て その1

(上の画像の説明・渡瀬恒彦演じる西夏の皇太子・李元昊(りげんこう)です。)

 やがて、西夏の皇太子・李元昊(りげんこう)の査閲のある前日、李元昊が通りすぎ、次にそれに続く馬上の人物に目を遣った行徳は、思わず息を呑みます。

 その馬上の人物は、思いがけず女人であり、しかも死んだ筈のウイグルの王族の女に瓜二つであったからです。

 よく確かめようとして近づいた彼は、「あ!」と、馬上の女の口からかすかな驚きの声が上がったのを、聞き逃さなかったのです。一瞬彼女の眼は行徳の顔に当てられますが、そのまま早足で馬を進め、行徳の前を去って行きました。しかし、行徳は女は生きていると確信します。

小説・井上靖著「敦煌」読書と映画・DVD「敦煌」を観て その1

(上の画像の説明・婚礼の席上、ツルピア王女は李元昊を刺そうとしますが失敗、そのまま城壁の上から身を躍らせて死んでしまいます。)

 

 そして、その翌々日、朱王礼から女が城壁の上から身を躍らせて死んだことを伝えられます。また、朱王礼は、「今だから言うが、俺はあの女が好きだった。いまでも好きだ」と言うのです。

 ここで、初めて李元昊が、朱王礼から女を奪い、女は三日三晩死の責苦にあって、李元昊の側室になることを承知したことを知るのです。

 行徳は思います。1年経っても自分は戻らなかった。悪いのは自分の方である。女は自分の運命に従う以外仕方がなかった。おそらく女が城壁から身を(ひるがえ)したのは、自分のために心の潔白を訴えかったのだと。

 朱王礼は長く西夏の武将として軍功を立てていましたが、これを契機に女の怨みから西夏皇太子・李元昊に背き、その外人部隊は反乱部隊となります。

 そこには当然漢民族の血が逆まいているのであり、行徳も部下としてその軍に加わります。

 しかし、反乱は寸前のところで失敗に終わり、ついに李元昊を討つことはできませんでした。

小説・井上靖著「敦煌」読書と映画・DVD「敦煌」を観て その1

(上の画像の説明・反乱を起こした朱王礼は、李元昊の軍に3度突入しますが、目的を果たせず、ついに戦死します。)

 

 彼らは東から西夏の軍に追いまくられ、ついに沙州(敦煌)にたてこもりますが、西からは回教徒の軍勢に迫られ、ここに壊滅することになり、朱王礼は、出撃して戦死します。

 敦煌の街は西夏軍が攻めて来るというので、大きな荷物を抱えた住民で混乱していました。そんな中、とある寺で3人の若い僧が戦火を逃れるために、経典を守ろうと難渋している光景に出合います。

 行徳の知識をもってすればその経典の価値はすぐに判断できます。この大量の経典を戦火から守る方法はないものかと彼は考えました。経典を運搬する手段はなく、まして隠す場所もありません。西夏の軍は目前に迫っています。

小説・井上靖著「敦煌」読書と映画・DVD「敦煌」を観て その1

(上の画像の説明・原田大二郎演じる隊商のリーダー・尉遅光(うつちこう)を利用して、行徳や僧は必至で経典類を敦煌莫高窟へ運び込みます。)

 行徳は、ホータン王族の血を引く隊商のリーダー・尉遅光(うつちこう)に白羽の矢を立てました。この隊商のリーダーは、野心満々の隊長で、一皮むけば狼の顔を持っていますが、行徳は彼の野望を利用することにしたのです。

 この隊商のリーダーの欲得と、それを巧妙に利用した行徳の機転により、貴重な経典は敦煌の(ばく)高窟(こうくつ)に運び込まれました。時に1035年のことでした。

 隊商のリーダー・尉遅光(うつちこう)は戦後この隠匿物資を掘りに行きますが、その地で雷死し、程なく行徳も世を去り、この経典たちは、その存在を誰にも気付かれることなく、長い長い眠りにつくことになるのでした。

 そして1900年、王道士によって、この夥しい経典類が、たまたま発見されました。

 王道士は、イギリス・フランス・ロシア・日本などからやって来た探検隊に、経典を売り渡しました。これによって敦煌は、一躍脚光を浴び、世界中の人々に知られることとなったのです。

 小説「敦煌」は、11世紀初頭、城塞都市敦煌が、宋と勃興する西夏との動乱に巻き込まれて、滅んでいくまでの経緯を、主人公・趙行徳の目を通して描いた歴史ロマン小説です。

 そして井上靖は、この歴史ロマン小説を通して、数万点にものぼる夥しい経典類が敦煌莫高窟の第17窟((ぞう)経堂(きょうどう))に隠されるまでの運命的ストーリを、著者自身の推論なども入れ、感動的に語っているのです。

 歴史好きの方、特にシルクロードの好きな方は、殆ど読んでおられると思いますが、そうでない方にも絶対お勧めの小説です。

 次のブログには、その2として、映画・DVD「敦煌」を観た感想を書きます。






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Last updated  2009.05.04 07:20:58
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