|
カテゴリ:映画・テレビ
7月15日、TOHOシネマズ梅田で「愛を読むひと」を観ました。 この映画は、世界的ベストセラー小説で、世界が涙した名作・「朗読者」待望の映画化であり、この映画の主人公・ハンナを演じたケイト・ウィンスレットが、本作で第81回本年度アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した話題の映画です。6月19日(金)、<朗読の日>にロードショーでしたが、なかなか観る機会がなく、終映間近ということで、急ぎ鑑賞となりました。 「愛を読むひと」は原作にほぼ忠実に映像化され、その行間にあるものを見事に映像として表現していました。観た後も、深く心に残る映画でした。私達は戦争犯罪という忌まわしい歴史にいかに向き合うのか考えさせられる映画でした。本当の映画らしい良作でした。 (上の画像の説明・映画「愛を読むひと」のチラシをスキャンしました。) (映画「愛を読むひと」の公式サイトは、こちらから。) ◎ストーリー 物語の舞台は1958年、ドイツ。15歳のマイケル(デヴィド・クロス)は21歳年上のハンナ(ケイト・ウィンスレット)との恋に落ちます。やがてハンナは彼に本の朗読を求めるようになり、それが二人の愛し合う前の儀式となりました。二人の夏の日の4日間の自転車旅行の思い出が物語の伏線のように使われ、このあとハンナは忽然と姿を消してしまいます。 (上の画像の説明・マイケルとハンナの夏の自転車旅行の光景です。映画「愛を読むひと」の公式サイトの画像をスキャンしました。) 8年後、法学専攻の大学生になったマイケルは、法廷でハンナと衝撃の再開を果たすのでした。彼女は被告の一人として戦時中の罪を裁かれ、ある秘密を守るため不利な証言を認めて無期懲役の判決を受けます。 それから時は流れ、結婚と離婚を経験したマイケル(レイフ・ファインズ)は再び彼女の朗読者となり、刑務所に朗読を吹き込んだテープを送り続けます。 彼の想いを受け取り続けるハンナ。そして彼女もまた、ある決意を実行しょうとしていたのです。 ◎衝撃の再会~ハンナの秘密 1966年、ナチの犯罪者を裁く裁判で被告席にいるハンナと、その傍聴席から彼女を発見する法科の学生マイケル、二人は運命の再開を果たします。 この裁判の進行によってはじめて知る真実にマイケルは苦しみます。ハンナはユダヤ人強制収容所の看守としてナチに関わっていたのでした。その罪で裁かれる彼女は、自分のしたことを認め、それどころか他人の罪まで押しつけられ、被告となった5人の女性たちで一番罪の重い、無期懲役の判決を受けたのでした。 この時になってマイケルはハンナの秘密に気がついたのです。沢山の本を読ませたことの意味、レストランで料理の選択はあなたに任せる、と言った真の意味、教会のベンチに腰を下ろして涙を拭っていた出来事。あの夏の日、彼女はただ幸せに酔っていたわけではなかったのです。 ハンナは、読むことも書くことも出来ないのでした。 だから市電の会社での出世のチャンスも棒に振ったのです。車掌でいるあいだには隠せたかもしれない弱点は、事務職になれば明るみに出てしまうでしょう。同じ理由で、彼女はジーメンスでの昇進をも断り、看守になったのでした。そして、専門家と対峙させられることを避けるために、報告書を書いたと言ってしまったのです。 裁判の進行につれて、マイケルには真実を語ることで彼女を救おうという思いが沸き上がります。彼が真実を述べれば彼女の刑は軽くなるかも知れない。しかし、そうなれば隠し続けることで彼女を支えてきたものの総てが失われるかも知れない。真実をとるか。彼女の誇りを尊重するか。 マイケルは彼女に面会を申し込みますが、直前で勇気をなくしてしまいます。結局マイケルは、無期懲役の判決を言い渡されるハンナを、涙で曇った瞳で見つめることしか出来なかったのでした。 教育を受けず、文字も読めないまま成人して、生きていくために与えられた仕事をして、いま、裁判で自分のしたことが悪だと指摘されているハンナ。教育を受けられなかったことの罪を、受けられなかった本人が背負わなければならないのか?そして、ナチの<加害者>として罪深いのはハンナ一人なのか?ハンナが裁判長に問う「あなたならどうしましたか?」という言葉の重みが胸に染み込みました。 ◎最後の朗読者~マイケル・ある愛のかたち その後、弁護士になったマイケルは、結婚と離婚を経験し、まだ幼い娘とも別れ、再び独りで生きていました。 ハンナが犯した罪への怒り、彼女を助けられなかった悔恨、消えない愛の記憶......様々な想いに引き裂かれていました。彼女の服役後8年、初めて彼女と会ってから、20年近くの歳月が過ぎようとしていました。マイケルは、ハンナが心と体に残していった傷跡に向き合うために、そしてハンナ自身の無数の傷を癒すため、ある決意をしました。 (上の画像の説明・マイケルの朗読の光景です。映画「愛を読むひと」の公式サイトの画像をスキャンしました。) マイケルは、思い出の「オデュッセイア」「ドクトル・ジバゴ」「犬を連れた奥さん」......テープレコーダーのマイクに向かって、初めは淡々と、やがて生き生きと、何冊も何冊も朗読を吹き込み、ハンナが服役する刑務所にテープを送り続けます。ハンナの最後の朗読者になる。それがマイケルのたどり着いた答えでした。 以下、次のブログでは、テープを送り続けるマイケルに対し、ハンナも彼の想いを受け取り、服役している刑務所である決意を実行しょうとしていました。そのこととは、そしてハンナの最期などについて書き込みたいと思っています。 (上の画像の説明・新潮社、本作の原作「朗読者」(ベルンハルト・シュリンク、松永美穂 訳)の表紙カバーをスキャンしました。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.07.18 21:54:19
コメント(0) | コメントを書く
[映画・テレビ] カテゴリの最新記事
|
|