GWの旅 その2
今日は朝から、ただただ列車に乗り続けるだけという、友人に言わせれば『罰ゲーム』の様な旅をする事になります。目的は紀勢本線に乗る事のみで、相変わらず観光地を見学する事など、想定もしていない予定です。紀伊半島を一周するだけでも、特急列車を乗り継いで8時間程かかるので、普通列車のみで行動しようとすれば、途中で一泊しなければいけません。本当は普通列車でゆっくり、のんびりと進みたかったのですが、今回は時間もなかったので諦めました。朝のワイドビュー南紀1号で名古屋を出発すると、列車は市街地を進みます。名古屋駅を出発右隣には近鉄線が接近していて、この先四日市駅のひとつ手前にある富田駅まで離合を繰り返しながら、共に進んでゆきます。八田駅~春田駅間 近鉄線には特急列車が見えます。四日市を過ぎてしばらく行くと、伊勢鉄道線に入り、高規格の線路を快調に進みますが、基本的には水田地帯の間を走る様なイメージで、人家は多くありません。国鉄時代に関西本線と紀勢本線を短絡する目的で建設された様に、路線内の人口はあまり問題ではないのでしょう。現在でもJR東海の快速列車や特急列車が、この伊勢鉄道を経由して運転されています。河原田駅~鈴鹿駅間 広大な水田が広がっています。津に到着すると、一時離れていた近鉄線が接近してきますが、しばらく並走したのちに再び離れてゆきます。松坂駅で再び近鉄線と並走しますが、これが最後となってしまいます。この付近から少しずつ山の気配が近づいてきて、多気駅をすぎた頃からは完全に『山線』の匂いが漂ってきます。10年ほど前に紀勢本線に乗車した際、この先の区間では紀勢自動車道の建設が盛んに行われていましたが、それが現在では既に完成していて、この先々で構造物の巨大さを実感する場面が出てきます。確かに道路事情は不便な場所ですが、これではますます鉄道の存在意義が薄れてしまい、ただでさえ減少気味の乗客が、ますます少なくなってしまうのではないかと、危惧されます。川添駅~三瀬谷駅間 10年程前は、まだ工事中でした。時の経過を感じます。紀勢本線のイメージと言えば、やはり海岸沿いの路線という感じもしますが、JR東海の範囲は山の中を走る区間が、かなり多いと感じます。線路はますます山深い風景の中を走る事になり、眼下を流れる川も渓谷の様な雰囲気をかもしだします。滝原駅~阿曽駅間 大きな岩が目立つ様になり、源流の様な雰囲気となります。この辺りから、トンネルが連続する様になり、長大なものも散見される様になってきます。幾つものトンネルを抜け、海が見えてくると紀伊長島駅に到着します。紀伊長島駅手前 海が見えてきます。ここからしばらくは海沿いを走る事になりますが、漁港や湾内に浮かぶ養殖いかだなどを見ていると、昨年訪問した東北三陸地区の風景を思いだします。この沿岸も津波被害のリスクは高いと、常々言われている地域で、線路沿いの道路などには浸水想定地区を示す標識が各所に建てられていました。列車は時折海岸線に顔を出しながらも、基本的には山中をトンネルで貫けてゆきながら、尾鷲駅に到着します。この先は海岸線に近い所を線路は進みますが、切り立った山が海岸線に迫る厳しい地形の為にトンネルも連続します。この区間は紀勢本線の中でも最後に開通した場所になり、昭和34年に開通した比較的新しい区間です。土木工法も進展していた為に、駅を設定する集落間をトンネルで短絡する様に造られています。この区間にも高速道路の工事の波は訪れていて、各所に工事の槌音が聞こえ始めています。また10年後には立派な構造物が、線路の頭上を跨ぐ風景が展開するのですかね・・・新鹿駅~波田須駅間 広がる砂浜の奥の山に工事途中の道路が見えています。やがて熊野市駅をすぎると住宅地が目立つ様になり、線路も平地を走ります。鵜殿にある紀州製紙の工場を過ぎ熊野川の長い橋梁を渡ると新宮駅に到着します。熊野川橋梁を渡ります 奥に見える天理教の巨大な寺は前回訪問時にも気になっていました。新宮駅からはJR西日本の領域となります。当然、駅名標もJR西日本仕様となり、いつも見慣れている為なのか、少し興ざめしました。この駅から先は電化されていて、電車が通っています。乗務員が交代し、列車は更に先に進みます。線路は海岸線に沿いながら進みます。砂浜というより、小石が目立つ浜が続く中を進み、やがて終点の紀伊勝浦駅に到着します。駅前の風景は10年前とほとんど変わっていない様な気がします。前回はこの街で一泊しましたが、その際に利用した食堂やモーニングを食べた喫茶店など、見る端から次々と記憶が甦ってくるのが不思議でした。新宮駅~三輪崎駅間 小石が敷き詰められた様な海岸線が続いていました。紀伊勝浦駅前 前回訪問時とそれほど変わっていない様子でした。ちょうど到着が昼前だったので、駅前の食堂で定番の生ビールとまぐろ丼をいただき、次に乗るオーシャンアローを待ちます。 ↑よろしかったら押してくださいな