300Bシングルでバッハを聴く
我が家にもう一台ある真空管パワーアンプ。大西正隆氏設計、商品ネームは「HK33」、300Bシングルロフチンホワイト型パワーアンプです。 詳しい仕様についてはKTエレクトロニクスのHPにお任せすることにして、私的には「300Bの音が聴きたかった」ので、1年ほど前にこのキットを購入し一週間かけて組み立てました。いつものように「これで完璧!」と思っておそるおそるスイッチを入れる。しかし、全く鳴らない…。やっぱり。弱電関係は全くのメカ音痴で、毎回大西先生宅に駆け込む始末です。先生はものの1時間足らずで配線間違いを探し出し、直していただける。またしても感謝。ま、正直「95%は私が作った」が正解ですかね(恥)。このアンプは最新のSIC・SBDというダイオード整流と一般的な真空管整流の2系統が切替でついている。音出し中でも切り替えられるので音質は一目瞭然。ダイオードの方が音がカチッと締まって輪郭がはっきりする。まさしく300Bの音。真空管整流の方はその逆。よく言えば「暖かい音」でしょうか。好みは分かれそうだが私はダイオード派。いつもそちらにスイッチを倒しておく。肝心の300B。評論家やオーディオマニアは、50年以上前のアメリカ ウエスタン・エレクトリック社のWE300Bを絶賛する。しかし、何せペア2本で5~60万もする貴重品。マルビマニアには高嶺の花だ。で、仕方なくナンチャッテウエスタンの中国産WE300Bを奮発した。それでも2本で7万円近くもする代物だ。我が家には300Bと名の付く真空管が他に2種類ある。とっかえひっかえ聴き比べたが、残念ながら私の耳ではその違いがまったく分からない。評論家は十数種類ある300B真空管を聞き分けられるのだからすごい耳の持ち主だ(???)。その評論家が言う「本物WE300Bに最も近い音」に騙されて買ったバカがここにいる。本当は「本物WE300Bに最も近い形」なんじゃないの?!。アンプのお話はこれくらいにして、今日はこれを使ってクラシックを聴きます。DSD音源のバッハ・オーボエ協奏曲集です。オーボエ=フランソア・ルルー(フランス)ヨーロッパ室内管弦楽団スピーカーはもちろんハーベスHLコンパクト。ハーベスはこういうアナログ楽器の再生を最も得意としている。ビビットで緻密な音楽をボリュームを上げず静かに聴き入る。ルルーのテクニックも一流。至福の時間が流れる。やはり上質な真空管アンプとヨーロッパ製スピーカーの組み合わせは最高ですね。