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2001.11.17
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 文藝春秋 十二月特別号

 会社の生協でなにげなくページをめくっていたら「小児がん 九歳の息子が遺した言葉」という手記が目に付きました。読んでいくとなみだがぼろぼろ。何度も読み返したいと思って買って帰りました。
 著者の息子さんナオくんは九歳のとき突然ガンを発病し、闘病生活のうえなくなりました。両親は病気のことを正直に伝え、ナオくんもがんばります。手術を繰り返し、ついに骨髄転移。「お母さんがナオと代わってあげたいよ」「ナオでいいんだよ。お母さんじゃたえられないよ」 小さな体で痛みと懸命に闘ってる。死がちかづくにつれ、ナオくんはいろいろ著者に注意するようになったそうです。勇気が大事。他人のことも考えて。あきらめないで。お母さん、ナオが死んだらダメな人間になりそうだからいま直してほしい… 小学生の子供が、こんなことをいうなんて。あと半日というときにもあきらめず強い意志で命をのばし、みんなとお別れをしたそうです。
 ああ、人間が生きることって、生命ってほんとうに尊いなあ、と心から思いました。とても短い命。でも、本当に一生懸命生きた命です。私もふくめて、人はたいてい明日もあさっても、今日のような日が続くことを疑っていません。でももしかしたら、次の瞬間、自分はいなくなるかもしれない。(非条理な殺人事件や飛行機事故、地震、テロなど。ここ数年の間に私たちはそういう何がおこるかわからない現実を知らされてきました) その、「もしかしたら」を時々は思い出して、いま、後悔しない行き方をしなくてはならないんだ。ナオくんの一生がそう教えてくれている気がしました。

 今回の文春は、ビン・ラディンという人物を分析した塩野七生さんの文や、早期教育やゲーム機の罪・ゆとり教育の勘違い・就職難の親子の問題など興味深い「教育特集」があり、読んで損はない内容です。





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Last updated  2001.11.17 22:59:12


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