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2002.02.02
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 「内臓のはたらきと子どものこころ」 三木成夫著 築地書館

 朝日新聞のブックサイトで糸井重里が絶賛していました。「子どもたちの成長・発達を科学の眼でとらえ直した」というシリーズ「みんなの保育大学」の1冊です。
これ、高校の生物の教科書にしてほしい。ヒトという生物について私たちが知っておくべき知識とは、こういう内容なのではないかという、そういう本です。

 ヒトが受胎してから1ヶ月後の1週間の間に、1億年をかけた生物の進化を再現するー自分が妊娠したときに、そのことを知ってすごく敬虔なきもちになったことを覚えています。この事実を、観察によって確認したのがこの本の著者、三木博士なのです。うわーー! この本には、博士がスケッチした胎児の顔、魚類から爬虫類、哺乳類と劇的に変化していく姿が掲載されています。

 子どもの成長を考えるうえで、大事なものとして博士が主張するのは、「内蔵=はらわた」の復権です。
 ヒトのからだには、何億年もかけて進化してきた生物の歴史が刻まれている。
 そういう観点からヒトと動物の体の構造を解剖学的にわかりやすく示しているのですが、脊椎動物は皮膚・筋肉・神経などの体壁系=動物機能と消化器管・血管などの内臓系=植物機能に2分されるといいます。
 生命の主人公は「内臓系」で「体壁系」は手足にすぎない。「思」という字は田が脳みそを上からみたところ、心が心臓をあらわす。心が頭を支えているのですね。
 昔のヒトは内臓感覚をきちんともっていて、季節感をはらわたで感じていた。いまの「あたま」でっかちの人間は、季節を目→頭で感じている。もう一度、はらわたから感じることの大切さを考えようというのです。

 内臓感覚の際たるものは顔と口の感覚!なのだそうです。というのも、脊椎動物の歴史をたどるとヒトの顔というのは「えら」=腸の最初の部分=内臓が露出していると考えられる。顔は腸の先っちょなのか…。ちょっとショックではありますが。
 
 赤ちゃんが母乳を吸うことによって、唇と舌を鍛えることは、内臓感覚を訓練することになる。やがてハイハイしはじめて、畳やおもちゃをなめまわす。手をつかえない赤ちゃんにとって、舌は手。なめまわすことによって無意識下にモノに対する記憶を蓄積している。声というものもえら運動の名残=「響きと化した内臓表情」であること。言葉の形成は豊かな内臓の感受性から生まれるといいます。
 そうであれば、思う存分なめさせたのに…と、いまさらながら後悔。(そんなものなめちゃだめ!と言ってたような気がします) わが子は3歳になっても無意識に積み木やクレヨンをかんだりなめたりしていますが、モノを内臓感覚で確かめているのだと思うと、安心&感心して見てやれるなあ。

  オムツをとる、とらない、夜寝る寝ないというのも内臓が記憶している宇宙のリズムであること。「なんでトイレでしっしできないの!」「どうして寝てくれないの!」 そうしたイライラも、ヒトの体がそうなってるんだと理解することで解消されるのではないでしょうか。





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Last updated  2002.02.03 12:15:33


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