カテゴリ:カテゴリ未分類
スティーブ・ビダルフ著 草思社 「今日、自分に自信をもち、やる気があるのは女の子たちのほうだ。男の子たちはどちらかというと目的もなくぶらぶらし、学校の授業にもついてきけない。また、人とのつきあい方もへたで、暴力、アルコール、ドラッグといったものにさらされる危険が高い。違いは、ごく幼い頃にはじまる。幼稚園に行って、ご自分の目で確かめるといい。女の子たちは、楽しそうに一緒に遊んでいるが、男の子たちは乱暴で、攻撃的である。女の子たちを困らせ、たがいにけんかに明け暮れている」 おどろいた。男の子たちは実は小学校くらいまで勉強で女の子に遅れをとっていて、人間関係にも自信がもてないでいる、というのです。小さいうちは男の子にとって受難の時代なのだと。 私などは、小さいときから男の子たちのほうが力も強く勉強もできて、うらやましく思っていたのですが。それは単に、社会がそう扱っていただけかも(男の子のほうにより期待をしていただけなのかも)しれません。 著者によると男女差というのはハッキリとある。いくら男女平等の世の中とはいってもその生物的な差をしっかり認識して、子供に接する必要があるといいます。 例えば脳の違い、影響を与えるホルモンの違い。男性ホルモンであるテストステロンは階級や競争に関心をもたせるのだそうです。「少年たちは自分がいる場所に構造がないと、不安になり、危機感を覚える」ああ、それで男の子は「族」のように群れるのが好きなのだなあ。少年たちには良い指導者のもとで公平に扱われることが、テストステロンの影響を良い方に転換させられるのだといいます そして、このテストステロンは、脳の成長を鈍らせるといいます。女の子は右と左の大脳が上手に連結できるのだけれど、男の子の場合、成長の遅い左半球は右半球から伸びる神経細胞と連結できず、右だけで連結する……だから男の子は右脳の働きが優れている……。少年が少女より低学年のうちは細かい動作が出来ず、言葉の発達やコミュニケーション能力が劣っているのは、こういうわけなのだそうです。 少年たちは幼稚園・小学校と少女より能力が劣っていることを知って、やる気を失う。内にとじこもってしまう。著者は少年の小学校入学を1年遅らせるべきだといっているほどです。この時期にまわりの大人たちが少年の特質を知って、上手に対応してあげることでこの危機は乗り切れる、というのがこの本の主張なのでした。 その際、6歳までは特定の人間(主に母親)との絆をしっかり結ぶ。6歳からは父親が男性というもののモデルとなる。14歳からは親以外の大人によるよい男性の役割モデルが重要になる。 少年たちが上手に感情を示せない、振舞えない、女性の扱い方を知らないのは、目指すべき男性モデルが欠如しているから。大人たちがそれを自覚して、よい自己イメージをもたせること、男性、あるいは女性との接し方を示すこと。少年を「まっとうに育てる」ために。 著者はオーストラリアの心理学者。世界10カ国以上でベストセラーになったという、男の子を持つ親にとってはなかなか示唆に富む本です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2002.03.26 00:31:33
|
|