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2002.07.23
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中島誠著・現代書館

 数日前に読み終わっていたのに、日記に書けずにいました。
 これはイラストとともに歴史上の人物や思想などをわかりやすく紹介するフォービギナーズというシリーズの1冊として出ました。フロイトとか、三島由紀夫とか、天皇制とか、そういったタイトルが続く中で、司馬さんの場合だけ「坂の上の雲」という作品にしぼって書かれたっていうのも、面白いのですが。

 私は高校のころ司馬さんの本にはまって読みあさった時期があります(余談ですが?!おきにいりは「花神」と「箱根の坂」)。作品のなかで唯一読み通せなかったのが「坂の上の雲」なのでした。確か、正岡子規が死ぬところまでは面白かったのですが、日露戦争の戦術のはなしとか、戦場描写に入ったあたりから興味がもてなくなりました。

 ところがこの「坂の上の雲」ってサラリーマンや会社幹部にアンケートをとると、1.2位を争うほどの人気なんだそうですね。それに近年、わが松山市が、郷土が誇る子規と秋山兄弟の顕彰もかねて、「坂の上の雲」のまちづくり、なんてことをいいだしています。
 なにがいいんだろう。それが少しはわかるかな、と思い、この本を読んでみました。

 司馬さんが、「余談だが」というクセのある文章をかいたのは、明治礼賛・戦争礼賛ととられないように、立ち止まり立ち止まり、細心の注意を払った結果だということ。少なくとも日露の時点では、お国のためにという気持ちはなかっただろうということ。その後の日本がだめになったのは、政治好きの軍人が増えて、日露の反省をしっかりとしなかったせいだということ。

 司馬さんが「坂の上の雲」を機に文明史家となったという半藤一利氏の言葉が全てをあらわしています。戦争描写の一方で、子規や秋山兄弟の質素な生活や生涯を語ることで、おろかな戦争と高貴な精神を対比させている。名誉や欲でなく、自らのやるべきことをやりとげた人たちがいたことを、語りたかった、知って欲しかったんだなあと思います。

著者は広く読まれると同時に批判もされるこの作品を論じようとしたようですが、その結果はといえば、司馬さんの目を通して明治という時代や文明というものをいかに理解するかという「参考書」になっちゃった、という感じ。批判どころか司馬さんの文章にひっかかり、よりよい理解者となっちゃっています。まあ、それこそが司馬作品の魅力とうことなのでしょう。
 





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Last updated  2002.08.10 22:45:57


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