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小笠原路子&より子。著 フジテレビ出版
私は見なかったのですが、フジテレビ系で今月9日、松浦亜弥が主人公でドラマ化されたらしい。シンガーとして活躍する「より子。」さんの歩みをつづった本。母親の路子さんの回想とより子。さん自身のコメント、そして付録として彼女の歌を収録したCDがついています。(CDをきくとまさに「天使の歌声」です) より子さんは小児ガンのために3歳で入院。同じ病棟の子どもたちが次々と死んで行くなかで奇跡的に完治します。人一倍言葉の発達が早く、自己主張が激しい彼女に、母親や病院のスタッフが手を焼く様子。病気は自分のせいだとわが身を攻める母親。母親をとられていい子を演じなければならなかったより子さんのお姉さんの爆発。など、退院するまでの日々も、想像を絶する苦労があったようです。 しかしその入院中に、彼女は自分の才能を発見します。一度聞いただけで音をとれる耳と美しい声をもち、いつのまにかオルガンを独学で弾けるようになる。通院生活にはいり、幼稚園や学校に通いだしても自分の好きな音楽と図工(絵もプロ級に上手)がある日だけ通う。 いわゆる不登校になるのです。が、母親も自分のしたいことを知っていて全力投球している姿をみて、(ピアノとかゲームとか)彼女なりにやらせようとします。この学校に対する姿勢が、実にいさぎよい。自分は行かないくせに、他の不登校の子には、あなたは行ったほうがいいよとアドバイスしちゃったり。算数でみんなと同じ答えをだすのがいやでわざと違う答えをいったり、とにかく人と一緒のことをするのがイヤな彼女。「みんなと同じじゃないと不安」な若者をうみだした現代社会では貴重な存在。 そういう生き方はやはり幼い日を病院ですごしていたことにあるようです。より子さん自身のコメントに「小児病棟は激戦区だ」というのがあります。みんな生半可な時間をすごさない。どんなことにも全身全霊をかたむける。だから天才的になる。「本気」で生きた小児病棟の子どもたち。より子さんは「彼等の本気を受け継いだ私の魂」が今生きていることにも本気になっていると自分を分析しています。母親がハラハラするくらい一秒一秒を猛スピードで駆け抜ける・・ より子さんにとっては、みんないっしょを強制する学校なんて必要ない。音楽と図工以外は授業に出る時間も惜しかったのでしょう。この本を読んで驚くのは、より子さんの1歳のときからの記憶と小・中学生の頃考えていたことが、あまりにしっかりしていること。子どもだからわかんないってことは絶対無い。一人の人間としていろいろ考え生きているってこと。きっと私自身もそうだったのを忘れてしまっているのかもしれない。 そうやって生きてきた彼女だからこそ「生まれたからには生きる責任がある」という言葉に、重いものがあります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2002.08.25 09:59:32
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