しずおか多居夢州(しずおかたいむす)

2009/07/28(火)22:27

人柱伝説が残る 「富士川の雁堤」

名所・旧跡(179)

富士川の下流にある堤防、雁堤(かりがねづつみ)は幾度も氾濫する富士川を治めようとして造られた堤防で1615年から工事が始まり完成したのは1674年。工事に取り組んだのは古郷氏は三代にわたってこの難工事を完成させました。 この堤防工事には悲しい人柱の伝説があります。 富士川を渡ってきた老夫婦の巡礼が籠下村(現・松岡)の代官陣屋の前を通ると、役人に呼び止められ陣屋の中に連れて行かれました。すると一人の役人がこう言いました。 「まことに申し訳ないが、あなたに頼みがある」 どのような頼みか巡礼が聞くと 「実は、大きな堤防を作っているのだが、なかなか工事が進まない。すでに代官親子五十年の歳月と莫大な費用がかかっている」 「そこで人柱を建てようということになり、その日から富士川を渡ってきた千人目を人柱にすることに決めました。その千人目があなたなのです」 すると巡礼は 「私は子供もおらず、身内は連れ合いだけです。そのため諸国を巡礼の旅に出ているのです。人とのお役に立てるのなら喜んで人柱になりましょう」 「しかし、これから東国の霊場を回らなければなりません。それがすめば必ず帰ってきてお役にたちましょう」 それから半年後に老夫婦は再び代官陣屋を訪れました。役人たちはもう戻ってく来ないと思っていたので驚きました。巡礼は「くれぐれも妻を頼みましたよ」と言い残し約束通りに人柱となったのです。

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