カテゴリ:ワインコラム2(話飲徒然草拾遺集)
ブルゴーニュで人にオススメしたい作り手を挙げろと言われたら、誰を挙げますか?
私の場合、真っ先に思い浮かぶのがシャルロパン・パリゾです。 この作り手には、とにかく何度も「助けられて」います。というのも、いつ飲んでも、めったに外すことがなく、安定した素晴らしい香味を見せてくれることから、私の持ち寄りワイン会用の定番銘柄になっているのです。よくご一緒している方からは、「またパリゾ?」と言われたりしますが、この作り手には、何度でも飲みたくなる抗し難い魅力があります。 錚々たる8つのグランクリュ(シャンベルタン、マジシャン、シャルム、マゾワイエール、エシェゾー、クロサンドニ、ボンヌマール、クロヴジョ)を含む17ヘクタールの畑を所有するほか、近年シャブリでもワインを作り始めました。ちなみにクロ・ヴジョは良区画であるグラン・モーペルテュイに1ヘクタールを所有。シャンベルタンは5樽ほどの生産で、その畑は、88年以降、ラトゥール一族のマダム・ジョスリーヌ・バロンから0.21ヘクタールの区画を任されるようになったものだそうです。 味わいは、パンと張った球体のような果実味を上質な樽が包むイメージ。酒質はリッチで濃厚な部類に入りますが、張りのある上質な酸があるので、鈍重になることはありません。リリース直後にはやや目立つオークも、熟成させるに伴って目立たなくなり、代わりに下草や皮革系の官能的な芳香が出てきます。比較的早く飲み頃に達して、うまくピークに当たると、それこそ目のくらむような香味を愉しめます。あまり作柄が良くない年でも、うまく仕上げてくれるのも頼もしい点です。過去飲んだ98年とか00年、01年など、いずれもすばらしい香味でした。特に01のクロサンドニはその年に飲んだ中でもベスト3に入る1本でした。 欠点を挙げるとすれば、値段が総じて高いことでしょう。グランクリュについてはブルゴーニュ全般の相場が高騰していることもあって、それほど割高には感じませんが、ACブルや村名などのエントリークラスがあまり安くないのが、なかなかファンが増えない要因かなとも思います。 実際、村名クラスでも銘柄によっては1万前後という値づけは、パリゾファンの私をもってしても、ちょっとと思ってしまいます。 加えて、このドメーヌのワイン、作り手の個性が勝ってしまうのか、わりとどの銘柄も「同じ味がする」点も、人によってはマイナスと捕らえるでしょう。 実のところ、私も数多あるグランクリュ銘柄を並べて飲んだとしても、利きわける自信はありません。テロワリスト的視点で見れば「それではダメだろ!」ということになりそうなポイントですが、パリゾのワインには、「美味しいのだからいいじゃないか。」と切り返したくなるような明快な説得力があります。 たとえば、これを逆手にとって、マルサネとかフィクサンといったマイナーアペラシオンのものを積極的に探すという手もあるでしょう。 なお、ショップの宣伝文句には、アンリ・ジャイエの弟子だとか、薫陶を受けたというようなエピソードが載っていますが、私はパリゾのワインからアンリ・ジャイエの面影を感じたことはありません。この部分にはあまり過度な期待をしないほうがよいと思います。 我が家のセラーには、子供の生まれ年の2002年と良年の誉れ高い2005年の特級がそれぞれ数本ずつあります。今年の4月にエシェゾー、先日クロヴジョと、たてつづけに02年を飲んだところ、どちらも期待どおり、もしくは期待を上回るような素晴らしい味わいでした。特にクロヴジョについては、今まで飲んだこのアペラシオンのものの中でも屈指のものでした。 前述のとおり、値段がやや高めなことと、ブルゴーニュ上級者が好むいわゆる「薄ウマ系」に属する作りではないことが、いまひとつブレークしない理由かな、と思いますが、個人的にはもっと注目されてよい作り手だと思います。もっとも注目されすぎて品薄になったり、これ以上高騰してしまうのはパリゾファンとしては勘弁してほしいところですが。 ★楽天でパリゾを検索★ 2002年は相当数買い込みましたが、すべて飲みきってしまいました。現在セラーには05、09、10年が何本かずつ眠っていて、そろそろ05年を開けていこうと思っているところです。総じて長期熟成に耐えるものの、比較的早めに飲み頃が来る生産者だと思っています。02年のころは1万そこそこでグランクリュを買えましたが、2012年のグランクリュは2.5万超になってしまい、さすがに購入を躊躇しています。むしろ比較的安いままのバックビンテージを探すのが賢いかもしれません。良区画のクロブジョのバックVTなどが狙い目かもしれませんね。 あまりにそっけないラベル。もう少し工夫してもよいのでは、と常々思っているのですけどね‥。 なお、パリゾにはもうひとつ、シャルロパン氏が懇意にしている有名ソムリエ、フィリップ・ジュリー氏とのコラボレーションによる白ラベルのボトルがあります。こちらのラベルのACブルゴーニュはネゴシアンもののようですが、時折かなり安く出回っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ワインコラム2(話飲徒然草拾遺集)] カテゴリの最新記事
昨年暮れ、十年以上ぶりかでブルの赤ワインをきちんとということで、確実性?でシャルロパンのマルサネをとなりました(この記事拝見して)。2011年産で若干空けるのが早かったかな?という感じでしたが、ブルのピノってこんなに濃厚だったっけ?と緻密さを感じるまとまってて、CP高いと評判通りでした。とりあえず感謝!
(2017年01月14日 00時00分52秒)
marouさん、コメントありがとうございます。
>昨年暮れ、十年以上ぶりかでブルの赤ワインをきちんとということで、確実性?でシャルロパンのマルサネをとなりました(この記事拝見して)。2011年産で若干空けるのが早かったかな?という感じでしたが、ブルのピノってこんなに濃厚だったっけ?と緻密さを感じるまとまってて、CP高いと評判通りでした。とりあえず感謝! ----- 少しはお役に立てたようで幸いです。 パリゾは最近すっかりご無沙汰でして、久しぶりにこの記事を懐かしく読み返しました。そのうちセラーのボトルをまた開けてみたいと思います。 (2017年01月14日 01時23分21秒) |
|