話飲徒然草(S's Wine)

2016/04/21(木)06:54

ブルゴーニュ・ブラン2012(ペルノー)~脱酸素パック検証を兼ねて。

ワインコラム(342)

実は私、最近自宅で飲むワインの印象が悉く良くなかったことに関して、「あること」を懸念していました。「あること」とは・・ 「脱酸素パック」です。 脱酸素パックとは何ぞや?については、過去の私のブログを参照していただくとして・・。 脱酸素パックの本来の用途は、「セラーのない環境でいかにしてワインを良好に保存するか」ということでした。 通常は温度や湿度などをいかに一定にすることに腐心するところ、脱酸素パックででは、温度変化は無視して、「ボトル内に酸素が流入してこないこと」に注力します。(温度変化はむしろボトル内外の気体の入れ替えのため好ましいとすら考えます。) 私はこのメソッドの「緊急避難的な措置」もさることながら、「保険的な役割」の方に可能性を感じました。セラー内のボトルたちを脱酸素処理しておけば、万一セラーの故障や自然災害によって、セラー内のボトルが急激な温度変化に見舞われたとしても、致命的な影響を回避できるのではないかという目論見です。 ところが最近、我が家で飲むワインたちがどれも妙に閉じこもってしまっているものが多く、ひょっとしてこれは、セラー内のワインたちを脱酸素処理していることがマイナスに作用しているのではないかという疑念を抱くようになりました。 といっても、今や脱酸素処理の効果を厳密に比較検証できるようなボトルはありません。 だったらと、開けてみたのが今回のボトルです。 このペルノ、脱酸素パックの検証用に6本購入したものです。すでに4本を検証や日常消費に開けてしまい、残りは2本となっていました。 そのうちの一本が、↓写真のように、「脱酸素剤を通常の5~10倍(10個)仕込んだパック」だったのです。 もとを正せば、脱酸素パックによって過度の還元状態になったりはしないかということを検証しようとして仕込んだボトルでした。検証を途中で投げ出した今となっては、普通に保存したボトルとの比較検証は行えないのですが、とりあえずこのボトルを飲んでみるだけでもその影響はわかるだろうと思いまして。 グラスに注ぐと、色調は中程度からやや濃いイエローで、ほんの少し黄緑がかっています。香りは最初、やや還元的なヒネ香が感じられましたが、スワリングするとすぐに飛んで、黄桃や洋ナシ、マロン、金木犀、ミネラル、バニラなどの芳香が立ち上ってきました。 飲んでみると、ほどよく濃縮感のある果実味と伸びやかな酸とのバランス。酒躯ががややダルなところと後半にややややエグ味が感じられるのがマイナスですが、ACブルとしては充分なレベルにあるといってよいでしょう。 というか、この銘柄、脱酸素パックの実験でずいぶんと飲んできましたが、今回が一番印象が良かった気がします・・。 実験用にまとめて購入したのが2014年2月末のことですから、それから約2年。ようやく本領発揮というところでしょうか。 そして脱酸素剤10個を仕込んで2年を経たこのパックで問題なかったということは、とりあえず脱酸素パック化によって、行き過ぎた還元状態に陥るのではないかという懸念は払拭されたとみてよさそうです。脱酸素パックについては、過度な期待は禁物というのが最近の私の見方ですが、とりあえず悪さはしていないようなので安心しました。 #過去の記事を読み返してみたら、昨年の8月にもルモワスネの赤で同様の検証をしていましたね。 p.s.小瓶に残した翌々日は、マロンフレーバー満開で後半のエグ味もなくなり、ACブルの域を超えたすばらしい香味を堪能させてくれました。

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