○あまりにも奇妙な文体。クレメント・
○あまりにも奇妙な文体。クレメント・グリーンバーグの批評選集を一読して思う。○藤枝晃雄がpick-upしグリーンバーク自身が承諾したという「選集」のことだ。○アメリカ現代美術の勃興普及定着に立ち合い指導助言し批評した人物の著したものだ。○1950年代から膨張をみせる「10丁目の連中」のworkを西洋文明と伝統的美術の系譜に位置付けてみせた巨人だ。○彼なくしてアメリカ現代美術も存在しえない。それほどの意味合いをもつ。…はずだが期待は裏切られる。○私が「奇妙な文体」と評するのは彼の美術や作品に対するスタンスのことだ。coolなのだ。○訳者の藤枝晃雄などと比較してもかなりcoolだ。ラウシェンバーグを批判したと言っても同じだ。○クレメント・グリーンバーグの時代、50年代を我々は勝手に熱くしているのかもしれない。○ジャクソン・ポロック、ウィリアム・デ・クーニング、ロスコ、…などなど多数の華々しいアーチスト群に羨望と熱気を感じているのかもしれない。○いや違う。クレメント・グリーンバ
ーグの奇妙なスタンスは集められた小文から充分窺いしれる。○ジャクソン・ポロックをベネツィア派の流れに置く。絵画的と線的とを区分し抽象絵画に線的ファクターをみる立場に意外性を(モダニズムの一要素)ジャクソン・ポロックのドローイングが与えたのだと説明する。批評ではない。説明なのだ。解釈ではないひとつの確固とした立場からの説明なのだ。○「奇妙な文体」とはこうした意味なのだ。