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たばちゃん♪の いいもん見っけ!

【どんぐり】

静かな森の中にひそんでいる小さなどんぐりのお話です。


1.夜の散歩道

今夜はなぜかとても寒く、私の部屋の小さいストーブにも
火が灯されていました。

こんな寒い夜に限って散歩をしたくなるのが私の悪い癖だと
皆は言いますが、それはなかなか楽しいものです。

寒さに震えながらも 星のきれいな夜空を眺めるのが好きな私は
今夜もさっそくオーバーを手にとりました。



私の予想通りの美しい星空でした。

私は周りを見渡しながらゆっくりと歩いていきました。
太陽が出ている間はいつも早歩きですが・・・。


この一本道をまっすぐ行けば、静かな森があります。

そこにはどんぐりが たくさん落ちているので、
私の好きな場所の1つに数えられています。


さて、今日も森にたどりついたようですね。





2.森の童話

真っ暗な森の中を 私は怖がりもせず 入って行きました。
ふだんなら こんな寂しいところに入ったりしません。

が、今夜のような夜は特別です。

私はいつもの大きなどんぐりの木の根元に腰をおろしました。

上を見上げると、きれいな三日月が出ています。



木からどんぐりが コロンと落ちたと思うと、
前の方が ほんのりと明るくなってきました。

どこからか笛の音が聴こえてきます。


いくつかのどんぐりが出てきて、木の切り株に ごちそうを
並べ始めました。

木の実、果物、ぶどう酒・・・。

いつのまにかどんぐりの数がだんだんと増え、
笛に合わせて踊り出しました。


私がボケーっと見ていると、リボンをつけたどんぐりが
やって来て、私の手をひっぱりました。

驚いたことに、私も どんぐりになっていたのです。



初めのうちは まごまごしていましたが、リボンのどんぐりが
親切に教えてくれたので、すぐに踊れるようになりました。

盆踊りとは違う、簡単なフォークダンスのような感じです。

ひととおり踊ってから周りを見ると、まだ踊っている者、
ごちそうを食べているもの、おしゃべりをする者など、さまざまです。


しばらく踊っていると、今度は 真ん中に 大きな焚き火が出来ました。

すると どんぐりたちは 焚き火のそばで、ごちそうを食べ始めました。


私とリボンちゃんも、野いちごとミルクをもらいました。
ミルクは、ミルクの川に流れているものでした。


真っ赤な炎を囲み、声をそろえて歌を歌う楽しさ。

どんぐりのパーティは とても素敵です。

歌い終わると、また踊ります。
皆で輪になって手をつないで、足をそろえて・・・。

私は すっかりどんぐりの気分になっていました。





3.太陽が来て

いつのまにか、あたりは しらじらと 夜が明けてきていました。

そういえば、どんぐりの数がだんだん少なくなってきています。


最後に、リボンちゃんが消えそうな声で言いました。

「三日月の角と角の間に どんぐり星が入ると、パーティがあるの。
そのときには、教えるから。私を連れていって・・・」


リボンちゃんがそれを言い終わると同時に、
私は、人間に戻っていたのです。




どんぐりの焚き火の炎のように 真っ赤に燃えた太陽が
森を少しずつ明るくしていくのを背に、私は歩き出しました。


リボンちゃんという、どんぐりの友達を手の中に 握りしめて・・・。


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