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テーマ:ミステリはお好き?(1580)
カテゴリ:外国人作家
『サム・ホーソーンの事件簿』(DIAGNOSIS:IMPOSSIBLE The Problems of Dr.Sam Hawthorne)
時は1922年、医学校を卒業したばかりの青年サム・ホーソーンは、ある田舎町に診療所を構えた。彼はすぐに町の評判になる。それも”不可能犯罪の専門家”として! 橋の途中で消え失せた馬車、”小人”と書き残して密室で殺されていた車掌、行き止まりの廊下から消え去った強盗、誰も近づけない空中で絞め殺されたスタントマン等々、次々と発生する怪事件。 岡本綺堂さんの「半七捕り物帳」のように、主人公であるサム・ホーソーンが、若かりしころ出くわした不可能犯罪を語りだす構成になってます。 作者、エドワード・D・ホックによれば、主人公の名前は「逃亡者」の原作となった「サム・シェパード医師」と作家の「サミュエル・ホーソーン」から名づけたのだとか。 EQMM(エラリー・クィーンズ・ミステリ・マガジン)に掲載された短編をひとつにまとめたのがこの本です。東京創元社版はこれに各1編づつサム先生以外の作品を追加してます。 本文でサム先生が開業した日を「ベネディクトゥス15世が亡くなった日だからね」とあります。ベネディクト15世は「欧州で第1次世界大戦が始まった1914年に就任し、中立を守り、戦争終結に尽力した」人だそうですから、時代を感じますね。 現在のローマ法王がベネディクト16世ですもんね(但し、間に6人の法王がいるそうですが) また、サム先生の愛車は当時高級車だったピアース・アロー(30年代後半には倒産してしまいます)ですし、彼の新婚旅行は真珠湾攻撃で取りやめになるなど、当時の時代背景が作品から垣間見えてきます。 取り立てて素晴らしい作品が収められている本だとは云いませんが、当時のアメリカの雰囲気を味わったりとか、軽い頭の体操には良いと思います。サム先生と自分とでどちらが早く謎を解き明かすか競ってみても良し。 およそ30ページほどの短編ばかりなので、かえってちょうどいい長さで、通勤時間などに読むには格好の本かもしれません。 実は私もまだ『サム・ホーソーンの事件簿3』は読んでません。病院の診察待ちなどのために大事(?)にとってあります(笑) 時間潰し、と云っては大変失礼ですが。 キリのいい短編集を読むことは、イライラしながらぼうっと待つより、携帯に夢中になるより、よほど有意義な時間の使い方かなと思います。 そんな本があってもいいと思いませんか? 『サム・ホーソーンの事件簿1』(東京創元社) 「有蓋橋の謎」「水車小屋の謎」「ロブスター小屋の謎」「呪われた野外音楽堂の謎」 「乗務員車の謎」「赤い校舎の謎」「そびえ立つ尖塔の謎」「十六号独房の謎」 「古い田舎宿の謎」「投票ブースの謎」「農産物祭りの謎」「古い樫の木の謎」*「長い墜落」 『サム・ホーソーンの事件簿2』(東京創元社) 「伝道集会テントの謎」「ささやく家の謎」「ボストン・コモン公園の謎」「食料雑貨店の謎」 「醜いガーゴイルの謎」「オランダ風車の謎」「ハウスボートの謎」「ピンクの郵便局の謎」 「八角形の部屋の謎」「ジプシー・キャンプの謎」「ギャングスターの車の謎」「ブリキの鵞鳥の謎」 *「長方形の部屋」 『サム・ホーソーンの事件簿3』(東京創元社) 「ハンティング・ロッジの謎」「干し草に埋もれた死体の謎」「サンタの灯台の謎」 「墓地のピクニックの謎」「防音を施した親子室の謎」「危険な爆竹の謎」「描きかけの水彩画の謎」 「密封された酒びんの謎」「消えた空中ブランコ乗りの謎」「真っ暗になった通気熟成所の謎」 「雪に閉ざされた山小屋の謎」「窓のない避雷室の謎」*「ナイルの猫」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年10月02日 09時46分05秒
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