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テーマ:ミステリはお好き?(1593)
カテゴリ:外国人作家
ドナ・アンドリューズの『恋するA・I探偵』(ハヤカワ文庫)を読了。
健気でチャーミング、でもちょっと傷つきやすいチューリングは女の子型人工知能。 ネットワーク上ではあらゆるデータにアクセス可能な彼女は、顧客の検索を手助けするリサーチャーとして大人気だ。だがある日、彼女を作ったプログラマーのザックが突然失踪する。彼に密かな恋心を抱くチューリングは名作ミステリを読み読み探偵術を覚え、彼の行方を追いはじめるが・・・ 『庭に孔雀、裏には死体』(ハヤカワ文庫)の鳥・・・じゃなくてメグ・ラングスローシリーズでおなじみのドナ・アンドリューズの新刊です。 「チャーミングかつ超優秀、かつてない女の子探偵登場!」と帯にありますが、まさにその通りでした(笑) 感情を持ち始めたコンピュータが主役ですから!そりゃ、かつてない!(笑) ある日突然姿を消したザックを心配して(ここで既に通常のコンピュータと違います)いろいろアクセスし情報を集めるチューリングは、自分だけの力では無理だと考え、自分が「感情」を持つと理解してくれる社内の友人たち(もちろん人間)と相談しながら彼を探そうと奮闘します。 やがて、ザックの失踪は大きな陰謀が絡んでいるとわかって、協力者たちにも危険がせまっていく。 そんな中、チューリングは心配すること、疑うこと、イラつくこと、悲しいこと、辛いこと、といろいろ憶えそして一段と成長していくのです。 ユーモアがあって、スリリングで、切ない部分もあって。 気がつくと人工知能であるチューリングがとっても可愛く思えてくるのです。 読んでいるうちに気持ち的には十代の娘の母気分(笑) IT企業やコンピュータの出てくるお話ですが、それほど専門用語が出てくるわけではないのでご安心を。 と思います。 ・・・多分。 すいません、私も元システム屋なので(汗) それでも、作品の中で協力者の一人モードが、画面上の読書より手に取る本がいいと思う場面や、人工知能のチューリングが(本来なら人間が感じるべき?)デジタルのデータの書き換え易さを不安に思うところなど、ちょっと共感。 でもこんなコンピュータと接続できたら楽しいでしょうね! なにしろチューリングは「財テクをかじってみる」ために会社をつくり資産を増やしてしまったりするのですから! もともと本をスキャンして画面上で読ませることをお仕事の一部にしている彼女ですから、こんなお願いも簡単。 「お願い、チュー。助けて!」 「力になるわよ」 「最新のミステリを日本語訳して見せて!」 「お安い御用よ!」 ・・・素敵!!!(笑) アメリカでは既にこのシリーズの4作目が刊行予定だとか。うう、続きが読んでみたいものです。 もちろん、メグ・ラングスローのシリーズも! ![]() ![]() ![]() ![]() アガサ賞最優秀長編賞受賞作の本書ですが、「恋するA・I探偵」ってタイトルはどうなんですかねぇ。「YOU'VE GOT MURDER」の原作タイトルの方がセンスがいいかも・・・。 でも面白く読めた本でした! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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