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テーマ:時代小説がダイスキ(437)
カテゴリ:時代小説
佐伯泰英さんの『鎌倉河岸捕物控』シリーズ最新刊『道場破り』(ハルキ文庫)の感想です。
赤坂田町の神谷道場に一人の訪問者があった。朝稽古中の金座裏の若親分・政次が応対にでると、そこには乳飲み子を背にした女武芸者の姿が・・・。永塚小夜と名乗る武芸者は道場破りを申し入れてきたのだ。木刀での勝負を受けた政次は、小夜を打ち破るも、赤子を連れた彼女の行動に疑念を抱いていた。やがて江戸に不可解な道場破りが続くようになるが――。 前回、このシリーズのお話をしましたが、幼馴染み3人の青年(政次、亮吉、彦四郎)と1人の娘(しほ)の成長と、江戸開闢以来の御用聞き「金座裏の宗五郎」一家の捕物、そして鎌倉河岸を中心にした町民の暮らしぶりを描いた作品です。 『下駄貫の死』『銀のなえし』で宗五郎の養子となった政次ですが、今回は若親分ぶりが板についてきたようです。 政次としほの仲は順調のようですし、辛い思いをするであろう亮吉にも新しい恋の気配がしてます。 ちょびっと残念なのは、今回捕物というよりは内々の探索ものが多く、私が密かに好きな寺坂同心(おちゃめで好き)や常丸兄い(思慮深くて素敵!)の活躍が少なかったコト(涙) 御用聞きがただ悪人を捕まえるのが仕事ではない、という宗五郎のスタンスを思えばこれもありなんですが。 今回登場した女剣士さんはこれからも関わってくるのかな?またしても次回作が待ち遠しいです! さて、ここでちょっと云いたい放題。 今回もいくつか誤植がありました。以前の作品(ハルキ文庫)から気になっていたのですが、人の名前や年齢、エピソードなどところどころ齟齬が目立ちます。 佐伯さんご本人は沢山のシリーズをお持ちだし「繰り返し読まれなくてもいい。一時浮世を忘れてくれれば」と云う気持ちで書かれていることも承知です。 だからこそ、出版社に云いたい。 ちゃんと校正してください。自分の社から出ている作家さんの本読んでますか? 読めば前後の繋がりとして「あれ?」と気づくはずです。 その点を作家さんに進言することは編集のお仕事ではないのでしょうか。 作家さんがとても多忙で書き直すことが無理な場合もあるとは思いますが、「良い本」を作るのが出版社の仕事ではないのでしょうか。 それともそんな風にとらえているのは私だけ?大げさなのかなぁ。 勿体無いと思うんだけど。 内情も知らない無知な女の言葉で、不快な気分になられたら申し訳ありませんが、一読者の感想だと思ってくださいませ。 さて、今日からはパトリック・クェンティンの『悪女パズル』(扶桑社文庫)を読もうかと思ってます。 大富豪ロレーヌの邸宅に招待された、離婚の危機を抱える三組の夫婦。仲直りをうながすロレーヌの意図とは裏腹に、屋敷には険悪な雰囲気がたちこめる。翌日、三人の妻の一人が、謎の突然死を遂げたのを皮切りに、一人、また一人と女たちは命を落としていく・・・。素人探偵ダルース夫妻は、影なき殺人者の正体を暴くことができるのか? 楽しみです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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