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テーマ:ミステリはお好き?(1583)
カテゴリ:外国人作家
ディック・フランシス『横断』(ハヤカワ文庫)
名馬、馬主、競馬ファンを満載してカナダ各地の競馬場を巡り、車内ではミステリ劇が演じられるという大陸横断競馬列車。英国ジョッキイ・クラブの保安部員ケルジイは、内偵中の馬主フィルマーを追って、この特別列車に乗り込んだ。恐喝容疑に問われながら巧みに追求を逃がれてきた競馬界の敵フィルマーの狙いは。身分を隠し俳優に扮して邪悪な陰謀に闘いを挑むケルジイ。大いなる危険に向かってサスペンスが鉄路を走る。 初めての「競馬シリーズ」でしたが面白かったです。 列車内で展開されるミステリ劇を演じる役者など沢山いて名前が氾濫してますが、それさえ気にならなくなるようなスリルを感じました。 主役であるトー・ケルジーはイギリスのジョッキー・クラブの保安員。 家族の遺産を相続し大変裕福だが、今の仕事を気に入っている。かつて7年いろいろな職業をしながら放浪していた経験と、競馬が好きだった叔母の影響で、保安員として「見えない」人間として上司たちから一目置かれている。 常に人ごみにまぎれ不審な競馬関係者はいないか監視し、対象となった人間を尾行したりする仕事を巧みにこなして上司の「後ろの目」となっている。 そんな中、保安部が常々目をつけているフィルマーがカナダでの大陸横断競馬列車に参加する情報が。カナダのジョッキー・クラブから連絡を受けたケルジーの上司は、彼が何かしでかさないようにフィルマーを監視するためケルジーをその列車へと派遣した。 フィルマーは普段とても紳士として人々に接しているが、馬主を脅迫し彼らの優れた馬を取り上げ、また邪魔となる相手を人を使って葬りさるような男。 なかなかしっぽを掴ませない彼が、今回大陸横断競馬列車に乗る目的は何なのか。ケルジーは「見えない人間」となってそれを探ることになるのです。 一つの限られた空間で、接触しながらも怪しまれないように探索するので、まさしくドキドキする場面が沢山。 そして、この本の中でとても素敵な魅力を出していたミセス・ボードレア。 彼女は競馬列車に乗るケルジーとジョッキー・クラブの連絡役として電話でしか登場しませんが、短い会話だけでもこの本の中で大きな役割を演じたと思います。 というわけで、今回読んだ『横断』はとても面白かったです。 3~4話くらいでドラマになったらいいでしょうね。 で、次は何を読もうかと考えたのですが、あらすじで心惹かれたのは『反射』と『黄金』かな。 また図書館で探してみようと思ってます。 『反射』 交通事故で死んだ競馬写真家の自宅に、二日連続で強盗が押し入った。いったい何の目的で? 彼の遺した大量のフィルムを手にしたアマチュア写真家で騎手のノアは、自らの知識を駆使して、そこに潜む秘密の解明に挑んでゆく。複雑なパズルを解いたノアが眼にした物は、驚くべき画像だった! 『黄金』 アマチュア騎手のイアンは、絶縁状態がつづいていた父のマルカムから、突然連絡を受けた。五番目の妻が何者かに殺され、父自身も命を狙われているというのだ。犯人は巨額な遺産を狙う親族のなかにいるのではないかと、危惧しているらしい。わだかまりを残しながらも、イアンは父の護衛を引き受け、ひそかに犯人探しに乗りだすが…。遺産相続をめぐる醜悪な争いと親子の葛藤を、巧みなストーリー展開で描くシリーズ会心作。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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