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テーマ:ミステリはお好き?(1600)
カテゴリ:日本人作家
田中啓文さんの『ハナシがちがう! 笑酔亭梅寿謎解噺』(集英社文庫)を読了。
上方落語の大看板・笑酔亭梅寿のもとに無理やり弟子入りさせられた、金髪トサカ頭の不良少年・竜二。大酒呑みの師匠にどつかれ、けなされて、逃げ出すことばかりを考えていたが、古典落語の魅力にとりつかれてしまったのが運のツキ。ひたすらガマンの噺家修行の日々に、なぜか続発する怪事件!個性豊かな芸人たちの楽屋裏をまじえて描く笑いと涙の本格落語ミステリ。 元担任の熱血暴力高校教師に無理やり連れてこられ、噺家・笑酔亭梅寿に勝手に弟子入りさせられてしまう竜二。 師匠の梅寿は、常に飲んだくれで手も足も出るタイプ。そのうえ借金取りにも追い掛け回されている。面倒くさがりなのか竜二にも稽古ひとつつけてくれない。 落語に何の興味もなかった彼は逃げ出そうとするのだが、梅寿の息子は竜二とも因縁のあるこれまた暴力刑事で、彼や近所の目もあってなかなか隙がない。 ところが、初めて梅寿の落語を聴いた竜二はその面白さにびっくりしてしまう。 落語の魅力にはまりつつも、破天荒な師匠に振り回され「辞めてやる!」と心に誓うる竜二だったが、身の周りで起こる事件を解決していくうちにまた落語の深さ面白さに魅了されてしまう。 「たちきり線香」では切れた三味線の弦の謎、「らくだ」では殺人事件。 「時うどん」漫才コンビの不可思議な謎を、「平林」では竜二の初舞台で起こった騒動。 「住吉駕籠」では初代桂春団治ばりの噺家の謎「子は鎹」では梅寿の孫誘拐事件。 「千両みかん」映像企画会社が有名監督のために用意したモノの謎を解く。 謎を解くのはもっぱら竜二なんですが、その解き方が『名探偵コナン』みたいで(笑) 「師匠、さっきいうてたことを教えてあげたら」 「お・・・おう、あれか。お前からいうたれ」 師匠を立ててます、竜二(笑) 落語のネタを絡めながら、謎を解いていくお話ですが、それとは別に竜二の成長とか焦りとかが等身大で描かれていて、そこも面白い。 そしてなにより、師匠梅寿のキャラがいい!飲んで吐いてクダを巻く、とんでもないオヤジですが、実は人間を深く知っている。 そんな味のある噺、私も聴いてみたいと思います。 関東、関西。落語にどんな違いがあるのかも知らない無知な私ですが、知らないながらも面白く読めた作品でした。 続刊である『ハナシにならん!』(集英社)も出ているようなので、読んでみたいです。 単行本版 ![]() ![]() またこれを原作にしたマンガもビジネスジャンプで連載しているようです。たなかしえさん『わらばな』だそうです。 これもちょっと気になる~。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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