ポーラ・ゴズリング 怒る猛烈刑事
本日、怒涛の更新(笑)ポーラ・ゴズリング『モンキー・パズル』(ハヤカワ文庫)を読了。冬のオハイオの小さな町の大学で、胸をめった刺しにされ英文学の教授が殺された。その上彼の舌は抜かれていた。彼は同僚たちの嫌われ者で、人の秘密を見つけてはあてこするような発言を続けていた。目的は金ではなく趣味として。病み上がりで捜査をはじめたジャック・ストライカー警部補の前には、癖のある被害者、そして同じように癖のある沢山の容疑者たちが立ちふさがる。互いに庇いたてする容疑者たち、行方をくらましてしまう男、自白して自殺未遂をする教授。やがて被害は広がっていき、学部長が耳を切り取られる事件まで・・・。「猛烈刑事」ジャック・ストライカー警部補は読んでいくうちに、じんわりと好きになっていくタイプです。同僚のトスカレリ部長刑事(ストライカーの面倒を見るのが勤めかも)とのやりとりがいいですね。さて読後の印象は、ストライカーは探偵ではなく「刑事」だということ。読者はストライカーたちが集めた証拠や証言をもとに推理しなさい、って感じでしょうか。あ、もちろん、きちんと伏線はあります。個人的にはややロマンス小説じみたところがあったと思います。といってもヒロインとなる女性は仲間を庇おうとしすぎて、キャンキャンと吠え噛み付きたがる小型犬のイメージで、私的には・・・む~ん(笑)それにしても「見ざる、聞かざる、云わざる」の「三猿」って世界的なんですねぇ。「See no evil, hear no evil, speak no evil.」ていうのは知ってるのですが。「わたしが犯罪の現場に行ったとき、ます見るものは被害者だ、ケイト。そして、無駄に失われた命に腹が立つ。のちに、もし犯人を捕らえたときには、そこに別種の被害者の姿を見る。そして、そのことについても腹を立てる(略)」ストライカーの猛烈な捜査の根幹は怒りなんですねぇ。【本日の購入本】『殺意のバックラッシュ』ポーラ・ゴズリング(早川書房 ハヤカワ文庫)『殺戮』ポール・リンゼイ(講談社 講談社文庫)『QED 熊野の残照』高田崇史(講談社 講談社ノベルス)『雨の上がる場所』桜木知沙子(成美堂出版 クリスタル文庫)『無作法な紳士』榎田尤利(ムービック ゲンキノベルズ)