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坂木司 東京創元社 装丁がきれいで、図書館にリクエストを出して借りました。 タイトルにも惹かれたし。 切れない糸。 もつれた糸やからまる糸より、素敵でしょう?ほどけても、結びなおせばいい。つながる糸電話。 もしもし、君は元気ですか? アライクリーニングの跡取り息子、新井くんの春夏秋冬。 放っておけない「日常の謎」をお友達の沢田くんの手を借りて、解きほぐしていく物語。 新井くんは、いい子です。 落ち込んだり愚痴ったり、ひがんだり無神経だったりするけれど。 誰かがつらいなら 「俺が、嫌なんです。」 かないません。 私、とっても弱いんです。こういう善人に。 私以上に、新井くんにめろめろなのは、沢田くん。 おさまりの悪い癖っ毛で、細い目をして、優しく笑う男の子。頭が良すぎて優しくて、何でも先回りしてわかっちゃう自分を少し持てあます。 (どうせ君も、僕のこと、怖がるようになるんでしょう?) だから最初から、さらりと距離を置く。いつも、笑ってる。 でも、だいじょうぶ。沢田くんは、新井くんの友達だから。 からまる糸をほぐしていくのは沢田くんだけれど、新井くんは沢田くんのほどいた糸をいつもきちんと結びます。その糸は切れない。つながる、つながり。 「もしかしたらもう会えないかもしれないけれど、君がいるなら、世界は捨てたもんじゃない。」 いい人ばっかり出てきます。でも、甘ったるい小説ではありません。 リリカルだけど、センチメンタルじゃない。地に足のついたお話です。 好きだなあ、とても。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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