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聖域 大倉崇裕 東京創元社 「山岳ミステリ」 カバーの折り返しのところの紹介文にありました。そんなジャンルがあったのか、「クライマーズ・ハイ」は「山岳ミステリ」に入るのかな、どうなのかな、大倉ってったら落語の話とか「語り」を絡めたものが多いのに、山岳ミステリ、へえ、書きたかったのか、好きなのか。 どれ、って感じで手に取りました。 ずいぶん今までの大倉の小説とは感じが違いました。とぼけた感じや抜けたところがない。大倉の小説だと「ツール&ストール」がすごく好きなんですけど、「ツール&ストール」にあった朴訥な素人っぽい雰囲気がなくて(それが主人公の仁にあってて、とてもいいんだ。事件によっては相当ハードな内容なのに。)「聖域」は手練れた人が描写の一つ一つまできっちり計算して書きあげました、といった雰囲気。朴訥なところ、抜くところを作らなかった。 著者名隠されて、「読んでみて作家名あてろ」ってクイズ出されたら、たぶんはずします。 おもしろかったー! 山岳小説ってどうしても男同士の小説になるのだけれど、あまり暑苦しい感じもしませんでした。けどちゃんと男の話。男の子というと失礼になる。「ツール&ストール」は男の子の話って言っちゃうけど。 「天才」安西ではなく、天才に叶わない、何度でもくじけるけれど人を受け入れて理解する、強くも弱くもノリシロを持つ草場が主人公であるところが、大倉だと思いました。いろんな人が出てくるけれど、弱すぎたり強すぎたりもするけれど、ひどいことだっておこるけど、誰のことも嫌いになれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年04月02日 08時11分23秒
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