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カテゴリ:映画紀行
サウンド・オブ・ミュージックで、ジュリー・アンドリュース演じるマリアが、修道女として神に仕えていた場所が、ノンベルク尼僧院St.Nonnbergである。ここは、メンヒスベルの丘の端、ホーエンザルツブル城から見下ろす位置にある(右写真、2003年10月)。 ノンベルク尼僧院は、映画の中では何度となく登場し、重要な役割を果たす。シスターたちがマリアのことを歌うシーン、マリアが家庭教師として尼僧院を離れるシーン、そして大佐の家から教会に戻ったマリアに子供たちが会いにくるシーン、最後尼僧院から脱出するシーンなどだ。そして、実際の映像は異なるが、結婚式を挙げるシーン、ナチスの手を逃れて匿われるシーンも、その設定はこの場所である。 そういう意味でも、この尼僧院は、サウンド・オブ・ミュージックを語る上で、外せない場所であったが、2003年10月初めて訪れた際には、この尼僧院を訪ねることが出来なかった。しかし、そのわずか3ケ月弱、翌2004年1月12日、ついに訪れるのである。 この時は、パリ赴任2年の最後の旅行として、2泊したミュンヘンから日帰りで訪れたのである。4時間強のザルツブル滞在であったが、ヨーロッパ赴任最後の思い出として、サウンド・オブ・ミュージックへの想いを断ち切れずに、やってきたのであった。そして、前回訪れることのなかった、この尼僧院、さらにはウンタースベルク山をも訪れる。 その尼僧院であるが、静かな佇まいであった。タクシーで、大聖堂脇から山肌に沿って細い道を登っていくと、見覚えのある尼僧院に到着した。すぐ真上にはホーエンザルツブル城が聳え、ケーブルカーのレールも残っている。現在、サンクト・ペーター教会のすぐ横からケーブルカーが山頂のホーエンザルツブルグ城とを結んでいるが、この尼僧院の側にも、同様のレールが走っていて、城の中の教会の辺りと繋がっている(下写真左)。物資の運搬に使われていたと思われるが、今では当時を偲ぶだけである。
さて、ノンベルク尼僧院を前に、映画の場面を思い出し、それと目の前に現れてくる光景とを重ねてみる。マリアが尼僧院を出るシーン、そして子供達がマリアを訪ねるシーンがあるが、尼僧院の中庭と外との間の扉、それはすぐに分かった。何の変哲も無い扉なので、つい写真を撮るのを怠ったのだが、それは失敗だった。それは、上左の写真、右の壁奥にある。また、同じ写真に丸い門が2つ見えるが、これは、最後、尼僧院から大佐ファミリーが車で走り去るシーンと重なる。確か左側の門を、車が走りぬけたように思う。 そして中庭(上中写真)であるが、ここでミサに遅れたマリアのことを噂して、院長とシスター達が歌った筈である。奥左側に、上にも述べた扉がある。映画の中では、中庭は石畳であったが、実際には、教会に通じる細い道の両側に多くの十字架の像なのか墓なのかが並んでいて(上右写真)、映画と重ね合わせることが出来なかった。 しかし、後で、マリアがミサに遅刻してやってきたシーンのスチールを見直すと、教会の壁(同写真)やらに、何気に同じような雰囲気を認めることが出来るのである。やはり映画の中の中庭と実際とは同じ場所だったのではないか、とも思うのであったが、真実は分からない。 誰一人いない教会の中で、一人祈りを捧げ、マリアと同じように、中庭の扉を出て外に出た私であった。 最後に余談である。映画『サウンド・オブ・ミュージック』での教会中庭のシーンで、シスター達がマリアのことを噂して歌うが、その中の一人に、『マイ・フェア・レディ』のオードリー・ヘップバーン、そして『王様と私』のデボラ・カーの吹き替えをしたマニー・ニクソンその人が出演して歌っている。オードリーやデボラ・カーの歌声と重なり、ミュージカル・ファンとしては、興味深いシーンである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.05.01 22:29:55
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