鹿島美術財団講演会「美術と文字」7
①ユスティス・ブリンクマン「日本美術における詩歌の伝統」1・2<1889>(サミュエル・ビング編<芳賀徹監修>『芸術の日本』美術公論社 1981)日本人にあって、その心のすがたをもっともよくうかがわせてくれるのは、詩歌、この国民がうたいつづけてきた古い詩歌である。これらの詩歌だけによっても、この国民の感情の深さ、理想へのあこがれ、美しいものに触れるたびに身のおののきを感じる喜び、といったものが明らかになってくる。この日本の古い詩歌という宝ものは、芸術家たちに霊感を与えて、そのもっとも天才的な幾多の作品を生み出させてきた。とりわけ、腕のいい職人たちの手をみちびき、装飾のためのモチーフの無尽の鉱脈となってきた。