静嘉堂文庫美術館「超・日本刀入門」8
もしこれが認められるならば、日本刀こそ凝縮された簡潔性そのものだといってよいでしょう。そのフォルムはきわめて簡潔です。それを中国の青龍刀と比べてみれば、説明の要はないでしょう。しかしそれを鍛え上げる技術は、これまたきわめて複雑であり、その痕跡が刃文や鍛え、映り、匂い、沸<にえ>となって、日本刀の見所になっています。その技術習得はたいへん難しく、何十年もかかるといいます。しかし、完成された日本刀は、そのような高度な技術や複雑な工程を微塵も感じされることなく、あくまで端整であり、清純であり、そして簡潔なのです。だからこそ、日本刀は日本文化のシンボリックな存在として、燦然たる光輝を放ち続けてきました。そして日本文化再評価という世界的潮流の中で、これからますます光り輝くことになるでしょう。