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2016.08.28
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カテゴリ:読書

一三と松吉は同じお母さんからお乳をもらう乳兄弟でもあり、小さいころから親しくしていたようです。しかし逸翁の片思いで、結局松吉はほかの男と結婚してしまうのです。ここで伊井さんが『伊勢物語』の筒井筒の段に筆を進めるところ、さすがに源氏学者です。

 

「昔、田舎わたらひしける人の子ども、井のもとにいでて遊びけるを、おとなになりければ、男も女も恥ぢかはしてありけれど、男はこの女をこそ得めと思ふ。女はこの男をと思ひつつ、親のあはすれども、聞かでなむありける」とする幼い二人、男は「筒井筒井筒にかけしまろがたけ過ぎにけらしな妹見ざるまに」と詠みかけ、女も「くらべこし振り分け髪も肩すぎぬ君ならずしてたれかあぐべき」とその気がないわけではなかった。このような古典の世界を連想させるような小林と松吉、田舎の小娘にしては器量もよく、身なりも整い、家は町でも一番大きな呉服屋であった。






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最終更新日  2016.08.28 20:03:06



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