カテゴリ:読書
結婚といえば、逸翁の結婚秘話もはじめて本書に教えられ、心底驚いたことでした。明治32年、成り行きに流されるような形で、逸翁はある女性と見合い結婚をします。 しかし、新婚何日目かに恋人の丹沢コウと有馬温泉に出かけてしまい、それがばれて離婚になってしまいます。結局、コウと再婚して一生添い遂げることになったそうですが……。 コウが幼馴染の女性というわけではありませんが、俳諧宗匠・一水庵荷村の養女であり、最初の妻より早く知り合っていたのではないでしょうか。しかもコウは、品位高雅にして明眸皓歯の美人であったらしく、逸翁がイチコロであったことは疑いありません。 硯友社の影響を受けつつ、文学青年としてすでに作品も発表していた逸翁は、恋愛小説のヒロインをコウに求めるように惹かれていったのでしょう。 最初の結婚相手がどうこうというより、お見合い結婚自体が、自分の文学観――つまり人生観と背馳するものだったのです。伊井さんが引く『伊勢物語』のような男女のロマンティズムを、逸翁は求めて止まなかったのでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016.08.29 07:48:59
[読書] カテゴリの最新記事
|