カテゴリ:美術
「僕の一点」は今回の目玉ともいうべき「羯鼓催花・紅葉賀密陀絵屏風」です。静嘉堂文庫美術館が誇る優品の一つですが、詳細は不明のままになっています。類品がなく、比較検討が難しいためでしょう。これを近世絵画史の観点から考察してみましょう。 まずその様式については、狩野光信様式の範囲においてとらえることができるように思われます。光信は永徳の子にして、桃山時代に活躍した狩野派正系の画家です。 父の永徳はエネルギーに満ちた豪壮なる障屏画様式――天正様式を創り出しました。これを花鳥画についていえば、巨木による統一的構成を特徴とします。 これに対して光信は、優美にしてたおやかな障屏画様式――慶長様式を完成させました。やさしいフォルムの樹木によって、奥行きを生み出す花鳥画様式です。人物画の場合、このようなはっきりとして相違を指摘することは難しいのですが、花鳥画の特徴を人物画にも敷衍して考えることは充分可能でしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016.11.19 11:05:47
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