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[酒] カテゴリの記事

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• 両手に花!?８

  土屋さんによると、「リアック」はゲール語の「傷のある」に由来し、「傷ついた山」あるいは「まだら模様の山」の意味だというのです。ベン・リアックが実在しない山であるとは、とくに書いてありませんでしたが……。先の難波さんは、ゲール語の「リアック」に近いスペリングを探して、「いかさま師の山」や「ムネアカヒワの山」、あるいは「正しさの山」などがなまった可能性もあるのではないかと言っています。僕はゲール語なんてまったく分からないので、ただ「あぁそうなのか」と思うだけでした。しかし、ケルト神話やアーサー王物語のなかに、この名前の山、あるいはこれに近い名前の山があるんじゃないかなぁという気がして仕方ありませんでした。ちょうど、中国の蓬莱とか、方丈とか、瀛洲のような神山です。あるいはケルト神話やアーサー王物語にもそんな山は出てこないのかもしれませんが、「傷ついた山」や「いかさま師の山」より、神山の名前だと思ってやった方が、心地よく酔えそうな気がするのですが!? 

  2017.03.14

• 両手に花!?７

  6回目をアップし、「両手に花!?」はこれをもって最終回にしようと思っていたところ、中村さんからお礼メールをもらいました。そこには驚くべきことが書いてありました。ベン・リアックというのは実在しない山で、そのことは次のブログに書いてあると、ブログのアドレスが引用されていたのです。早速アクセスしてみると、「スコットランド贔屓の英国好き」というブログで、そのブロガーは難波さんという方のようです。このブログによると、ベン・リアックという山は存在しないけれども、ゲール語で灰色がかった山とか、まだら模様のある山とかいう意味だそうです。そして参考文献として、土屋守さんの『モルトウィスキー大全』が挙げられています。土屋さんの本は、「ウイスキー入門」しかもっていないので、すぐ逗子市図書館に行って、バージョンアップ版の『シングルモルトウィスキー大全』を借りてきました。確かに書いてありました。

  2017.03.13

• 両手に花!?６

  「ベン」がゲール語で山の意味だということは、「ベン・ネヴィス」をやったときに知っていたので、ベン・リアック――つまりリアック山を地図で調べてみました。2003年の旅行のとき、エディンバラの本屋さんで求めた、オードナンス・サーヴェイの「北スコットランド　オークニー＆シェトランド」という大きなトラベル・マップです。 ところが、いくら探してもないのです。同じくスペイサイドのベン・エイガンという山は、471ｍなのに、ちゃんと載っているにもかかわらず……。ラベルに印刷された蒸留所の場所であるモレイシャーも見つからないのですが、きっとこれはモレイ湾にでも面した小さな村なのでしょう。 しかし、スコッチのブランドとなるほどの山が、こんなに大きい地図になぜないのか、よく分からないままに、「ベン・リアック」を堪能したことでした!?　

  2017.03.09

• 両手に花!?５

  しかし今回、中村さんはこの旅行記とともに、「ベン・リアック」というスペイサイドの17年シングル・モルト・ウィスキーをプレゼントしてくれました。もちろん初めてのブランドです。早速やってみると、すばらしく個性的なスコッチです。ラベルに”PEATED”と大きく書いてあるだけあって、まずピートのスモーキー・フレーヴァーが豊かに立ち上がります。よく知られた「バウモア」と、甲乙つけがたいほど印象的です。そのあと、「ゴディヴァ」を思わせるちょっとビターな甘みが舌の上に広がるとともに、よく熟れた「佐藤錦」の甘酸っぱい香りが鼻腔を通り抜けていきます。喉を通り過ぎたあとは、やはりピートの香りが〆となるので、そこでビーフ系のツマミをとって、つぎのワン・ショットへいくのがいいようです――なんちゃって、分かったようなことを言いましたが……。一度飲んだら忘れることができないキャラの立ったシングル・モルト――オススメの逸品です。 

  2017.03.07

• 両手に花!?４

  ここでぜひ紹介したいのは、伝説のバーテンダー皆川さんのことです。この旅行記によって、こんないい生き方をしている日本人がスコットランドにいることを、はじめて知りました。皆川さんは、バーテンダーになるならウィスキーの本場に行かなきゃ話にならんとイギリスに渡りました。そしてクライゲラの有名なホテル、ハイランダー・インのオーナーがリタイアするにあたり、乞われてそれを引き継いだそうです。中村さんはここに4泊したそうですが、皆川バーで「珍しいモノを」という希望に応えて供された「アバロー」は、とくに深く心に刻まれたようです。中村さんが訪ねた31ヶ所の蒸留所のうち、僕がやったことがあるのは、「ラフロエイグ」「ボウモア」「ベン・ネヴィス」「グレンフィディック」「ザ・グレンリベット」「マッカラン」の6種だけ――つまり、口惜しいことに、すべて日本で簡単に手に入るブランドばかりなのです!!　

  2017.03.06

• 両手に花!?３

  しかし中村軍団の旅行は、河野一家のようなチャチものじゃありません。2009年には13ヶ所、2015年には、門前を通ったものを含めて、じつに18ヶ所の蒸留所を経巡っているのです。ただ「スカイ島（タリスカー）までは行けず」と書いてあったので、ここだけは俺の方がちょっとよく知っていると、これまたチャチな優越感に浸ったことでした（笑）。全部で31ヶ所の蒸留所を訪ね、テイスティングを楽しみ、あるいはおみやげを求めてスーツケースを一杯にしながら、無事日本へ戻ってくるというスコッチ三昧の大旅行です。もっとも、ピットロホリーでは、地ビールも製造するモーリン・ホテルのパブでスタウトとエールを堪能したらしく、これまた実にうまそうです。「うまい」と言えば、「英国は料理がまずいというが、海沿いの街は海の幸が非常に美味」という「余談」には、思わず「その通り!!」とうなずいたことでした。

  2017.03.05

• 両手に花!?２

  中村さんは日本酒党ですが、ご主人はウィスキー党で、2009年と2015年の2回、従兄弟ご夫婦と一緒に、スコットランド蒸留所巡りをされたのです。これはその旅行記なのですが、写真や地図がたくさんちりばめられ、実にうまくまとめられています。ページを繰るうち、たのしそうだなぁ、うらやましいなぁという気持ちとともに、さまざまなスコッチの馥郁とした香りが口内に広がってくるのです。2003年、僕もスコットランドの西海岸にあるアイル・オブ・スカイへ家族旅行で出掛け、この島唯一のスコッチ「タリスカー」に出遭ったことについては、すでにアップしましたね。ですから、知っている地名もたくさん出てきて、懐かしいなぁという感情も湧き起ってきたのです。

  2017.03.04

• 両手に花!?１

  両手に花!?（2月28日）　以前紹介した中村さんが、｢超・日本刀入門｣を見に来てくれました。僕が東京国立文化財研究所所員であったとき以来、お世話になりっぱなしのライブラリアンです。しかも、銘スコッチ「タリスカー」を旅のおみやげにいただいたことがあったのに、これももらいっぱなしになっていたのです。お礼をさせてもらうという口実を設けて、柳小路に繰り出すことにしました。静嘉堂でコレクション目録の整理をお願いしている福田さんに、彼女オススメの日本酒がおいしいお店を予約しておいてもらったので、もう仕事中から気もそぞろです!?　両手に花ですから、盛り上がったことは言うまでもありませんが、何よりうれしかったのは、中村さんから“Scotch whisky Tour  2009&2015“をいただいたことでした。

  2017.03.03

• 銘ウィスキー「タリスカー」３

  ところで中村さんのご主人は停年になったときに、節子さんとともにスコットランドのウィスキー醸造所めぐりをされました。もちろん、ご主人がウィスキー・マニアだったからです。ちなみに節子さんは日本酒マニアですが……。 きっとそれ以前に、僕が「タリスカー」のことをしゃべったことがあったのでしょう、スコットランド醸造所めぐりのおみやげに、お二人から「タリスカー」をいただいたのです。一瞬、何とお礼を言ってよいか、言葉が見つかりませんでした。 もちろんさっそく堪能しましたが、そのお礼をしていないことを、このブログを書きながら思い出しました!?　こんど必ず二子玉川の柳小路で、ご主人と節子さんにともどもお礼を申し述べることにしましょう。

  2016.11.15

• 銘ウィスキー「タリスカー」２

  中村節子さんは、東京国立文化財研究所、現在の独立行政法人文化財研究所東京研究所のライブラリアンとして、長い間、資料収集整理という美術史の根幹をなす重要な仕事を続けられました。 僕の東京国立文化財研究所時代、資料室で一緒に仕事を行なった同僚ですが、僕が＜とらばーゆ＞してからは、資料閲覧のたびに、どれほどお世話になったことでしょうか。 たとえば国際交流基金（ジャパン・ファンデーション）から、かつて出版されていた英文の日本研究目録　”An Introductory Bibliography for Japanese Studies”　が思い出されます。僕は玉川大学の金子悦子さんと一緒に、10年以上にわったてその美術史部門の編集作業を行いましたが、中村さんの協力がなければ、絶対に不可能だったでしょう。  

  2016.11.14

• 銘ウィスキー「タリスカー」１

  　先日アップした鹿島美術財団美術講演会「美術と文字」で、鶴岡真弓さんから、ウィスキーというのは、ケルト語で水の意味であることを教えられました。水だから、生命を維持するために飲まずにいられないわけです!!鶴岡さんの講演を聞きながら、前に書いたスカイ島旅行で出会った銘ウィスキーのことを思い出していました。鶴岡さん、ごめんなさい!?　この旅行で生まれてはじめて「タリスカー」というウィスキーを知りました。スカイ島で醸される唯一のウィスキーだそうです。一口含んで、これは銘酒だと深く心に刻みつけられました。帰国してから、さすがの小林忠さんも知らないだろうと思い、「スコットランドのアイル・オブ・スカイというという小さな島でできる『タリスカー』というウィスキーは絶品ですよ」と誇ると、「あぁ『タリスカー』ね。このところ毎晩やってるよ!!」。 

  2016.11.12

• 芳醇甘口日本酒の流行と若冲２

  　　その後、福島では進化した醸造技術を活用し、官民一体で酒質を上げる「福島方式」が編み出されました。これが想像以上に功を奏したそうです。　　また、3･11原発事故が、若い後継者を蔵に呼び戻す逆バネに働いたという「廣木酒造本店」の廣木健司社長（49）の指摘は、日本人の国民性を考えるとき、とても興味深く感じられます。　　ちなみにここから醸される「飛露喜」が、福島の人気ブランド酒であることは、あらためて言うまでもないでしょう。　　いずれにせよ、僕がもっとも興味深く感じたのは、記事の最後に引用された酒販店大手「はせがわ商店」（東京都）の長谷川浩一社長（60）の言葉でした。　　「芳醇甘口の酒もいずれ飽きられるだろう。少し前に焼酎ブームもあったが、日本人は怖いぐらい、ブームに流されてしまう。」

  2016.07.02

• 芳醇甘口日本酒の流行と若冲１

  芳醇甘口日本酒の流行と若冲　　先に日本人のアタラシ物好きが、「若冲狂乱展」の基底をなしているということを書きましたが、さらにこれを実証するような記事が、6月16日の『朝日新聞』にでていました。「日本酒王国いまや福島　『芳醇甘口』が後押し」＜ニュースQ3＞という記事です。　　まずそれを紹介しましょう。5月18日、新酒の品質を競う全国新酒鑑評会の結果が発表され、とくに優秀と認められた金賞の都道府県別受賞数で、福島が18点と4年連続一位を成し遂げました。　　これが市販の酒となると、いまや福島は断トツの人気を誇り、かつての王者新潟はまったく精彩を欠いています。それは市販酒対象の「SAKE　COMPETITION」の成績から歴然だそうです。秋田県人の僕としては、ぜひ秋田に福島と覇を競ってほしいと願わずいられないのですが……。　　福島人気の理由は、酒の主流が「淡麗辛口」から「芳醇甘口」に変わったことがとても大きく、その転機は、山形に「十四代」が登場したことでした。　　歌川広重が天童（現山形県天童市）の藩主、織田家の依頼によって制作した双幅や三幅対の江戸名所絵――いわゆる天童広重の調査におもむいた際、「十四代」を心から堪能した一夕のことが、懐かしく思い出されるのです。

  2016.07.01

• 明けましておめでとうございます!!

  明けましておめでとうございます（1月1日）　僕は岩波版『中国詩人選集』によって、中唐の鬼才・李賀の詩を知ったのですが、これには74首採られています。大晦日に続いて、チビチビやりながら、これに戯訳を加えて遊ぶことにしました。この訳注を施したのは荒井健さんですが、『國華清話会会報』に寄せた李賀に関する拙文をお送りしたところ、丁重なお返事を頂戴してとてもうれしく感じたのは3年前のことでした。そのなかから、お正月にちなんで「致酒の行」を……。　　　　人に無視され落ち込めば　酒を飲まずにいらりょうか　　飲み屋の主人が運び来て　「元気に飲んでよ　お客さん　　かの主父偃[しゅぼえん]も長安で　花咲かすまで何年も……　　待ちくたびれて家の人　門の柳を切っちゃった　　むかし新豊のはたごやで　大酒浴びてた馬周殿　　天地はもうろくアホで満ち　一人もその才見抜けない　　天子に宛てた上奏文　遠慮もせずに書いたのに　　たった二行で認められ　監察御史になったとさ」　　雄鶏[おんどり]ひとこえ新しき　夜明けを世界は迎えたが   　俺の魂さまよって　呼び戻すなどできはせぬ　　若者はみな青雲の　志をば持つべきだ　　誰が望まん引きこもり　溜息ついて暮らすこと　主父偃は前漢の人、馬周は唐の人、ともに極貧のうちに育ちましたが、学問に励んで皇帝に見いだされ、とても高い地位に上りました。飲み屋の主人はこの二人を例に挙げ、李賀を励ましたのですが、彼は弱冠27歳でこの世を去ってしまったのでした。

  2016.01.07

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