ピノ・ノワール “F” 2001 ポール・ブランク アルザス 2007/5/12
アルザスのピノ・ノワール。 “F”とは、グラン・クリュの畑、フルシュテンタムのことで、そこに植えられているピノ・ノワールからつくられたワイン。 2001年のアルザスは、偉大ではないが、バランスの良い優れたワインだということ(いつものヒュー)。 ブルゴーニュのピノ・ノワールに比べると、どことなくくすんだ感じの色合い。全体にほのかな熟成の紗がかかっている。 つややかな赤色果実を思わせるアロマ。その中にかすかに肉系(モローのボーヌほどではない)。 ブーケは、肉の香りが濃厚になる。また、赤色果実の香りにはグラデーションがかかっているように様々な果実の香りが複雑に絡み合っている。 口に含むと、まろやかなフランボワーズから始まりストロベリーまで、ブーケ同様よく熟れたさまざまな赤色果実の風味が複雑にとけあっていて、焼いた肉のような芳ばしさとコクと旨みが風味をさらに深いものにしている。 余韻は、チョコレート(瓶の中程を過ぎると、炭のようなよく熟れた、焦げたようなタンニン)、赤色果実と肉のコク、スパイス。 なんとも爽やかな香りと風味。 口のなかで風味が解けて余韻とともに消えていく様は、やはり、風に舞う花びらが澄みきった高原の空の彼方に吹き消えていくよう。 はかなげで、軽やか。 香りや風味に、とくにこの澄みきった酸味に、高原の冷涼な大気を感じる。 厚みのないうすい(味が濃い、うすい、ではなく、質感が)酸味は、ブルゴーニュのピノとも違っている(ただ、もの静かなところ、なにげないが洗練されているところなどは、ジャン・グリヴォーのブルゴーニュ・ピノ・ノワール2002に似ていると思った)。そもそも、ブル・ピノは、「骨格」というのがドスンと存在していて堂々としているが、このアルザスにはそんな「骨格」らしきものは見あたらず、そこにも、この澄んだ冷涼な感じ同様、とても親しみと好感を覚える(この高原の冷涼さを知ってしまうと、ブル・ピノにはどこか京都の底冷えを思わせるようなガチッとしぶとく噛みついてくる頑固な「硬さ」があるのかな、と思えてくる)。 五日目になると、さらに風味に厚みが増してきた。冷涼感やはかなさはおもてから消えてしまい、残り香のようにかすかに感じとれるだけになってしまったが、ブーケ、風味ともにさらなる複雑さが楽しめた。 *** 最近、舞い上がり系よりも、こういう静かで、澄んだ感じのワインに好感が持てる。 といって、古酒の静けさではなく、果実味もしっかり活きているもの。ダシ系の風味がつよいのも苦手なので、今回のアルザスは好みにはまった、素敵なワインだった。 追加注文はほとんどしないが、今回は別。 *** あと、「ワイン大好き」ってブログテーマ、しばらく見てないうちに、「広告掲示板」みたいになっちゃってるね・・・ と、思ったら・・・「いづくもおなじあきの夕暮れ」ですか・・・? ま、どうでもいいけど。。。