ソムリエナイフ 2007/10/28
「誕生日のお祝いになんか欲しいもんないの~?」と奥さんに聞かれて、「う~ん、別にないな~」って感じだったけど、そういえば、最近、近所のスーパーで間に合わせに買ったワインオープナーの調子が悪いので、ソムリエナイフがほしいな、ということで、ネットで検索。 実は、以前から気になっていたのがあったのだけど、それは、握りがマンモスの牙のもの。 なんでマンモスかというと、別に珍しいからと言うんじゃなくて、お茶の茶入れの蓋が象牙でできていて、独特のつるつるしたその触り心地がとてもよくて。 ラギオール・アン・オブラックに象牙の物があるようだが、ここのは、シャトー・ラギオールやフォルジ・ド・ライヨール(いわゆる ライヨール)より、ごっついらしい。 といっても、シャトー・ラギオールもライヨールも使ったことがないので、よくわからない。 確か、以前、京都高島屋だったか大丸京都店だったかで、ライヨールの物を見たので、確かめに行くことに。 また、伊勢丹の通販にラギオール・アン・オブラックのがあったので、実店舗の方にもあるかなと期待してたけど、JR京都伊勢丹にはなかった。 大丸と高島屋には、やはり、ライヨール。 高島屋のワイン売り場で、ソムリエナイフについて、たまたまいたソムリエ氏とソムリエールさんに話を聞いてみた。 ソムリエ氏は四十ぐらい。 以前インポーターをやっていて、試飲会の時など、右手の人差し指の皮がぼろぼろになるほどボトルを開けたこともあったとか。 その彼が言うには、仲間のソムリエで、ラギオールを使っている人はほとんどいない、ということ。 理由は、重い。落としたりしやすい。また、フックが瓶にしっかり固定するのは一見いいようだが、実は力の入り方によっては、瓶の口が欠けることがある。 彼が今使っているのは、パリの骨董市で買った、日本円にして2000円ほどの物。選ぶときのポイントは、スクリュー。この部分がもっとも大切。先端の方から見て、いがんでないこと。その点でもっともシビアな出来なのはドイツ製。今彼が使っている骨董市の物はもっとも納得がいく物だったということ。 見せていただいたけど、ほんとに、普通のソムリエナイフ。 ソムリエールさんは20代後半くらい。ソムリエ氏のような修羅場は経験していない感じ。 使っているのは、ライヨール。ソムリエールになったとき、友だちからのプレゼント。ただ、普段は、1000~2000円の物。ライヨールは特別なワイン用。 周りのソムリエ・ソムリエールも、ライヨールの愛用者は多い。とても使いやすい。柄は、初めは木製のものを選ぶ人が多いが、やがて、個性的な骨や角のものへ。とくに牛骨が人気。牛骨の白がいい。 シャトー・ラギオールについては、手に持ってみると、ライヨールよりうすく、細く、柄がとても掴みやすい。しっくり来る。また、シャトー・ラギオールは、やっぱり、ソムリエ・ソムリエールの憧れ、だそうだ(ネットの売り文句だとしか僕は思ってなかったけど)。 ラギオール・アン・オブラックについては、知らなくて、ネットで調べてくれた。プリントして持ってきてくれたのは、僕が前日に調べたHP。ライヨールに比べてかなり湾曲しているフォルムを見て、これだけ曲がっているとちょっと扱いにくいかも。重いというのも、扱いにくさになるかも。とは言いつつ、ブドウを象眼したものがかわいい~、欲しくなりますねぇ。象眼のはあんまり気にとめていなかったけど、そうなんだ、若い女性狙いなのか、と納得。 あと、今時は、デパートよりも、東京だと、ロフトや東急ハンズの方がワイングッズは充実しています、そちらに行かれてみては、とのこと。 ソムリエ氏、ソムリエールさん、どうもありがとうございました(と、ワインの一本も買わずに話だけ聞くだけ聞いて。っていっても、やっぱ、デパ地下は高すぎるよ~。たとえば、ルフレーヴのブルゴーニュ・ブラン2004が7千円超・・・)。 そういうわけで、京都にはロフトはあるので、ロフトへ。 おお、シャトー・ラギオール! 持ってみると、確かに、手にしっくり馴染む。手取りがよい、とでも言うか。 フォルムは昔の手押し式ポンプの柄のよう。 かなり、重い。金属部分には彫刻も。 ネットで写真を見てるときは、機能重視のフォルムでその方向に洗練されているものの、フックがどうしても気に入らなかった。だが、持ってみて、このしっくり感は悪くない。フック部分のこの程度の野暮ったさなら納得できるかも。 ただ、手と道具との間だけで完結してしまう、このしっくり感は、逆にどうだろう? というのは奥さんの指摘。確かに、手と道具の間だけのこのしっくり感で完結してしまって、その他の物をすべて排除してしまっている。つまり、肝心なワインを排除してしまいそうな、それほど完璧なしっくり感。 再び、大丸へ。 実は、大丸に展示してあったライヨールの水牛が、一目見たときから、結構いいかな、なんて。 ハッとするような、一瞬で人目を魅了するようなものではなく、じわ~といいな~と思えそうな、色あいと模様。 他の水牛も見せてもらったが、展示してあって多少疵もあるが、やっぱりこれがいい、ということで、ついに購入。 ネットだと色あい・模様は選べないし、もし選べるとしてもPCの画面の性能などによって実物とかなりズレていることもある。多少安くても、気に入らないものが送られてきたら話にならない。それに、ラッキーにも、今日は大丸カード会員優待セール中(っていうか、最終日)。15%オフになって、ネット・ショップによってはお得に^^ 写真はやや夕暮れ時に撮影。 水牛角部分、マットな感じだが、昼光だと、透明感が出る。 フックの部分などはややオリーブがかっていて、そこもいい。柄のもとの方、すこし茶色がかっているところも、グッド。 まあ、多少マニアックな話だが、スクリューの旋回しはじめる部分、これは矢羽根型になっている。スクリューに溝はない。箱は、黒。ロゴ部分に、「FORGE DE」と入ってる。 それにしても、精巧、緻密な道具といった趣。 ヨーロッパ的な精神のなすところなのか、それとも、刃物系の職人魂のためなのかはよくわからないが、茶陶のアバウトな美とは対照的。とはいえ、ヨーロッパ的というか、大陸的な美意識に通じるところも。茶陶とはいっても、中国の青磁の端正さに通じる感じもする。 大陸的な美意識+刃物系職人魂の融合。 ところで、このフォルムは、女性の脚をイメージしてデザインされたというが・・・。 折り畳んであるフックが靴とも見れる、とは奥さんの意見。 確かに、そう言われてみれば見えないこともない? かな? さてさて、フォルムはさておき、実際使い勝手はどうか? ためしに昨日開けたコルクに挿してみたけど、ほお~、スムースにスクリューが吸い込まれていく感じ。 とはいっても瓶の口の圧力を受けてないコルク。 来週の土日が楽しみ。 ま、開けるのは、いつもどおり並のワインだけど・・・。