サファイアブルーの言葉「サファイアブルーの言葉」2007.12.16アンティークブーケが飾られたウッドデッキのチェア。 ココアブラウンのテーブルであなたはブルゴーニュを飲んでいる。 黄金色に光り輝く太陽の下、二人はダイビングを3本楽しんだ。 ライトグリーンなピピ島にインディアンオレンジの夕日が入り込む。 あなたは忘れな草ブルーに染まった和紙を見つめている。 右手には私が日本のブックセンターで見つけた小柄な万年筆。 あなたと出会ったのは3年前のプーケットでのファンダイビング。 ダイビングマスターとインストラクターの関係を続けてきた二人。 ピピ島での二人のファンダイブは今日で33本目を迎えていた。 「ALWAYS」と刻印された万年筆は、あなたに伝える私の気持ち。 テラスから差すオレンジの光があなたの持つ万年筆に蓄積される。 オレンジの夕日は同軸のカートリッジに豊饒に満たされていく。 無数の星が煌く夜空を模した群青色の主軸は過去との境界。 過去の想い出が詰まったオレンジの光はアンダマンの海水に化身した。 あなたは仏製のエルバンのマンネルサファイアブルーを入れていた。 過去を純化する主軸を通過し金色のペン先から海水が流れ出す。 3年のダイブを思い起こすブルーの海水は曲線を描いて言葉になる。 あなたはチェアに身体を任せ、ムーンシャドウに染まった空を眺めてる。 あなたの大きな背中越しに見つけたデスク上のブルーの文字。 「marry me」 私はあなたの太い首に両手を回し、火照った頬をそっと合わせた。 あなたの厚い唇が私の濡れた亜麻色の髪の毛をくわえた。 私はあなたの唇を求め、右手の指を絡め合わせた。 あなたはアンダマン海の真珠を探すように私を強く抱擁した。 私の未来を約束する言葉を描いたペン先の刻印は「S34」。 二人の34本目のダイブはお互いを知るためのナイトダイブ。 私たちはレギュレータを外し、ナイトブルーの海にダイブした。 入籍が決まったナマステインディアのスタッフNさんに捧ぐ。 丸善になかったカルバンのインキを東急ハンズで見つけたTackeyでした。 |