長い長い殺人『長い長い殺人』 光文社文庫大抵の人が持ち歩いているもの。それは財布。 刑事の財布、強請屋の財布、死者の財布や犯人の財布が持ち主の行動を語っている。 その10話に共通するのはある連続殺人事件。 夫と妻を殺された二人の男女。 多額の保険金がかけられ、二人が不倫の関係となれば怪しいのは当然。 だがアリバイもあり、なかなか事件の真相にたどり着けない。 財布にも様々な個性があり語り口も違っているのが面白い。 事件の真相を知っていても手を出せないモノゆえのジレンマもよく表現されている。 最初に読んだ当時は犯人の動機にやや弱いものを感じたが、 様々な事件が起こる今読んでみるとこういう気持ちで犯罪を起こす輩が実際存在していて納得させられた。 私の財布は何を考えているのかな? |