セクハラ 事案学習 身体的接触のない事例
セクハラについて,事例をみて,学びましょう。大阪市立中学校事件と呼ばれている事件です。==■当事者■===============原告(訴えた側):女性教師被告(訴えられた側):男性教師(原告の同僚)==■事案の内容■============= 原告女性教師は大阪○○中学校の英語教諭であった。 ○○中学校は,大阪市の国際理解推進研究指定校であった。 原告女性教師と被告男性教師は,大阪市中学校教育研究会外国部の専門委員の委嘱を受けていた。 ○○中学校における国際理解教育は,原告女性教師着任前は,被告男性教師が中心であった。 しかし,原告女性教師着任後は原告女性教師が中心となって行われるようになった。 原告女性教師は,各種シンポジウムやフォーラムなどで対外的な研究発表を行い,文部省(当時)主催の海外研修員として海外に派遣されたりした。 (問題発言1) 被告男性教師は,○○中学校の外国人の英語指導助手に対し,次のような発言をした。 「原告女性教師は自分の仕事を君に押しつけ余分な仕事をさせている」 「原告女性教師は英語を話すのはうまいかもしれないが,教師としてはよくない。」(問題発言2) 被告男性教師は,10人近い職員が在室する職員室において,英語で,次の様に発言した「原告女性教師が生徒に厳しく当たっているのは性的に不満があるからだ。」(問題発言3) 被告男性教師は,学校の新年会の二次会で同僚約10人とカラオケボックスに行った際,英語で次のような発言をした。「原告女性教師は性的に満足するため男を必要としていた。」==■訴訟の経過■===========大阪地方裁判所判決(平成.9.9.25) 問題発言1の教師としてよくない旨の発音は,軽々にロにすべきことではなく,同僚教師の発言として許される限度を超えており,それ自体違法である。 問題発言2は,性的侮辱として原告女性教師の人格権を侵害する違法行為である。 として慰謝料50万円を認容(100万円請求に対して一部認容) なお,第1審大阪地方裁判所は,本件における一連の問題発言の背景には,被告男性教諭の原告女性教師の活躍に対する妬みがあると認定している。被告側控訴大阪高等裁判所判決(平成.10.12.22)一審を変更して慰謝料30万円を認容(慰謝料を減額)被告の発言が性的侮辱として原告の人格権を侵害していることは認定した。しかし,原審が認定したねたみが背景にあった点を否定し,慰謝料を減額した。被告側は最高裁判所に上告したが上告棄却。原告側勝訴の大阪高等裁判所判決確定(慰謝料 30万円)++++++++++++++本判決からの学び(気づき)(1)加害者に,性的な動機・意図が無くても,客観的に見て(一般人基準),相手方の意に反する性的な言動と認められる場合であれば,セクハラ行為となり得る。(2)行為者の動機・意図が何であれ(例えばねたみ),客観的に見て,相手の意に反する性的言動と評価し得る場合であれば,セクハラになりうる。(3)身体的接触(接触しようとする行為も含む)がないから即セクハラに該当しないとはいえない。 性的侮辱もセクハラである。みなさん,お気をつけを。ちなみに,女性→男性の場合もセクハラになりますから。だから,先輩女性が,「(後輩の)彼は彼女いなくて欲求不満だから失敗するのよ」みたいなこと言ったらセクハラに該当する可能性有りです。