2012/10/21(日)10:19
『自治体における代表制』 自治体学会
本書において興味深い点を抜き書き。
●二元代表制の現状と課題
出席者 穂坂邦夫(元志木市長)、★富野暉一郎(元逗子市長)、角井基(横須賀市議会議員)、牧野直子(箕面市議会議員)
二元代表制つまり自治体における首長と議会について、
上記4名による討論。
まず興味深いのが、
「市の財政について、10年間にどう変わってきたのか調べる」という発想。
自治体の財政というのは、単年度でドラスティックに変化するということは
通常ないが、それでも時勢に応じて変更が加えられている。
それを10年単位でみようということである。
これを複数の市で比較すれば
あなたの属する市が、しっかり時勢に応じて
組織や予算に変更を加えているのかがわかるだろう。
トレンドではない所属に前年踏襲の繰り返しにより
過剰な人員を配置していないか。
市によって環境は異なるが、公共工事から福祉政策への転換など
大きな流れとしては認識できるはずだ。
冨野氏の議員の資質に関する主張には共感を覚える。
「マニフェストは一種のペーパーテスト。マニフェストを書くには、それなりのスタッフと自分なりの判断が必要。議員の一定のレベルを確保できるような選挙のあり方を考えていかなければいけない。」
それからヨーロッパには自治体連合があり、
予算をプールし優秀な人材を確保しているというのも参考になる。
牧野氏の議会環境についての発言に
「予算書も含めて傍聴席に資料を置いているため、傍聴者はそれをみながら傍聴できる」
というのがある。これは全国で実施すると同時に、
傍聴者(ネット視聴・資料掲載も含む)を増やす努力をすべきである。
●自治体における代表性 竹下譲(四日市大学教授)
「一般質問は地方自治法で定められている議会の審議ではない。“議案の審議”よりも“一般質問”の準備に熱を入れている議員が多いようである。」
これは重要な指摘であると感じる。
もちろん一般質問は大切であるが、それが個々の議員の質問で終わってしまえば、
議会としての統一性に欠ける。
議員の質問を聞くと、同じような質問をしたり、
執行部の回答とずれた再質問をしている場合も少なくない。
時間の限られた貴重な場を有効に活用するには、
議員同士でもっと議論をし合い、議会全体として重みのある問いかけを執行部にすること。
必要に応じて、議会としての最重要課題を明らかにし、
個人としてではなく議会として執行部に回答を求めることも重要であろう。
このことは本書において
「一般質問は議会が合議制の機関として活動するための前提になるという位置づけが必要であろう。(中略)一般質問の中に含まれている議員の要望は、執行機関に対する一種のプレッシャーであるが、これは、本質的には、個々の住民の要請と変わりがないものである。そうした一般質問を重視してる現在の議会は、住民代表としての機能、すなわち地方自治の主役としての機能を果たしていないということになろう。」(P72)
と記述されている。