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くつろぎかふぇ

トマソン選手と少年の話(1)

これは2003年5月19日と20日の2日に分けて書いた、
2002年W杯での、デンマーク代表と、エースストライカー、トマソン選手の心温まるエピソードです。コピペですが。

ワールドカップ出場国のキャンプ地での練習というものは 非公式、非公開が通例であるが、デンマークは違った
(イングランド、イタリア、スペイン、ブラジルといった強豪国はほとんど非公開でしたね)
練習初日からデンマークチームの意向で全ての練習を公開した
さらに練習後には見学に来ていた地元サッカー少年たちを招きいれ
一緒にミニサッカーを行ったりもした。この評判を聞きつけ、デンマークというチームが「むちゃくちゃフレンドリーで気さくな人たちばかりやで!」という口コミも相当あったという。
そして、この翌日から見学に訪れる人が徐々に増えていった
初日はわずか数百人だった見学者が翌日には2000人
その翌日には2500人、そのまた翌日には3000人が訪れた
練習後には気軽にサインに答える選手たち。
監督も練習後にはサッカー少年たちを招きいれ練習を指導したりもした。
この監督にある記者が聞いた。
「他国は練習を公開しないで、試合に備えていますけど
デンマークはこれでいいのですか?」と聞いた
すると、このデンマーク・オルセン監督はこの記者にこう答えた
「我々の強さは練習を秘密にしたところで変わらない
絶対的な自信をもって試合にのぞむだけだ
何より、キャンプ地を提供してくれた和歌山の人たちが
喜んでくれることはどんどんするべきなんだ・・・
試合も大事だが、この交流も大事にしたいと選手全員も言っている」このオルセン監督、この発言だけでも『いい人』をかもしだしているのだが彼のエピソードをもう一つ語ろう。
ホテル入り初日のことである。
デンマークチームが来日し、ホテルでの歓迎セレモニーを受けた後
再度、宿泊先のホテルの支配人と料理担当のコック長が監督の部屋へ挨拶に訪れた。
「これからの数日よろしくお願いします」という言葉とともに
彼ら、支配人とコック長にはもう一つ言っておきたい・・聞いておきたいことがあった。
彼らにはもう一つ『心配のタネ』があった・・・
それは食事の問題であった。
ホテル側も選手たちには万全の状態で試合に臨んでほしかった
食事が口に合わない・・・それが原因ということだけは避けたかった。
他国の宿泊先ホテルに連絡をすると、食事でかなりもめたという事を聞いていた。
「口に合わない」「母国の材料で調理してくれ!」といった文句を
言われたという事を彼らは聞いていた・・・デンマークが宿泊したホテルの支配人はこう言った。
こういったトラブルだけは「どうしても避けたかったんですよ」と
それゆえ「最初に監督さんに聞いて、チームの意向を聞こうと思って挨拶にいったんですよね」と言っていた。
その想いから、支配人とコック長は監督の部屋を訪れた
そして通訳を介し、監督に聞いた「食事で何かご要望とかはございますか?」と支配人は聞いた。
するとオルセン監督はこう答えた。
「一切お任せします そちらが用意される料理を我々はご馳走になります」と・・・。
この言葉に驚いた支配人とコック長。
「いや・・やはり母国デンマークの食事の方がいいんじゃないでしょうか?」
「こちら和歌山をキャンプ地に決めたときから、食事も
そちらにお任せしようと私と選手たちは言っていた。選手も理解している。全てをあなたたちにお任せします」
「あの~~他の国とかのホテルにお聞きすると・・・
食事はやはり母国のほうが好まれると聞いたものでして・・・」
この言葉にオルセン監督はこう言った
「他国は他国、我々は我々です」
この言葉に支配人は
「あの言葉で本当にホッとしましたよ・・・滞在中は無事に過ごせていただけると
あれで思いましたね」と言っていた。
さらに、オルセン監督はコック長に向きなおし、言い出したという
「我々は料理をあなたに全てお任せします。よろしくお願いします」
緊張しながらも「はい!こちらこそよろしくお願いします」と答えるコック長。
そして、コック長に聞くオルセン監督。
「和歌山で有名な食材は何ですか?」と彼は聞いた。
この質問の真意がわからずもコック長は監督に答えた。
「和歌山では魚が有名です、カツオという魚が特に有名です」と・・・するとオルセン監督は微笑みながらコック長に言った。
「それでは、そのおいしいカツオを我々に食べさせてください
あなたが腕をふるって、おいしいカツオを選手たちに食べさせてやってください」
と言った。
この言葉にコック長は大変感激した。
「世界の代表監督が、あんないい人だったからね~~
いっぺんでデンマークのファンになりましたよ!」と言っていた
この食事に対する『良き姿勢』は監督だけではなかった
選手たちも同様だった。
最初の食事を迎えた時、ある選手が通訳に聞いた
「デンマークでは食事するとき神への祈りをするのだが
日本では食事始める時に何かするんですか?」と聞いた。
デンマークは国民の9割がプロテスタントである。
神への祈りを終えてから食事を始める。
この選手は日本ではこれの代わりに何かするのか?と聞きたかったのである。
これに答える通訳。
「日本でもキリスト信者は神に祈ってから食べるけど
たいていは手を合わせて『いただきます』と言ってから食べます」と答えた。
すると彼は・・・
「こうやるの?」と通訳に聞きつつ、手を胸の前で合わせた
これに。通訳は「そうそう!その両手をもう少し上に上げて!」と言った。
その言葉に彼は顔の前まで手を上げる。
「そうそう!」と答える通訳。
そして彼はその姿のまま、コック長の方へ向き頭を下げた。
それを見ていた他の選手たちも彼にならい、手を顔の前で合わせた
この時から、食事のたびに手を合わせる選手たち。
コック長は言った。
「今の日本人でも『いただきます』『ごちそうさま』言えないヤツが多いのに外国の人にあんなことされたらね~~むちゃくちゃ嬉しかったですよ」と・・・。
この最初に手を合わせた選手の名を・・・トマソンといったこのトマソン選手・・・今大会では4得点をあげ
デンマークを決勝トーナメントに進出させた立役者である。
あの日本代表・小野選手と同じオランダ・フェイエノールトに所属することでも有名な彼。
彼は少し神経質の面を持ちあわせているのだが、非常に心優しい青年だトマソン、彼の優しき一面をもう一つ語りたい。
それはある握手会でのことである。
デンマークというチームは前述したように
練習を公開し、和歌山県民との交流を積極的に行った。
練習後は地元サッカー少年たちとミニサッカーを行い
握手会、サイン会もたびたび行った。
そのひとコマの話である。
あの日も、いつものごとくサイン会が行われた。
気さくなデンマークの選手たちを県民も大好きになった。
あの日もデンマーク選手たちのサインを求め長蛇の列が出来上がっていた。気軽にサインをするデンマーク選手たち。
もちろんトマソンもその中にいた。
その最中のことである。
トマソンの前にある少年が立った。
彼はトマソンの前に立ちつつも・・・少しモジモジしていた。
後ろに立っていた母親らしき人が彼を促す。
「ほら!早くしなさい!」と彼に言っていた。
トマソンも少し「変だな」と思ったのでしょう。
通訳を通じ「どうしたの?」と彼に聞いた。
意を決した少年はポケットから一枚の紙切れを出し、トマソン選手に渡した。
それは学校の英語の先生に書いてもらったものだという
英語で書いた、その紙切れにはこう書いてあった。
「ボクは小さいころに、病気にかかって
口と耳が不自由です・・・耳は聞こえません、話せません・・・
だけどサッカーだけはずっと見てきました、大好きです
デンマークのサンド選手とトマソン選手が好きです
頑張ってください」と・・・。
その手紙に通訳も・・・その場にいた我々記者も驚いた。
言葉が出なかった・・・。
だが、トマソン選手はニッコリと微笑み少年に・・・。
「それなら君は手話はできますか?」と・・・。
手話で語りかけた。
その『言葉』に驚く少年と母親。
再度聞くトマソン・・・。
「手話はわかりませんか?」と・・・。
トマソンに英語で言った。
「ミスタートマソン、手話は言語と同じで各国で違うんですよ」と彼に言った。
手話を万国共通と思う人が多いのだが。
国によって違う、ましてや日本国内でも地方によって違う。
「そうだったのか・・・」という顔をしたトマソン。
そして彼は通訳にこう言った。
「ボクは彼と紙で、文字を通して話をしたいのですが手伝ってください」と言った。
微笑んで「わかりました」と答える通訳。
トマソンは「後ろの人たちにも彼と話す時間をボクにくださいと言っておいてください」とも言った。
後ろで順番を待つ人たちは何も文句を言わなかった・・・。
一言も文句を言わなかった・・・。
彼らに「2人の時間」をあげたいと他の人たちも思ったのでしょう。。
そして通訳を介し、少年とトマソンの『会話』が始まった「君はサッカーが好きですか?」
「はい。大好きです」
「そうですか。デンマークを応援してくださいね」
「はい。あの聞いていいですか」
「いいですよ。何でも聞いてください」
「トマソン選手はどうして手話ができるんですか?正直、ビックリしました」この少年の質問に彼は答える「ボクにも君と同じ試練を持っている姉がいます。
その彼女のためにボクは手話を覚えたんですよ」と・・・。
その彼の言葉をじっくりと読む少年。
そしてトマソンは少年に言った。
「君の試練はあなたにとって辛いことだと思いますが
君と同じようにあなたの家族も、その試練を共有しています
君は一人ぼっちじゃないという事を理解していますか?」
この言葉に黙ってうなずく少年。
「わかっているなら、オーケー!
誰にも辛いことはあります。君にもボクにも
そして君のお母さんにも辛いことはあるのです。
それを乗り越える勇気を持ってください」とトマソンは言った。
このやり取りに涙が止まらない母親。
この光景を見ていた我々記者も涙した。
その場にいた人たち、その2人を見ていた人たちも涙した。
そして、トマソンは最後に少年にこう言った。
「ボクは今大会で1点は必ず獲ります。
その姿を見て、君がこれからの人生を頑張れるように
ボクは祈っておきます」
この言葉に・・・この少年は初めて笑顔を浮かべた
「はい!応援しますから、頑張ってください」と少年は言った
そして、サインをもらい、その場をあとにする少年と母親
ボクの取材に母親は目に涙を浮かべて言った。
「あんなことされたらデンマークを応援しないわけにはいかないですよ。
日本と試合することになっても、私らはデンマークを応援しますよ」と
涙を流し、笑いながら言った・・・・そして、このトマソン・・・少年との約束を守り、得点を決めた。
1点どころか、彼は4得点という大活躍だった。
こんなトマソン、
いっぺんにファンになってしまった。

続きはまた明日。


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