冬のにおい
北国・冬産まれのせいか、冬のにおいが好きです。もうこんなに寒くなったのに、今年はまだ冬のにおいがしません。 東京に住んでいて一番寂しく感じるのは、真っ白な世界を見ることがほとんどできないことと、冬のにおいがあまりしないこと。冬のにおいは、ホッとする温かいにおい。おそらく私が初めて外気を吸ったとき、きっと母に抱かれながら冬の匂いがしていたんだと思います。 深夜にしんしんと降り積もった雪が、朝日を受けて青くキラキラと輝くのを見たり、きゅっきゅっと鳴る雪を踏みしめながら、鼻を凍らせて白い息を吐きながら歩く、冬の朝が好きです。この季節、ただ冷たいだけの東京の冬が嫌いで、生まれ育った場所に帰りたくなります。子供みたいにどーんと深雪の中に倒れこんで、雪と戯れたくなります。