太陽仮面の日々

2009/08/12(水)22:24

リーゼ・マイトナーのこと

好きなもの(67)

タイトルの女性科学者のことが、たまらなく好きな太陽仮面です。 で、過去の女性科学者で有名なのは、マリー・キュリー(キュリー夫人)、イレーヌ・キュリー(キュリー夫人の長女)、ロザリンド・フランクリン、リーゼ・マイトナーなんかがいますが…。 ノーベル賞を受賞したキュリー親子は別として、あとの二人は不幸な人生を送ってきたな~と私は感じます。 ロザリンド・フランクリンは、DNAを結晶化してX線回折分析をすることによりDNAがらせん構造であることを最初に見つけた人なのですが、その写真をワトソンに盗まれた(実際は、彼女と共同研究をしていたウィルキンスという科学者が彼女が撮った写真をワトソンたちに見せた)ことによりその名誉までも奪われ(DNAのことでワトソンとクリックがノーベル賞を受賞したのは彼女の死後)、その後のワトソン・クリックのことを描いた映画でも実像とは違ってボロクソに言われ、今でもその業績は評価されていません。 それに比べたら、今回紹介するマイトナーはまだマシだったのかな、と思いますが、彼女が上げた業績にしてはまだまだ今でも評価は低いような気がしてなりません。 で、詳細は例によってWikipediaを見てもらえば、と思いますが、ここに書いてある業績だけでも…。 ・1918年、元素プロトアクチニウムの発見 ・1923年、オージェ効果の発見(この名前の由来になったピエール・オージェが発見したのではありません) ・1938年、亡命(彼女はユダヤ人)先のスウェーデンで、核分裂の概念を確立 と、これだけでもノーベル賞ものなんですが…。 「ユダヤ人である」「女性である」という二つの障害によって、彼女はノーベル賞を受賞できなかったんですね。 (これも、核分裂の発見でノーベル賞を受賞したオットー・ハーンが彼女を受賞者リストから外したためなのです) もちろん、マイトナーはこの仕打ちに、ものすごく傷ついたと思います。 何しろ30年以上共に研究を行ってきた仲間と思っていた人から、裏切られたのですから。 (これについては、ナチスがユダヤ人である彼女に受賞させないよう圧力をかけたこともあるので、一概にハーンを責められるものではないでしょうが) そして、この核分裂の証明がなされたことにより、皮肉にも原子爆弾が作られ、多くの命が奪われる結果となったのですけどね。 で、私が彼女に尊敬を感じるのは、その業績だけではないんですわ。 実は、彼女は核分裂のしくみを証明しながら、核の兵器利用に最後まで反対したんですね。 それでいながら、どの核反対団体とも一緒に活動しなかった。 ひっそりと大学の先生なんかをしながら、甥であるオットー・ロベルト・フリッシュとともに暮らし、余生を過ごしたのですね。 で、彼女の死から約30年後、1997年に元素番号109の元素(当時、最大の元素番号でした)に「マイトネリウム」という名前で、彼女の業績が評価されることとなったのです。 さて彼女の生きていた時代から40年経った現代…。 日本では「理科離れ」「技術離れ」が進んでいますが(しかも未だに工学部を持つ女子大というのは韓国の梨花女子大始め数えるほどしかない)、先人が築いてくれた業績を無駄にすることなく、こんな世の中でも科学技術の楽しさをできるだけ多くの人に知らせられるにはどうしたらいいかな、といろいろ考え、まずは先人の名前と業績を一つでも知ってもらうこととして今回(次回以降いつになるか分かりませんが)彼女のことをあげ、そして自分が思いっきり楽しむことだと思っている太陽仮面なのでした。

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