"菜翁が旨"さんのほほ~ぇむ健康ペ~ジ

2011/09/27(火)22:13

おにいちゃぁ~ん お母ちゃんがいないよぉ~(5)

ジジバカ日記(321)

しっかり戸締りは出来た。 足元を照らす明かりの提灯にも、ローソクの火を灯(とも)した。 しかし、行くあては、思いつかなかった。 弟に聞いてみた。 「どこへ、行きたい?」 「お宮のそばの、おじいちゃん家(ち)へ行ってみようよ。」 氏神様の隣の、おやじの実家である。 このお宮の秋祭りには、馬力をひく馬が鳥居から境内を口輪を引かれて歩き、子供相撲が奉納され、舞台からは賑やかに唄や踊りが奉納され、舞台からの餅巻きが楽しめる。 これは、半世紀前から、今も続いている行事であり、氏子のだれもが、一度は舞台の上から、餅をまく楽しさを味わうことが出来、また、最近まで全く気もつかなかった、明治11年や13年の絵馬が奉納されているお宮である。 冷たい冬の夜の冷気でかじかむ手をこすりながら、提灯の明かりを頼りに「おじいちゃん家(ち)」にたどりつた。 雨戸の隙間からは、期待したあかりが漏れてはいなかった。 寒い夜更けに、人が起きている気配は全く感じることは出来なかった。 静かな気配に、雨戸を叩いて起して、父や母の行方を尋ねる気にもならないほどの静けさであった。 いわずもがに、弟も、同じ気配を感じているように思えた。 気がつけば、同じ思いの二人の足は、帰り道をトボトボと歩んでいた。 よろしければ『ポチーッ』とお願いします。

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