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愈々庵気まぐれ日記

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2014.05.14
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カテゴリ:都内散歩
  • 国立科学博物館・「医は仁術展」・医書

  • 5月11日日曜日、先日前売り券を買っておいた「医は仁術展」に出かけた。
  • 老人が日曜日に出かけることは極力避けているがあまりの好天と、美術展でも
  • ないこの種の催しに大した人でもあるまいと思っての外出だったが、
  • 日本人の物好き、よくいえば野次馬根性は大したもので会場は老若男女で
  • 大賑わいであった。まずは喜ぶべし。

  • 医神と言えば西洋ではギリシャのヒポクラテス、東洋では中国の神農である。
  • 前者は呪術を廃し実証的医学を推奨し、医師の任務や倫理について説いており、
  • 欧米では医学校卒業時ヒポクラテスの誓い(Hippocratic outh)を行うそうだ。

  • P1100548.JPG

  • 一方「神農」は中国の農業と医学を司る神格化された偶像神で世界最古の
  • 「神農本草経」にその名が出てくるそうだ。日本では東京神田湯島の湯島聖堂に
  • 祀られているということである。

  • P1100549.JPG

  • おおざっぱに言うと中国医学は実証的(臨床的)と言うよりはやや観念的で有るのに
  • 対してヒポクラテスの流れを尊ぶ西洋医学ではより実証的である。
  • したがって前者は内科的医学を主とし、後者は外科的医学が主であった。
  • 中国医学では病は内から生じその根源を精神にまで遡るのに対して西洋医学では
  • 体の内的病も多く外からの因子で引き起こされると考える。一方西洋医学では内臓
  • の病気治療も解剖で得た外的(視覚的)観察をもって治療法を編み出す手段とする。

  • P1100560.JPG

  • 1993年発行の上の様な銅板図と活版印刷の医学書があり、類似の書物が出島商館
  • から幕府に献上されていたと思われる。しかし太平の鎖国時代とあればこのような
  • オランダの献上物も江戸城の書庫でただ埃をかぶったままだったのだろう。
  • ここから解体新書が出るまでにはまだ長い時間を要したことになる。

  • P1100609.JPG
  • P1100607.JPG

  • 上の写真はクルムスの解剖書と杉田玄白達の訳したその翻訳「解体新書」である。
  • 「解体新書」は先達の努力で当時としては破格の出来上がりであるが、銅板・活版
  • 印刷の前者と木版画・板刷りの後者を見比べる時そのみすぼらしさは歴然である。
  • 翻訳に於いて指導的立場であり、頭初は唯一オランダ語を解した理想主義の前野
  • 良沢が自分の名を著者欄に並べるのを拒否したのも理解できる気がする。
  • 私は今まで「解体新書」の出来に驚き、挿絵の小田野直武や刷り師の腕に感嘆する
  • していた、今回原本を見るとその出来の差に何とも言いようのない気分に襲われた。

  • P1100618.JPG   P1100623.JPG

  • 玄白達が初めて目にしたのも「観臓」であって、自ら手を下した解剖ではない。
  • したがって臓器の相対的関連や配置を自分の手と目で確かめたのではなく、「これは肝の臓」
  • 「これは心の臓」などと言って腑分け人が取りあげて示すのを見ただけである。
  • 玄白以後も並べられた臓器克明に巻物に書き残したものが多く残っている。
  • 今回私は個人的には江戸末期、の蘭学時代の資料を見ようと出かけたが、医学書以外
  • にも興味ある展示がいくつかあった。
  • 下の物は杉田玄白の「蘭学事始」、この表題は「蘭東事始」となっている。
  • 杉田玄白没後(1817)この書は失われていが後の幕末期に神田孝平によって
  • 神田湯島の夜店で発見され明治2年福沢諭吉の手によって「蘭学事始」として出版
  • され世に知れ渡った。今語られる蘭学の歴史はほとんど本書の記述によるものである。

  • P1100605.JPG

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  • 医学書以外で蘭学で最初の書籍は大槻玄沢の「蘭学楷梯」である。
  • オランダ語解説のほか天文学・自然科学に関する記述も多く、言うならば
  • オランダ(西洋)学総合雑誌的存在である。
  • また下の写真は「和蘭医事問答」で大槻玄沢の師で一関の藩医・建部清庵と
  • 杉田玄白との間で取り交わされた医学の問答集である。ここには両者が当時
  • 出版を望まなかったがその価値を高く評価した後進が出版に踏み切ったと記されて
  • いる。鎖国の時代に有っても地方の知識人が知識に飢えていたことが分かる。

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  • 最後に興味深い展示品を見つけた。横山由清による1857年訳出の魯敏遜漂行紀略」
  • で「ロビンソン(クルーソ)漂流記(略)」である。「略」とあるように原作の完訳ではなく
  • 絵本化された物の翻訳であろう。新書版より少し大きなサイズで木版画による美しいカラー
  • 挿絵が印象的である。
  • 横山と言う人物は本来は国学者で明治に入って我が国の法整備に大きな業績を残している。

  • P1100592.JPG








Last updated  2014.05.14 10:13:46
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