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愈々庵気まぐれ日記

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2016.11.18
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カテゴリ:都内散歩
偉大な植物生態写真家・埴沙萠(ハニ・シャボウ)さんが亡くなったのは今年2月23日である。
85歳の最期まで書き続けたブログと写真が見られなくなったのは残念である。
しかし多くの写真は出版された写真集やWeb上で見られるのは幸運である。
そんな埴さんの写真特別展が牧野富太郎記念庭園記念館で開かれている。



我々の前で見ていた3人の若者が盛んに写真を撮っていた、撮禁止欣治ではないのかとカメラを
出すと係りの人が飛んできて「あの達は特別な人ですので」と付言した。すべて版権がある既
発表の作品だし当然と思ったが、若者が去ったのち「実はあの人達は埴沙萠さんのお孫さん
たちです」ということであった。



埴さんと牧野富太郎は旧知の中で今回のこの特別展は埴さんの生前からの予定であったとのこと。
牧野の偉業に触発され植物観察を重ねていた埴さんが子供の頃富太郎に手紙を書いたところ、
訪ねてきなさいと返事があり、牧野が長い晩年を過ごしたこの小泉学園の家を訪ねた。
90歳を過ぎた牧野はまだ活発な活動をしており、出版社の編集者たちが先客として待っていた。
ほどなく牧野の世話役をしているお嬢さんが来て埴少年を招き入れ牧野に引き会わせた。
この時、牧野は「出版社の人たちは仕事で来ているのだよ、急ぐこともない、君はこれから
植物のことを勉強したいのだから君が一番の客だ」と言ってお嬢さんの入れてくれたココアを
二人で飲みながら植物の分類について二人でいろいろと話してくれたそうだ。
埴さんとしては少年時代訪ねたこの場所で生きて今日の日を迎え、写真展を開きたかった
ことだろう。
そんなわけでA5判の小さなパンフレットに掲載されている幾葉かの写真をお借りして
記憶にとどめておきたい。

 パンフレット


埴さんは≪植物生態写真家≫で草やキノコ類の成長の一瞬を切り取った写真が見ごとである。


≪クロマツの芽ばえ≫ 松かさから飛び出して新しい命を始めたクロマツ、草の双葉に相当する
芽生えである。露飾りの種の色といい、朝露の色といい完璧である。パンフレットの表紙に
したということは埴さんの好きな作品なのだろう。


オオイヌノフグリの名は花の後の実の形が動物の睾丸に似ているところからくるが、
この写真はあの可憐な花の咲き始め。中央の細い雌蕊の向こうに花粉袋を付けた2本の雄蕊がある。


ツクシの芽生え。 春の土手を飾るツクシもその赤ちゃんを見たことはない。


多くの日常的野菜の花も詳細に撮り続けている。上はゴボウの花、花のさらに細部はこのように美しい。ゴボウの花を見たことのある人はどのくらいいるだろうか。


ワレモコウの葉の水玉。  夜になるとワレモコウの葉先に露が出来るそうで、この水玉は
一晩のうちに何度もできては落ち、また再生を繰り返しているそうだ。
一晩中ビデオを回して発見したそうだ。余った水分を汗として出しているのだろう。


ススキの旅立ち。  朝露でうなだれていたススキの穂が乾くころ風に吹かれて薄の実が羽毛を
羽織って飛び立つのだそうだ。


タンポポの旅立ち。 子どもがよく吹いて遊ぶ。羽毛の飛ぶさまは素人写真家のターゲット。



キノコ類はその時季になると胞子を飛ばし続けるのだそうである。埴さんは多くのキノコの
胞子放出を静止画や動画に収めている。この展覧会では動画も公開されており、ゆらゆらと
踊りつづける胞子の舞は言葉で表せぬ感動である。
スーパーで買ってきたシイタケから胞子が出続けるさまは驚きである。

子どものころ田舎の古い家で朝目が覚めると雨戸の隙間から入った一条の光の中で踊る埃を見て
その動き二見入りい感動したものであるが、埴さんはそういう状況を作り出してキノコの胞子
放出を撮影している。

木の枝から雨水の水滴が落ちてツチグリの胞子の袋に命中すると一気に胞子が噴出する。
これをとらえた動画が実に面白い。

他にもツリフネソウが弾けて種を散らす様子を撮影するため、ゴムひもを使って自作の
≪杉の実鉄砲≫を作り弾丸を命中させて種を飛ばして撮影している。ある時蜂が止まっていて
このツリフネソウの種の散弾銃にあたり脳震盪を起こして落ちたそうだ、その後気が付いた
蜂はと去ったという逸話も紹介されている。。

埴さんは≪植物生態写真家≫として珍しい植物やきれいな花を撮ることよりも「一本の草が
生きることの中にどんなに素晴らしい生命の愛と英知が注がれていることか、そういったことを
写真で表したいと思っている」と述べている。

おかげで素晴らしいひと時を過ごすことが出た。







Last updated  2016.11.18 11:15:15
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