度量衡・秤量単位
1855年にロンドンで出版されたThomas Tateの化学入門書を大和ことばに訳した「ものわりのはしご」の解説本を私費出版したことを前ブログに書いた。そのさいBritish Libraryから英文原著のコピーを取り寄せて参考にした。 Tateの原著には巻末に試薬や実験器具の値段まで記されていた(上図)。その中にoz, lb, gall, drachm(dram), grain などの単位が見られた。調べているうちにヤードポンド法について詳しい知識がないことを痛感し、主としてwikipediaを使って調べたり、過去の思い出などを混ぜこぜにブログにしてみた。 oz, lb, gall, drachm, grain, pintなどの単位が並んでいる。詳しくは分からないが金箔の”book"と言うのは金箔は本のページの間に挟まれて取引されていたのでこういう単位が有ったのではなかろうか。 現在の日本ではメートル式で重量は 1ton=1000㎏、 1㎏=1000g、 1/1000g=1mg, 1/1000mg=1μg、 1000μg=1γg。 体積はリットルが基本である。1l=1000ml昔は当然尺貫法で私も子供時代の使い走りではお酒一升、お米一升、砂糖一斤、などと言う単位に馴染んでいたが、戦後の学校教育ではメートル法になった。当時アメリカは独特のヤードポンド法を使っていたのに占領国にメートル法を広げてくれたのは有難いことである。1964年初めてアメリカに渡った時、秤量単位では大変苦労した思い出がある。液体を頼む時、ガロン、リットル、クオート、パイント、オンス、ミリリットルとぐちゃぐちゃの単位で提供されていた。長さもヤード、フィート、インチ、圧力もpsi等はLb/in(2) (ポンド・パー・スクエア―・インチ)と訳の分からない単位で大変な苦労をしたものである。重量もグラム、ポンド、オンスなどあり、小さな試薬瓶の容量に関してはさらにドラムと言うのがあった。結局いつも実物を見せてもらってから購入量を決めていた。ここで整理しておくと大きい量は 1barrel(バレル)=36bushel(ブッシェル)(英)・42bushel(米)、 1bushel=8gallon(ガロン)、 1gallon=4quart(クオート) 1quart=2pint(パイント)となる。バレルの違いに従ってガロンも英米で容量は異なり英式では1ガロン=4.55リットル、米式では1ガロン=3.79リットルと言うことで、10進法に慣れてる日本人には頭が混乱してくる。車から降りることもなく超えられたカナダ・アメリカ国境であるが、ガソリンスタンドではガロンと言っても英式のカナダとアメリカでは量も値段も違っていた。さらにさらに穀物などの単位とな乾量ガロンは液量ガロンとは少し違って英式では1ガロン=4.54l、米式では4.40lとなる。それにしたがってガロン以外にも液量単位と乾量単位は違ってくると言う具合である。昔はワイン・ビールなどにもまた別のガロンがあったようである。敢えて言えば各国でいろいろなガロンがあるが4.40-4.54lの間に収まるようである。また古く薬局などで使われた単位としてdram(ドラム、コンピュータのDRAMではない)があり、1/8オンスが1ドラム。少量の試薬を保存する薬瓶は”one dram vial"、"two dram vial"など言って区別される。要するに昔は売買する物品毎に数や量の単位が決められていたということだろう。日本でも私の少年時代には米やお酒は升、砂糖やパンは斤(きん)、毛糸はオンスで売られていたし、今でも牛馬は頭、犬猫は匹、ウサギや鳥は羽(わ)と使い分けている。1959年1月1日、日本は法律で秤量システムを尺貫法からメートル法に切り替えた。公的な取引において尺貫法で行うと罰金を科すという厳しいものであったが、器用な日本人は3.3m(2) (1坪)、1.8l(1升)、3.7kg(1貫)当りの価格を表示して難なく切り抜けた。段々慣れて今はもうすっかり尺貫法など忘れてしまっている。お酒と米の「升」、砂糖とパンの「斤」が同じ容量あるいは重量であったかどうかは知らないが疲れたので今回はこの位にしておくことにする。